脳のなかでもいちばん大事な場所 「前頭前野」
おでこの後ろにある「前頭葉」の中の「前頭前野」と呼ばれる場所。
人間の前頭前野は大脳の中の約30%もしめていますが、動物の中でもっとも大きいチンパンジーなどでも7~10%くらいしかありません。
猫では3.5%しかありません。 前頭葉は計画を立てたり、順調に作業を進めたり、計画をスムーズに変更する能力に関係していると考えられています
前頭前野は記憶や学習などをコントロールしているところで、ものを考えたり判断したりするときに働きます。
脳はコンピューターのようだとよく言われますが、前頭前野は「コンピューターの中のコンピューター」といえるくらい、大切なところなのです。
ですから、「頭がよい人」は、この前頭前野が発達していると考えられます。
前頭前野は「キレる」のを防ぐ?
前頭前野は「頭のよさ」だけでなく、創造性や感情のコントロールなどでも重要な働きをしています。
ですから、新しいものを作り出したり、発想を豊かにしたりするためにも、前頭前野をきたえることが役立ちます。
また、腹が立ったときやおもしろくないことがあったときなど、前頭前野のはたらきが悪いと、怒りやイライラをおさえることがむずかしくなります。
前頭前野をきたえることは、「キレる」のを防ぐためにも効果があると考えられます。
テレビを見ているとき前頭前野は休んでいる
テレビを見たり、コンピューターゲームをしたりすると、いろいろな情報が入ってくるので、脳が刺激されて活発に働くように思いませんか。でも、実際には、脳のごく一部だけを使っていて、前頭前野はあまり使っていないことがわかりました。
それに対し、音読しているときは、前頭前野を始め、脳のいろいろな場所が活発に働きます。下の図を見ると、その違いがよくわかりますね。テレビやコンピューターゲームで遊ぶ時間が長いと、前頭前野がなまけて、よくはたらかなくなるかもしれないので気をつけましょう。
音読を続けると記憶力がアップする
音読が脳に与える効果は、「単語記憶力テスト」でも確かめられました。このテストは、用意した単語を2分間でどれだけ覚えられるか、小学生10人にためしてもらったものです。
音読を続けたあとにテストすると、単語の記憶力がふだんより20%以上もアップしていました。
これは、音読によって前頭前野がウォーミングアップして、いつもより活発にはたらいたからだと考えられます。
毎日、音読を続ければ、前頭前野の働きはもっともっとよくなる可能性があるのです。
何もしないで記憶できる単語の数と、2分間の音読トレーニングをした後に記憶できる単語の数を比べてみました。音読をした後のほうが2語近く多く覚えられました。
音読で前頭前野をきたえるには、新聞を利用するのがいちばん。毎朝、新聞を10分間、声に出して読む習慣をつけて、脳のはたらきをアップさせましょう。
記憶や学習、感情をコントロールする前頭前野。ここをきたえるのに効果的なのが「音読」です。
文章を声に出して読むと、前頭前野が活発にはたらくことがわかりました。
新聞の音読効果をあげる5つのポイント
10分間、続けて音読する
音読する時間は、1日10分間くらいで十分です。学校の勉強だけでなく、塾や習いごとなどで、毎日いそがしいようですが、10分間でいいのですから、無理しないでもできると思います。
できるだけ早く音読する
音読のスピードは速いほうが、脳のはたらきが活発になります。最初はゆっくりしかできなくても、だんだん早く音読できるようになります。声は小さくてもいいのですが、かならず、きちんと声に出して読みましょう。
おもしろいと思える記事を選ぶ
新聞を音読するなら、おもしろそうに思える記事を選びましょう。脳は楽しいことをすると、はたらきがよくなります。楽しみながら音読すれば、脳も元気になってくれるはずです。
いつもとちがう記事も読む
いつも同じページだけを音読するのではく、時々は、あまり読まないようなところも音読してみましょう。新しいことを知ることによって、脳は元気になります。知識もふえるので、勉強にも役立ちます。
なるべく午前中に音読する
脳のはたらきが最もよくなるのは、眠ってから約10時間後。夜の9時に寝たとすると、朝の7時です。そのあとは、だんだんはたらきがわるくなるので、午前中に音読するのがいちばんです。