F1第23戦はカタール・グランプリでした。今シーズンのF1は終盤に来て波乱が頻発しています。そしてカタールでもそれが続きました。正直、今回は純粋な速さという点以外で決着がついたような気がします。でも、フェルスタッペンは本当に「持っている」ドライバーだと認めざるをえないですね。まさか、不滅と言われたミハエル・シューマッハのドライバーズ・タイトル5連覇(2000〜2004年)をフェルスタッペンまでも達成してしまおうというのでしょうか。
/*・・・Preparation:コースとタイヤ・・・*/
アウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェ(サンパウロ)
(Formula 1®から抜粋)
コース長:5.419 km
レース距離:308.611 km(57 laps)
特徴:・ほとんどのコーナーが中高速コーナーで構成された高速サーキット
・F1の基準で低速コーナー(ボトムスピードが125 km/h以下)となるのはターン6のみ
・高速コーナーが多くて横方向に強い力が加わり続けるため、タイヤへの負荷が大きい
・周辺が砂漠のため風が強く、路面が砂で汚れやすい
・主なオーバーテイクポイントはターン1
タイヤのコンパウンド:C1〜C3(非常に硬い〜やや硬い)
/*・・・Sprint Qualifying:スプリント予選・・・*/
TOP 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
2位 63 G・ラッセル(メルセデス)
3位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
4位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)
5位 22 角田裕毅(レッドブル・ホンダ RBPT)
6位 1 M・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ RBPT)
7位 12 K・アントネッリ(メルセデス)
8位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
9位 16 C・ルクレール(フェラーリ)
10位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
11位 6 I・アジャー(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
12位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
13位 5 G・ボルトレート(キックザウバー・フェラーリ)
14位 27 N・ヒュルケンベルグ(キックザウバー・フェラーリ)
15位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
16位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)
17位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
18位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
19位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)
20位 43 F・コラピント(アルピーヌ・ルノー)
SQ3 Top Time:1:20.055(243.69 km/h)
/*・・・Sprint:スプリント・・・*/
WIN 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
2位 63 G・ラッセル(メルセデス)
3位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
4位 1 M・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ RBPT)
5位 22 角田裕毅(レッドブル・ホンダ RBPT)
6位 12 K・アントネッリ(メルセデス)
7位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)
8位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
9位 6 I・アジャー(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
10位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
11位 5 G・ボルトレート(キックザウバー・フェラーリ)
12位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
13位 16 C・ルクレール(フェラーリ)
14位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
15位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
16位 27 N・ヒュルケンベルグ(キックザウバー・フェラーリ)
17位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
18位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)
19位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)
20位 43 F・コラピント(アルピーヌ・ルノー)
Ret:Retire/リタイア。
Winner's Time:26:51.033(229.47 km/h)
Fastest Lap Time:1:23.188(234.51 km/h @lap 19)
10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)
/*・・・Qualifying:予選・・・*/
PP 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
2位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
3位 1 M・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ RBPT)
4位 63 G・ラッセル(メルセデス)
5位 12 K・アントネッリ(メルセデス)
6位 6 I・アジャー(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
