http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070327-00000008-maip-int

【ネピドー(ミャンマー中部)藤田悟】ミャンマー軍事政権は26日、中部に位置する新首都ネピドーを外国報道陣に公開した。既に政府の各省庁や公務員住宅、市場など中核施設は完成しているほか、道路網やホテルエリアなどの建設が進んでおり、この地を本格的な首都として開発しようとの軍事政権の方針は明白だ。
 ネピドーは旧首都ヤンゴンの北約350キロ、なだらかな丘陵地帯にある。真新しい各省庁の庁舎や数百棟の4階建ての公務員宿舎が並ぶ。宿舎は省ごとに壁の色が緑や水色、ピンクなどに色分けされ、できたてのニュータウンさながらの光景だ。
 中心部には片側3車線のコンクリート舗装の道路が走り、ヤンゴンからの道中のでこぼこ道路とは見違えるような光景だ。その道路を、公務員たちを宿舎から職場に運ぶ日本製の中古バスや作業員を荷台に満載したトラックなどが行き交う。
 施設の建設や道路整備には多数の労働者が動員され、人力で工事を進めている。歩道工事に携わっていたエイウインさん(42)は列車で7時間の北部から息子のアウンジー君(13)と一緒に出稼ぎに来た。2人合わせて日給が2500チャット(同約270円)。農民だが乾期には仕事がないという。「田舎ではなかなか現金収入が得られないので、この仕事はありがたい」と話した。
 記者の取材後、どこで見ていたのか私服の警察官が親子に近づき「どんな質問を受けたのか」と尋ね始めた。軍事独裁政権ならではの対応だ。
 ヤンゴンから2年前に来たという市場の警備員は月給が2万チャット(約2100円)。この収入だけでは生活できず、家族が市場で物を売って稼いでいるが、「いまだに家を持てずに警備員小屋生活だ」と嘆いた。
 建物の外見の立派さとは裏腹に、道路の側壁などは所々ひび割れしており、建築資材の質の悪さと急ごしらえぶりをうかがわせる。中心部から数キロ外に出れば、竹で編んだ壁にニッパヤシの葉などを屋根に敷いた簡素な住宅が目に付き、最貧国に数えられるミャンマーの現実がさらけ出る。
 軍事政権は05年11月に突然、首都移転を発表し、新首都を「王の住む地」を意味するネピドーと名付けた。情報省によると、周辺町村を含めた首都の面積は1060平方キロメートル。人口は約92万5000人。これまで外国報道陣の訪問を認めなかったが、27日に行われる国軍記念日式典に合わせ公開した。公開は行政・一般エリアのみで、約20キロ離れた軍事エリアは民間人の立ち入りが禁じられている。