昨年、書店でタイトルを見て即買いした一冊。
承認欲求―「認められたい」をどう活かすか?
太田 肇
私なりの「人が成長する」ことについての仮説の一つに、
「自己実現欲求」の前に必ず「承認欲求」というのがあって、
これは以前よく友人のMさんと語りあっていました。
自分が本当にやりたい仕事、天職と心から思える仕事に
人生の早い段階で出会えた人は例外かもしれませんが、
「承認」なくして、「自己実現」はありえないと思います。
仮説なんて言っちゃてますが、いろんな人がすでにそんなことを
言っていて、例えばマズローの欲求段階説でいうと、第4段階が
承認欲求の段階にあたります。
子育てや人材育成で「褒めて育てよ」と言われているのも
まさにこの「承認欲求」に基づいているからでしょう。
(ただ褒めればいいってもんでもないことは、本書でも
触れられています。後述)
そもそも人は、
どうして認められたいんだろうか?
誰に認められたいんだろうか?
「どのように」「何において」認められたいんだろうか?
と自分なりに考えました。
私自身は、もっと上の自分に成長して、
仕事を通してより人や社会の役に立つために、
自分がこの人に認められたいと思う人から、
自分が強みや資質を発揮して尽力した点を認めてもらいたい
という欲求に動機付けられているんではないかと思っています。
これまでの自分を振り返ると間違いなくそうだし、
これからも間違いなくそうでしょう。
そういう正常な承認を受けることで、今度は他者の承認ではなく、
仕事そのものの価値によって、最大の喜びを得られるという
「自己実現」の段階になると思っています。
だから単に褒められるのとは、ちょっと違うのですよね。
さらに、間違いなく相性があります。
感性や価値観が近い人は、仕事のスタイルも近いので、
承認のツボがよくわかるようです。
そして周りに目をやってみると、
いろいろな場で、「承認欲求」が氾濫している気がしてなりません。
あっちでもこっちでも、叫びが聞こえてくるようです。
ブログは、そういう意味ではそういう欲求の発露という方も多いでしょう。
(自分で書くときはなるべくそうならないように、と思っていますが)
そういうのが「見える」人は、すごい惨劇が見えているんではないかなあ。
なんてことを昨年、いろいろ考えていたわけですが、そんな時期に、
このタイトルを目にしたので、うおー!!とがっついて読みました。
読んでみると、自分がうーん、うーんと考えていたことが
整理されて端的に書かれているので、これは感動でした。
(といっても、自分が考えていることは必ずこれまでに読んでいる
デシとかマズローとかの影響を受けているんだけど)
筆者は公務員→大学教授と歩んできた方ですが、現場で働く人の
ぽかっとあいた心の穴をうまく見ているなあと思います。
マズローやリッカート、デシ、チクセントミハイを読まなくても
人が働くモチベーションがどこにあるか?がうまくつかめる本です。
第5章の「出る杭」になるための「農村モデル」「京都モデル」
は一読の価値ありです。
以下印象に残ったところ。
日本人の場合、自己主張ははしたないとされ、奥ゆかしいことをよしとされる。
「表の承認」より「裏の承認」が重視される
人間は周りの人の目や評価をとおして、はじめて自分自身を
知ることができる。自分の姿をみるのに鏡が必要なのと同じである。
それゆえ、他人からの承認が欠かせないのである。
自己効力感を得るための承認は、人間関係が良好な場合や相手に
受容された場合にだけ得られるとはかぎらない。
極端な場合、敵対関係の中で承認欲求が満たされることもある。
嫉妬や憎悪のようにネガティブな承認も、条件を変えることによって
称賛や尊敬などポジティブな承認に反転させることができる。
他人に認められようとすることは、他人に依存し統制されること
なのである
社員の自立や自律を唱える一方で、実際には細かいことまで
上司にうかがいを立て、上司の判断を仰がなければならない
いちばん大切なのは具体的な制度や取り組みより、個々人の能力や
個性、貢献、努力といったブラスの面を可能なかぎり表に出し、
承認のチャンスを与えようというポリシーである。
ほめられることが、有能感や自己決定に関する情報につながる場合には
モチベーションを高めるが、統制の手段と受け取られる場合には
モチベーションを低下させる。
部下の立場からすると、上司にほめられるのではなく、
上司によってほめられることが大切なのであり、その意味で上司は
情報の媒介者だともいえる。
上司に求められるのは、それぞれの部下が何を重視しているのか、
そしてそれにどれだけ自信をもっているのか(すなわち自尊心の
レベルがどの水準にあるか)を鋭く見抜く力だといえる。
今度、マネジメントの本シリーズも書きます。
働く人がやる気になる組織をつくるには?
という観点です。
最高峰は
完全なる経営
A.H.マズロー著 金井 寿宏 大川 修二 訳
です。
マズローのいろいろな文章の寄せ集め的な本です。
ページおりすぎて、まとめるのにかなり時間がかかりそうですが
本当にすごい本なので、じっくり腰をすえて自分なりに咀嚼したいです。