安藤 忠雄(あんどう ただお、1941年9月13日 - )は日本人の建築家。東京大学特別栄誉教授。21世紀臨調特別顧問。打ち放しコンクリートの住宅や商業建築を次々と発表し、一世を風靡した。名声が上がるに従い、博物館・娯楽施設・宗教施設・事務所等、作品の幅は広がり、規模も大きくなるが、逆に初期の小規模建築の持っていた魅力が失われているという見方も有る。 特に関西方面での作品が目立つ。
元プロボクサー(リングネームはグレート安藤。戦歴、23戦13勝3敗7分け)。
略歴
大阪府大阪市港区生まれ。ボクシングの試合で得たファイトマネーなどを手にアメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアを旅行しながら、独学で建築を学ぶ。その頃に、彼が撮影した写真はルイス・カーンの作品集などで使われている。
双生児の兄として生まれる。母の実家、安藤家との約束で、旭区の祖父母に育てられる。双子の弟は北山孝雄。東京で都市コンサルタント業/商品デザイン業-北山創造研究所を経営。3人兄弟で一番下の弟は建築家の北山孝二郎(ピーター・アイゼンマンとのコラボレーションで名を馳せた)。初期の作品(ローズガーデン/1977/神戸市生田区、等)のいくつかは弟、孝雄の所属していた(株)浜野商品研究所(1992年、(株)浜野総合研究所と改名<代表=浜野安宏(セツ・モードセミナー出身)>)と共に実現した。
一般的に独学と知られているが、高校卒業後は長沢節が創った美術学校であるセツ・モードセミナーに参加し、大阪芸術大学への入学歴(後に中退)や、建築事務所での短期勤務歴(最終的に影響を受けた建築家の1人として、都市計画家として主な活動をした水谷穎介氏が挙げられる。)はある。 その後、独学を母体に通信教育等を利用しインテリア/SD等を学ぶ。建築以前の初期作品には関西を中心とした喫茶店等のインテリアデザインが有る。
1969年に安藤忠雄建築研究所を大阪に設立。個人住宅を多く手がけた。「住吉の長屋」(大阪)が高く評価され、大規模な公共建築ではなくごく小さな個人住宅としてはじめて日本建築学会賞を獲得した。以降、コンクリート打ち放しと幾何学的なフォルムによる独自の表現を確立し、世界的な評価を得る。1980年代は関西周辺(特に神戸・北野町、大阪・心斎橋)での商業施設設計や寺院・教会設計が相次ぐが、1990年代以降は公共建築、美術館建築、また全国や海外の仕事も増えている。また、阪神タイガースファンである。今は亡き愛犬は迷子になり、さ迷う所を安藤氏が保護したのだが、元飼い主が現れないので事務所で飼う事になった。名前はコル(コルビジェ)と名づけられた。
1987年、イェール大学客員教授に就任する。
1988年、コロンビア大学客員教授に就任する。
1989年、ハーバード大学客員教授に就任する。
1997年、東京大学工学部教授に就任する。
2002年、南カリフォルニア大学客員教授に就任する。
2003年、東京大学を定年退官して、名誉教授となる。
2005年、東京大学から特別栄誉教授の終身称号を授与される。
受賞歴
近つ飛鳥博物館1979年 - 日本建築学会賞(住吉の長屋)
1983年 - 日本文化デザイン賞(六甲の集合住宅ほか)
1985年 - 第5回アルヴァ・アアルト賞
1986年 - 芸術選奨文部大臣賞新人賞(中山邸ほか)
1985年 - 毎日デザイン賞
1987年 - 毎日芸術賞(「六甲の教会」)
1988年 - 第13回吉田五十八賞(城戸崎邸)
1989年 - フランス建築アカデミー大賞
1990年 - 大阪芸術賞
