http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070327-00000004-nnp-l44
佐伯市・大入島の埋め立てに反対する住民が県を相手取り、埋め立て免許取り消しを求めた訴訟の判決が26日、大分地裁であり、関美都子裁判長は「原告適格は認められない」として訴えを却下した。原告側は即日控訴したが、工事差し止めを求めた9件の住民訴訟がいずれも地裁段階で敗訴したことで、住民側は極めて厳しい状況に立たされた。
埋め立ては佐伯港湾計画の一環で、港湾のしゅんせつ土と東九州道バイパスの建設残土を使い、大入島石間区の沿岸6.1ヘクタールを埋め立てる計画。県は2003年11月と05年1月に2度にわたり着工を試みたが、住民側の抵抗で工事は中断したまま。県は判決を基に、あらためて着工の機会を探ることになりそうだ。
原告側は(1)原告には慣習法上の漁業権にあたる『磯草の権利』があり、埋め立て予定水面に対して法的利益がある(2)しゅんせつ土はヘドロで汚染され、十分な対策が取られていない‐などと主張。県側は「原告に原告適格はない。土壌から基準値を超える有害物質は検出されていない」などと反論していた。
関裁判長は「『磯草の権利』は住民が自宅用に採る程度にすぎず、慣習上の利益として保護すべきほどのものと言えない。埋め立て用の土から基準値以上の有害物質は検出されておらず、住民の健康や生活環境に著しい被害を与える恐れはない」と述べ、原告側の主張を全面的に退けた。
弁護団長の徳田靖之弁護士は判決後の会見で「裁判所は埋め立ての経済効果など肝心な部分の判断を避けた」と批判した。県庁を訪れた藤原清人・石間区長(69)は妹尾忠幸土木建築部長に「県はなぜ地元の説得なしに計画を立てたのか」と、計画の撤回を求めた。
石川公一副知事は「妥当な判決。地元理解を得られるよう努力したい」とコメントを発表した。