外交問題は、時に経済問題に波及する事がある。今回の米国トヨタの400万台リコールの裏にもその可能性が、垣間見える。米議会では、米海兵隊グアム移転の経費七割削減が可決されている。



米国大統領オバマ氏来日の際、鳩山総理はオバマ氏を置き去りにして、APECにはせ参じた。これは、訪日したオバマ大統領に対して、大変失礼な行為である。APECには、外相か副大臣でもよかったんではないのか。鳩山総理には、どうしてもオバマ大統領より先に行かなければならない理由でもあったのだろうか?



有ったのである。APECの場で大々的に「東アジア共同体構想」をぶち上げたかったのである。戦前の大東亜共栄圏にも似た東アジア共同体構想については、首相自身が「アジア太平洋地域に恒久的で普遍的な経済社会協力及び集団安全保障の制度が確立されることを念願し、不断の努力を続けることを誓う」と言い軍事力も及ぶと言っているからだ。







鳩山政権が誕生して、直後のニューヨークにおける日米首脳会談で、日米双方は日米同盟の重要性を確認し合ったはずである。しかし、その後、鳩山政権は普天間基地問題の決断を先延ばしにして、今までの交渉経緯を検証すると言い出した。さらに、インド洋から海自を撤退すると言い、東アジア共同体構想を提案して、岡田外相は、米国をこれには加えないと説明した。



報道されたとおりAPECの直後にも、鳩山首相はシンガポールで、「普天間基地問題に関するオバマ大統領との約束」を反故(ほご)にするような発言をした。



報道によると『オバマ大統領の名代としてAPEC関連フォーラムで講演したカーク米通商部(USTR)代表は14日、「米国は現在そして未来のTPPの参加国・地域とともに、アジア太平洋地域の統合を成功へと導く基礎を形づくる」と述べ、TPPを基礎にAPEC全体の統合を推し進める意欲を示した。』ということで、要するに米国に先を越されたのである。





それで鳩山総理は、APECにおいて自分の発言が、無期限保留となったことにムカついたのであろう。しかしAPECは、ここ十数年大幅な軍事力増強にいそしむ中共が、中心になること自体に嫌悪感を募らせている。要するに、中共主導については、絶対反対なのである。





これでは、米国が不快感を示すのも無理はない。米国は、日本の外交に疑念を抱き始めたのだ。



日本が米国の「核の傘」から離脱して、自主防衛の道を選ぶ、すなわち徴兵制を発布し、自衛隊を国防軍とし、核兵器(とりあえずは戦術核)を保持し、国連の平和維持活動にも率先して参加する。というのであれば、納得がいく。日本はついに「普通の国」になるのだなあ、と思えるからである。



しかし、そのような気配は微塵も視られない。自衛隊員の微増予算についても、「防衛」に全く素人の集団が、「却下」したのだ。



拓殖大学大学院・森本教授は、「ゲーツ国防長官が訪日して、相当に不快感を持って帰ったが、国防長官をなだめることができたのは、キャンベル、グレグソン両次官補など知日派による説得ではなかったのか。」という考えである。



また、森本教授は、『在日米軍への接受国支援(HNS)を事業仕分けの対象にして減額しようとする。米国外しの東アジア共同体を提案する。そして、日米間の核密約を暴露しようとしている。これが同盟国の対応なのか。日本民主党は、自民党政治の仕組みだけでなく、日米同盟も排して新しい政治を試み国民人気を取ろうとしているのではないか。日本民主党が主張する「対等」な日米関係というのはこういうことだったのか。


米国の疑念はこういう気持ちに要約されよう。われわれは米国が日本の政治に失望しようが、期待はずれの気持ちを持とうが、日本の国益を追求するために必要だと思えば、米国に遠慮なく物を言うべきである。遠慮なく振る舞うべきである。』とまで言及しているのである。



ところがである。鳩山売国奴政権は、政権維持にきゅうきゅうとし始めている。政権維持のためならば、日米同盟など関係ない。今は政権維持。報道によると「米軍普天間飛行場の移設問題の決着が越年する情勢となったのは、鳩山由紀夫首相が日米同盟関係を損なっている普天間問題の早期決着よりも、当面の政権維持を優先したためだ。」すなわち、社民党の政権離脱により、参議院の民主党会派だけでは過半数に達しない現状での、社民党離脱は政権に大打撃となる訳である。また、年内は経済対策や首相の偽装献金疑惑の対応に追われ、普天間問題に取り組む余力がないという事情もあるからである。すべて、鳩山総理・民主党政権がまいた種である。それでポリティカルスパイラルを起こし始めているのだ。自己矛盾による自己撞着である。



民主党は、日米同盟を軽く考えすぎている。米国は、日本敗戦が分かっていて広島・長崎に原爆を投下した。それぞれ中身の違う原爆である。要するに日本国民は、米国の壮大なジェノサイド実験の標的にされたのである。



報道は『民主党内には「解決が延びたからといって、すぐに政権が倒れる問題ではない」(民主党議員)という軽い認識がある。』と伝えている。それは、認識不足である。米国は、やるべきことはやってくるに違いない。



そのときは、日本国が世界から孤立化するときである。