1991年 - アメリカ建築家協会(AIA)名誉会員、アーノルド・ブルンナー記念賞(アメリカ)
1992年 - 第1回カールスベルク建築賞(デンマーク)
1993年 - イギリス王立英国建築家協会(RIBA)名誉会員。日本芸術院賞
1994年 - 第26回日本芸術大賞(「大阪府立近つ飛鳥博物館」)
1995年 - 1995年度プリツカー賞、1994年度朝日賞、第7回国際デザインアワード、フランス文学芸術勲章(シュヴァリエ)
1996年 - 第8回高松宮殿下記念世界文化賞、第1回国際教会建築賞
1997年 - ドイツ建築家協会名誉会員、王立英国建築家協会ロイヤルゴールドメダル(RIBAゴールドメダル)、第4回大阪キワニス賞、フランス文学芸術勲章(オフィシエ)
2002年 - アメリカ建築家協会ゴールドメダル(AIAゴールドメダル)、京都賞思想・芸術部門受賞
2005年 - 国際建築家連合ゴールドメダル(UIAゴールドメダル)
主な作品
光の教会
サントリーミュージアム
淡路夢舞台 百段苑
淡路夢舞台
兵庫県立美術館
四国村ギャラリー
司馬遼太郎記念館
兵庫県立こどもの館・工作館
1969年 旧国鉄大阪駅周辺再開発計画 - (大阪市北区)
1973年 富島邸 - (大阪府) 現在安藤忠雄建築事務所
1976年 住吉の長屋 - (大阪府) 中庭に屋根が無いので、風雨が入る
1981年 小篠邸 - (兵庫県芦屋市)
1983年 六甲の集合住宅 I - 兵庫県神戸市灘区
〃 タイムズ I - (京都府)
1984年 フェスティバル - (沖縄県)
1986年 六甲の教会 - (神戸市灘区)
〃 城戸崎邸 - (東京都)
1987年 ゲストハウスOLD/NEW六甲 - (兵庫県)
1988年 水の教会 - (北海道)
1989年 光の教会 - (大阪府茨木市)
〃 旧ライカ(アパレル会社)本社ビル - (大阪市住之江区)
〃 兵庫県立こどもの館 - (兵庫県姫路市)
1991年 姫路文学館 - (兵庫県)
〃 タイム II - (京都府)
〃 本福寺水御堂 - (兵庫県)
1992年 セビリア万国博覧会 日本政府館 - (スペイン・セビリア)
〃 熊本県立装飾古墳館 - (熊本県)
〃 星の子館 - (兵庫県)
〃 直島コンテンポラリーアートミュージアム - (香川県直島町)
1993年 ヴィトラセミナーハウス - (ドイツ)
〃 六甲の集合住宅 II - (兵庫県神戸市)
〃 兵庫県立看護大学 - (兵庫県明石市)
〃 かほく市立金津小学校 - (石川県かほく市)
1994年 大阪府立近つ飛鳥博物館 - (大阪府)
〃 サントリーミュージアム 天保山 - (大阪市港区)
〃 兵庫県立木の殿堂 - (兵庫県)
〃 京都府立陶板名画の庭 - (京都府)
〃 成羽町美術館 - (岡山県)
1995年 ユネスコ 本部 瞑想の空間 - (フランス・パリ)
〃 直島コンテンポラリーアートミュージアム アネックス - (香川県直島町)
〃 小海高原美術館 - (長野県南佐久郡)
〃 長良川国際会議場 - (岐阜県岐阜市)
1996年 大山崎山荘美術館 - (京都府大山崎町)
〃 姫路市立文学資料館南館 - (兵庫県姫路市)
1997年 FABRICA (ベネトンアートスクール) - (イタリア・トレヴィーゾ)
〃 TOTOセミナーハウス(兵庫県淡路市)
〃 アイキャナー/リー邸(アメリカ)
1999年 西宮市貝類館(兵庫県西宮市)
〃 新潟市立豊栄図書館(新潟県新潟市(旧豊栄市立図書館))
2000年 淡路夢舞台(兵庫県淡路市)
〃 奇跡の星の植物館( 〃 )
〃 ピューリッツァー美術館(アメリカ)
