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明治時代に建てられ、城陽市、高岳寺の本堂に移築されていた成徳校(成徳尋常小学校)の講堂の一部を、京都市下京区の市学校歴史博物館の玄関として移築して保存する工事が、このほど終了した。洋風様式をまねた現存する市内最古の学校建築物に、博物館は「新しいものを取り入れ、まちの復興を志した明治時代の京都の人の気概を感じてもらいたい」と話している。
 下京第9番組小として開校した成徳尋常小は、1875(明治8)年に下京区室町通綾小路下ルに新校舎を建築した。その後、明治42年の改築の際、新聞紙上で売却先を募集した結果、城陽市寺田の高岳寺が講堂と玄関を買い取り、本堂として活用してきた。
 最近になって、本堂新築を計画した寺が、本堂の一部が第9番組小の建物であることを確認、市教委が調査を実施し、教育史を伝える貴重な資料として、博物館への移築が決まり、昨年12月に工事に入った。
 移築された玄関は、車寄せが張り出し、丸みを帯びたローマ風円柱やアーチ風の屋根瓦など和風建築に欧米様式を取り入れた「擬洋風建築」で、正面の瓦には「成徳」の文字も。工事では、ほとんど補修を行わず、博物館玄関に移され、再び京都市内で優美な姿を見せている。
 博物館によると、当時、市内に建てられた擬洋風建築の学校建築は5校あったが、現存するのは成徳校だけで、全国的にも貴重という。移築完成に伴い、館内に、寺に残っていた当時の図面など関連資料も展示している。
 25日午後1時半からは、調査した大場修・京都府立大教授が「近代京都の木造校舎とその伝統」をテーマに同博物館で記念講演を行う。定員70人。申し込みは同博物館TEL075(344)1305。