7位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
8位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)
9位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)
10位 16 C・ルクレール(フェラーリ)
11位 27 N・ヒュルケンベルグ(キックザウバー・フェラーリ)
12位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
13位 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
14位 5 G・ボルトレート(キックザウバー・フェラーリ)
15位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
16位 22 角田裕毅(レッドブル・ホンダ RBPT)
17位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
18位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
19位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)
20位 43 F・コラピント(アルピーヌ・ルノー)
Pole Position Time:1:19.387(245.74 km/h)
Fastest Lap Time Throughout the Weekend:PP Time と同じ
/*・・・Race:決勝・・・*/
WIN 1 M・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ RBPT)
2位 81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
3位 55 C・サインツ(ウィリアムズ・メルセデス)
4位 4 L・ノリス(マクラーレン・メルセデス)
5位 12 K・アントネッリ(メルセデス)
6位 63 G・ラッセル(メルセデス)
7位 14 F・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)
8位 16 C・ルクレール(フェラーリ)
9位 30 L・ローソン(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
10位 22 角田裕毅(レッドブル・ホンダ RBPT)
11位 23 A・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス)
12位 44 L・ハミルトン(フェラーリ)
13位 5 G・ボルトレート(キックザウバー・フェラーリ)
14位 43 F・コラピント(アルピーヌ・ルノー)
15位 31 E・オコン(ハース・フェラーリ)
16位 10 P・ガスリー(アルピーヌ・ルノー)
17位 18 L・ストロール(アストンマーティン・メルセデス)
18位 6 I・アジャー(レーシングブルズ・ホンダ RBPT)
Ret 87 O・ベアマン(ハース・フェラーリ)
Ret 27 N・ヒュルケンベルグ(キックザウバー・フェラーリ)
Ret:Retire/リタイア。
Winner's Time:1:24:38.241(218.78 km/h)
Fastest Lap Time:1:22.996(235.05 km/h @lap 44)
81 O・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)
/*・・・Winner and Losers:ブービー・トラップ・・・*/
優勝はフェルスタッペンでした。通算勝利数は節目の70勝目。今シーズン7勝目。これで今シーズンの勝利数では、タイトルを争うマクラーレンの2人と並びました。正直、まさかここまでフェルスタッペンが追い上げてくるとは思ってもみませんでした。これはたぶんぼくだけでなく、ほとんどのF1ファン、そして多くの関係者やアナリストでさえ予想できなかったことでしょう。まさにフェルスタッペンは人知を超えるような成果を出してくるファンタジスタです。
とはいえ、今回フェルスタッペンは順風満帆に勝てた訳ではありませんでした。スプリント予選ではミスをしたこともあって角田相手に公式予選セッションで初の敗戦を喫し、スプリントではポディウムにも上がれずに4位が精一杯。本予選で持ち直すかと思われましたが、ここでもマクラーレンの後塵を拝しました。しかもここはグランプリ・サーキットの中でも屈指のオーバーテイクが難しいルサイル・サーキット。誰もがチャンピオンシップにおけるフェルスタッペンの後退を予想したと思います。実際スタート直後も、フェルスタッペンはノリスこそかわした(あるいはノリスが無理をしなかった)もののピアストリに次ぐ2番手で、この時点では、このままフィニッシュするとノリスと22ポイント差という、タイトル戦戦には踏みとどまるものの、ほぼ絶望的なポイント差となっていました。
転機は7周目。ガスリーとヒュルケンベルグがクラッシュしたことによるセーフティカー導入でした。ここでなぜかマクラーレン勢はステイアウトを選択。フェルスタッペンはピットストップを敢行し、労せずしてピットストップ1回とそれに相当するタイム(約26秒)を手に入れました。ぼくは、ここでマクラーレン勢がピットストップしなかったのは、自分たちのレースペースに対する過信としかいいいようがないと思いました。フェルスタッペンのペースはマクラーレンの2人と比べても格段に落ちるものではなく、セーフティカーが解除されてからタイヤ使用リミットの25周終了時までの残り15ラップ程度(マシンの撤去に数ラップ用するため)でフェルスタッペンに対して26秒もの差をつけるのは不可能なのは明らかでしたからね。
ただマクラーレンはこのステイアウトを、レース中は「ピットストップのタイミングに柔軟性を持たせるため」と言い訳していましたが、レース後には「この時点でこんなに多くのマシンがピットインするとは思わなかった」と認めました。つまり、ピットストップしなかった後続にフェルスタッペンが引っかかってペースが上げられないことを期待していた訳です。最速マシンを持っているのに他力本願とは少々情けない。果たしてマクラーレンの思惑は外れ、中団までのほぼ全マシンがタイヤ交換を済ませたためにリスタート直前にはフェルスタッペンがノリスの直後に来てしまい、この時点でほぼ勝負がありました。当然です。VSCならともかく、セーフティカーですからね。中団勢が1回のピットストップと26秒ものタイムをみすみすライバルの中団勢にプレゼントするとは思えません。確かに今のマクラーレンは他者に対して26秒くらいすぐに稼げるマシンを持っているかもしれませんが中団勢はそうではありません。マクラーレンは、ほんの数年前の、下位を争っていた時の気持ちを忘れてしまっていますね。
