札幌市北区のグループホーム「みらいとんでん」で13日未明に起きた火災では、認知症の入居者7人が犠牲となった。

 当直の職員はわずか1人だったうえ、スプリンクラーの設置義務もなく、広がる火の手に、なすすべもなかった。施設でお互いを支え合いながら暮らしてきたお年寄りの突然の悲劇に、関係者らは言葉を失った。

 火災を通報したのは、職員の辻麻衣子さん(24)。約250メートル離れた交番に駆け込み、警官が不在だったため、中の電話を使って札幌北署に火事を知らせた。同署の関係者によると、「火事です! 火事です!」と、かなり取り乱した様子で話しており、警察が住所を聞いても、なかなか答えられなかったという。辻さんは、警察と同時に、自分の携帯電話で消防にも通報していた。

 関係者によると、「みらいとんでん」は2005年12月に開所。入所者は全員が認知症患者だった。1階の居間に自動給油式のストーブがあり、火災報知機は設置されていたという。

 日中は3、4人の介護ヘルパーが食事の介助などをし、夜間は職員1人が当直として、泊まり込みで勤務にあたる体制を取っている。厚生労働省の基準では、入居者が9人までの施設は、夜間の当直職員は1人でいいことになっている。近所の住民は「施設ができた頃、夜中に徘徊している入所者を、20歳ぐらいの女性職員が1人で捜し回っていたのを見た。今回も職員は若い女性1人だったと聞いており、管理が大変だったのではないか」と話す。現場の関係者も「入所者は歩行でさえ介助が必要な人が大半。火事が起きた時、1人で全員を避難させるのは難しいと思う」と話した。

 管理栄養士として施設に通っていた佐々木志津子さん(73)は、ニュースを聞き、現場に駆けつけた。「信じられない……。みんな食事をいつも完食してくれた。『おいしいよ』と笑ってくれたみなさんの顔を思い出すだけでつらい」と顔をこわばらせた。

 近くの病院に搬送された入居者の尚山道子さん(83)の家族は、尚山さんにけががないと聞いて、安堵した表情をみせたが、多数の犠牲者が出たことを聞くと「まさか、こんなことになるとは」と言葉少なだった。

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