イノベーションの本質
野中 郁次郎 勝見明
4822244067



これまで自分が勉強したこと、経験したことが、バラバラと自分の中に
存在していて、ただそのままの状態だったのが、

この本を読んでいるうちに、そうかー、そうかーと
だんだん消化(昇華)されてきて、つながってきた。


(こういうことを書くと、すごい経験をしてきたと自分で思っているように
思われてしまうかもしれませんが、私なりの、ということです)


物語編と解釈編の構成がやはりよいのだろう、と思う。
物語編で、細部まで想像力を駆使して、その世界に入る。
それを解釈してもらえるのだから、これは気持ちいい。


まだ自分の中で何かの形になったわけではないけれど、
未来に希望が持てた。


形式、形態をいくら考えても、本質的でないことも
暗黙知を形式知にするそのときに、仮説と対話が必要であるということも
型や場の大切さも、


これまでの経験がなかったら、理解できなかったと思う。


と当時に、自分の経験を通して概念や事象を理解しているということは、
そこですでに自分というフィルターが入っているということでもある。


自分というフィルターのあちら側もこちら側も、
同じ質で充たされるといいなあ。


それには、
とことん突き詰めること。
深く深く突き詰めること。


まったくもって抽象的な感想になってしまいましたが、
生きること、働くことというのは、本質とか真理とかを追求するプロセスなのではないかなあ
と思いました。



抜き書き。
癒されます。




「はたしてお客さんは何を感じるのか。それは、人がどういう行動を
して、どんな生活感を持ってくらしているのか、自分で聞き、自分で
確認しなければわかりません。
商品づくりは人を見るところから始まる。現場でいろんな人に
会ってきては、みんなで思い思いに語り合い、それをノートに
とっていく。最初のころは、ただ紙が増えていくだけでした。
その積み重ねの中からコンセプトを抽出していく作業を続けたのです」
(DAKARA開発リーダー 北川氏)



よい場とは、固有の意図や方向性や使命を持ち自己組織化されている。
境界が閉ざされておらず開かれている。多様な背景や視点を持った
人たちとそこで感情の共有や対話ができる、他者との相互作用の中で
自分をより高い次元へと自己超越していくことができる・・・
といった特徴をあげることができます。極端な話、場をつくることの
できない組織は、新しい知識を生みだすことはできないのです。



ヒト、集団、組織には矛盾を綜合する能力が本来備わっています。
その綜合能力を発揮する場ができれば、限界は突破される。
大切なのは矛盾を避けた最適化ではなく、矛盾を許容し、解消していく
綜合化なのです。



場とは、共感と信頼にもとづく対話を通じて、新しい知が生み出される
時空間ということもできます。さまざまなところに場が多元的に形成
され、有機的につながれば、優れた知を総動員することができるのです。



これまでのやり方の延長上で改善をいくら積み上げても、なかなか、
正・反・合のプロセスにはなりません。大切なのは転換の視点です。
ただ、これまでのやり方を突き詰めなければ視点の転換はできないのも
事実です。



型のできた組織が、明確な目標志向を持って動いたとき、他の追随を
許さない強さを発揮し、成功に至る。



目の前のことに一生懸命、主体的に取り組んでいくうちに夢が見つかり、
信念が形成された。そして、自分で夢を育て、信念を貫き、ついには
イノベーションを実現していきました。
イノベーションを起こすとき、夢を持つことや信念を抱くことは
とても大切ですが、それはどこからかふと湧いてくるのではなく、
日々の仕事に対して主体的にコミットメントしていく中から生まれてくる
ものなのです。



黒川温泉の成功の「型」
1.「一即多・多即一」のバランスが成り立つ場が形成されている
2.「吸引力のあるリーダー」を芯にして自律分散的リーダーが存在
3.「個の知」がまわりに与えられることでどんどん膨らみ「全体の知」へ
4.謙虚さ



刮目すべきは、繁栄をとげてもなお傲慢にならず、成長すればするほど
恐れを知り、危機意識を抱いていることです。常に黒川全体をモニターし、
個と全体のバランスが崩れそうになると原点に立ち戻りながら発展を
めざそうとする。それは、黒川の持つ価値が、仲間同士の共創とそれに
対する顧客の共感という関係性の中でのみ成立することを、黒川のリーダー
の誰もが無意識に自覚しているからにほかなりません。



組織的知識創造のSECIモデル
○共同化(Socialization)
⇒個人の暗黙知から組織の暗黙知へと変換。直接体験を通じて暗黙知を共有。
○表出化(Externalization)
⇒暗黙知を形式知に表出。メタファー、アナロジーなどを用いてコンセプトにしていく。
○連結化(Combination)
⇒形式知と形式知を組み合わせ、新たな形式知をつくり出す。
○内面化(Internalization)
⇒形式知から暗黙知へ。行動や実践を通して、新たな暗黙知としてメンバー全員に吸収。



一人ひとりの知識創造力を活かせるか否かは、SECIモデルがうまく回るような
場をいかにつくり出すかにかかっています。暗黙知を共有するための共体験の場、
暗黙知を形式知へと変換していくための対話の場、様々な形式知を組み合わせて
いくための多様なネットワークの場、そして、形式知が実践を通じて新たな
暗黙知として吸収されていく場と、あらゆる機会づくりを心がけることです。



(海洋堂の)造型師たちは夕食が一年中ホカ弁でも文句一ついわず、休日も仕事をし、
模型づくりの疲れを模型づくりでとるような「オタク」たちだ。ひたすら原型の
製作に打ち込み、「高級料亭」の品質をいかに手のひらサイズの世界に凝縮するか、
「10しか入らないところにいかに50の情報を投じるか」と苦闘する。つくっては
しばらく寝かせ、また手を加える。考えながらつくり、つくってはまた考える。



直接経験がなぜ大切かといえば、人間の「知覚」が働くからです。例えば、
相手の立場からその状況を眺める。つまり、相手の視点そのものの中に
入り込んで相手の身になるという行為は、言葉を媒介せず、他者と直接触れ合う
経験を通してしかできません。相手を対象として意識するのではなく、直感的に
知覚する世界です。



経営の本質は論理でもなければ、分析でもなく、かかわる人々の未来に
自己を投企しようとする生き方そのものであることを、われわれはもう一度
認識すべきです。





この後に『知識創造の方法論』を読み、これがまた感動をした。

またこんど。

 

知識創造の方法論―ナレッジワーカーの作法
野中 郁次郎
4492521364