またこのステイアウトの決断には、マクラーレンのドライバーの平等を重んじるという彼ら独自のカラーの遵守ということもあったかもしれません。でも今回のこのチームの戦略は、ハンガリーでのモーションとは矛盾する気がします。彼らが本当にドライバー間の平等を謳うのならば、たとえチームが勝利を失うとしても、ハンガリーではノリスとピアストリを同じ戦略で戦わせるべきでした。確かにコンストラクターズ・タイトルの決定前と終盤の今とでは状況は違いますが、あの時点でも実際にタイトルをとっとと決めてしまったくらい圧倒的に有利な立場でしたし、チームの最多勝にはもはやチャレンジすることはできませんでした。そう考えると、個人的には何か腑に落ちませんね。彼らのルールを部外者が理解するのは本当に苦労します。
さて、こういった波乱が起こったのは「タイヤの25ラップ制限」があったからでしょうか。もしその制限がなければおそらくここでピットインするマシンは少数派だったとぼくは思います。セーフティカー中はタイヤライフを伸ばせますし、26秒もの時間を捨てて2回ストップすることは通常の1回ストップで切り抜けるほどのメリットはなかったように思います。何しろデグラデーションは小さい上に、余程のスピード差がないと抜けないトラックですからね。またここでタイヤ交換した以降ノーストップでレースを完遂することも、ハードタイヤでさえも残り45ラップを走り切るのはかなりの賭けになったはずです(今回はそれは危険すぎるとして、そういう賭けをしないように穴を塞がれた訳ですけどね)。結果的にセーフティカーのタイミングといいい、実にフェルスタッペンにとって結果的に有利となる、本当に絶妙なルールでした。
でもまさか「タイヤの使用リミット25ラップ・ルール」がこんな形で効いてくるとは思いませんでした。レースが始まる前はこのルールは愚策だと酷評の嵐だったようですが、少しはチャンピオンシップの盛り上がりに貢献したということでしょうか。まぁ、マクラーレンが自ら罠に落ちただけとも言えるかもしれませんけどね。たとえこんな形でレースに貢献をしたとしても褒められるのはレッドブルとフェルスタッペンで、タイヤメーカーには何もない。もちろん、「褒めるのはどんなレースでも危惧されないタイヤを造ってからだ」ということでしょうけど、安全を確保した上でレースを盛り上げたにしてはまったく評価されず、さすがに不憫だと感じます。
そうこうあってマクラーレン勢はピアストリ2位、ノリス4位と惨敗。戦前はここでノリスがタイトル決定か、なんて言われていましたが、終わってみればむしろフェルスタッペンの接近を許す展開になってしまいました。いや、本当に最後まで楽しませてくれますね。
ちなみにフェラーリ勢はルクレールが8位、ハミルトンが12位でした。ルクレールは走らないマシンをなんとかポイント・フィニッシュに導いてくれました。本当に素晴らしかったです。ハミルトンは予選でまたもQ1敗退を喫しましたが、スタート直後はいい位置につけていました。でもピットストップで順位を失い、それからはどうすることもできず残念でした。これをもって今シーズンのフェラーリはチャンピオンシップ4位が確定しました。途中早い段階でマシンの開発が終了して大変だったでしょうが、来シーズンは大いに期待したいと思います。ドライバーの2人、チームの皆様、お疲れさまでした。最終戦は思い切り楽しんでください。
/*・・・Next:アブダビ・・・*/
今シーズンのF1もとうとう最終戦を迎えます。最後は毎シーズン恒例のアブダビ・グランプリ。舞台はヤス・マリーナ・サーキットです。幾多のタイトル決定戦を演出してきた、「曰く付き」のサーキットです。マクラーレンが圧倒的な速さを誇示してきた今シーズン、まさかここまでチャンピオンシップがもつれ込むとは思ってもみませんでした。
このトラックはストレート主体の高速セクションと、市街地のように直角コーナーが連続する低速セクションを組み合わせたようなコースです。よくモナコなど典型的なストリート・コースでは「長いストレートがないから追い抜きができない」などと言われたりします。ですが、ストリート・コースに長いストレートを2本も打ち込んだようなこのサーキットでも、低速市街地コースと同様にオーバーテイクが少ないという事実は、追い抜きとストレートの相関が直感的に考えるほど大きくはないことを示す例証となると思います。
ではどうしてそうなるのか、この2つ(アブダビのコースとそれ以外の低速市街地コース)の間には何があるのかというと「追い抜く抜くポイントがない」ことと「追い抜くポイントが生かせない」という違いになると思います。つまり長いストレートは必要だけど、それだけでは追い抜きに十分ではないとでも言えるでしょうか。また、マシンは年単位あるいは数年単位で変化していきますが、コースはなかなかドラスティックに変化させることはできないので、コースがマシンと合わなくなっているという側面はあると思います。マシンのサイズや低速、高速コーナーのレイアウトされている位置、タイヤのデグラデーション(タイヤの性能劣化によるタイムの落ち)の大きさも関係してくるでしょう。オーバーテイクと一言で言っても、なかなか複雑なものです。
このトラックに話を戻しましょう。ここは上でも言ったように2本の長いストレートが特徴的ですが、タイムの面で見るとより重要なのは後半の低速セクションの方です。予選でありがちなのは、セクター2の高速セクションまではいいタイムを出していたのに、最後の低速のセクター3でタイムが伸びなかったというパターンです。だからたとえセクター2まで好タイムを叩き出していてもまったく油断できないですし、反対にセクター2までは伸びなくても最後の最後に大逆転なんてことも十分あります。
決勝ではこの加減速の激しいセクター3でリアタイヤを守るためにタイヤマネジメントのレースになるのが恒例です。とはいえ2021年に改修されていくつかの低速コーナが削減され、残った低速コーナーもコーナリング半径が大きくなるように変更されてからは少しは楽になったようです。でも実際は、まだタイヤに厳しいセクションということは変わらないようですね。
そして当然ですが、チャンピオンシップもすべてここで決します。首位のノリスとフェルスタッペンとの差は12ポイント、ピアストリとの差は16ポイント。最終戦が盛り上がりそうな、実に絶妙なポイント間隔ですね。久しぶりの2チームによる三つ巴の争いです。でもこれが7ポイント差なら最終戦で勝った者がチャンピオンという分かりやすい構図となったんですけどね。そして、あの忌まわしい2020年のアブダビの再現となったんですけどね。という訳で、やはりまだまだノリスが有利でなのは変わりません。昨年の速さを見ても、速さの面でノリスとマクラーレンはここで圧倒的に有利でしょう。フェルスタッペンに対しては、よくぞここまで食らいついて盛り上げてくれたと言ったところでしょうか。とても楽しみです。
各々のドライバーが正々堂々実力を出し切った、白熱した大団円を期待しています。