2001年 兵庫県立美術館 芸術の館(神戸市中央区)
〃 アルマーニ・テアトロ(イタリア)
〃 司馬遼太郎記念館(大阪府東大阪市)
〃 大阪府立狭山池博物館(大阪府大阪狭山市)
〃 ユニバーサルシティ駅(JRゆめ咲き線)(大阪市此花区)
2002年 フォートワース現代美術館(アメリカ・テキサス州フォートワース)
〃 国際子ども図書館(東京都台東区)
〃 石川県西田幾多郎記念哲学館(石川県かほく市)
〃 四国村ギャラリー(香川県高松市)
2003年 尾道市立美術館(広島県尾道市)
〃 加賀市立錦城中学校(石川県加賀市)
2004年 東京アートミュージアム、シティハウス仙川(東京都調布市)
〃 地中美術館(香川県直島町)
〃 新潟市立葛塚中学校(新潟県新潟市(旧豊栄市))
2006年 表参道ヒルズ(同潤会青山アパート建替え)(東京都渋谷区)
〃 (新)銀橋(大阪市北区)(デザイン選考委員会の委員長として参加)
〃 新東京タワー(東京都墨田区)
2007年1月16日 JR熊本駅の新しい駅舎デザイン正式契約 [東京ミッドタウン21_21サイト]
著書
「連戦連敗」安藤忠雄(2001/09/03) 東京大学出版会
「安藤忠雄の美術館・博物館」(2001/02) 美術出版社
「光の教会―安藤忠雄の現場」平松剛(著)(2000/12) 建築資料研究社
「安藤忠雄」フィリップ・ジョディディオ"(著) Philip Jodidio(原著)(2001/06) タッシェンジャパン
「旅―インド・トルコ・沖縄」安藤忠雄(著)(2001/03) 星雲社
「大工道具から世界が見える―建築・民俗・歴史そして文化」西和夫(著)(2001/04) 五月書房
「淡路夢舞台―千年庭園の記録」安藤忠雄(著)(2000/05) 新建築社
「建築を語る」安藤忠雄(著)(1999/06) 東京大学出版会
「建築家たちの20代」東京大学工学部建築学科安藤忠雄研究室(1999/04) TOTO出版
「アンドウ―安藤忠雄・建築家の発想と仕事」松葉一清(著)(1996/09) 講談社
「家」安藤忠雄(著)(1996/07) 住まいの図書館出版局
「現代デザインを学ぶ人のために」嶋田厚(著)(1996/06) 世界思想社
「建築家という生き方―27人が語る仕事とこだわり」安藤忠雄(著)日経アーキテクチュア(2001/08) 日経BP社
「直島コンテンポラリーアートミュージアム」安藤忠雄・三宅理一(著)(1996/09) 鹿島出版会
「安藤忠雄の夢構想―震災復興と大阪湾ベイエリアプロジェクト」安藤忠雄(著)(1995/10) 朝日新聞社
「サントリーミュージアム天保山」安藤忠雄・三宅理一(著)(1995/10) 鹿島出版会
「壁の探究―安藤忠雄論」古山正雄(著)(1994/11) 鹿島出版会
「安藤忠雄ディテール集」安藤忠雄(著)二川幸夫(著)(1994/07) A.D.A.Edita Tokyo
「安藤忠雄3」安藤忠雄(著)SD編集部(1993/11) 鹿島出版会
「安藤忠雄の都市彷徨」**安藤忠雄(著)(1992/05) マガジンハウス
「安藤忠雄(1981‐1989)」SD編集部(編集)(1990/12) 鹿島出版会
「安藤忠雄―挑発する箱」日本の建築家編集部(著)(1986/01) 丸善
「交感スルデザイン」安藤忠雄(著)(1985/09) 六耀社
「安藤忠雄のディテール―原図集 六甲の集合住宅・住吉の長屋」安藤忠雄(著)(1984/01) 彰国社
「安藤忠雄」安藤忠雄(著) SD編集部(1982/03) 鹿島出版会
「360映像で見る現代建築 安藤忠雄」日経BP出版センター