母の旅立ち その8 | ぽっちゃむの戯言

ぽっちゃむの戯言

慣れない土地で子育て頑張ってるアラフィフの戯言。

朝になり、父が「家に行って雨戸開けてきて。」というのです。

 

「それ、しなくちゃだめなの?」と聞くと、「開けないとダメだ。」と。

 

どっちだって良いじゃん。

そう思っていましたし、なにより母のそばから離れたくありませんでした。

 

結局、じゃんけんで決めて負けた父が雨戸を開けに行くことになりましたが・・・

めちゃくちゃ不機嫌でした。

 

 

戻ってきた父に

「叔母や伯父には電話で知らせた方が良いかなぁ?」

そう聞くと

「そうだなぁ・・・連絡すべきかもなぁ。でも父さん連絡先しらないんだよね。」

「じゃー私がするよ。」

 

母は伯父や叔母と数年前から仲たがいの状況でした。

原因は教えてもらっていません。

父には、「入院しても知らせないで!」と言っていたようですが、さすがに兄弟がこの状態になったらいくらなんでも心配するでしょ。

と思い朝7時を過ぎたくらいに連絡することにしました。

 

 

伯父は近くに住んで居たのですぐに来てくれました。

「いつからこうなったんだ。」「なんで教えてくれなかったんだ。」

「もっと良い病院はなかったのか。」

などなど。言いたいことはたくさんあったようです。

さすがに仲たがいしていたとしても妹の危篤で思うところがあったらしく、目には涙が浮かんでいました。

 

叔母はほんの少し離れたところに住んでいたのですが、昼頃には来てくれました。

叔母は開口一番「なんでこうなる前に教えてくれなかったの?!」と。

そうだよね。そうなるよね。

 

何があったか知らないけど、やっぱり二人には知らせておくべきだったんだ。

と、後悔しました。

 

 

夕方になると、近くに住む従兄妹達もやってきてくれて、これまた「なんでこうなった?!」と。

私も聞かされていなかった側なので、何も答えられませんでした。

 

 

 

誰が来ても、誰が呼びかけても、起きてくれなかった母。

私はベッドの横に座り母の腕を握りながらいつの間にか眠っていました。

そして、そのまま翌日の朝を迎えました。

 

外の空気が吸いたくなり、ナースステーションに寄り「今、安定してますよね?」と確認して「ちょっと外行ってきます。」と。

外に出て数分後、病室に戻るためにナースステーションの前を通ると、看護師さんが「急いで!!!急に心拍落ちてきたから!!!」と。

 

え?!えっ?!

 

急いで部屋に戻ると、大量に吐血したあと心臓は停止しました。

 

 

付けていた心電図からピーッという音が鳴り、ゆっくりと現れた医師が死亡確認をして・・・

もう、ドラマを見ているようでした。

 

 

その後、エンゼルケアを手伝わせてもらいました。

その時、看護師さんに「お母さんに着せてあげる服ある???」と聞かれました。

「すみません。私は母が亡くなるって知らなかったので用意してません。」と伝えると「そっか。」と言って、洗濯済のパジャマを着せてあげることしかできませんでした。

 

本当なら新しい浴衣などを着せてあげるのでしょうが・・・。

 

 

この後の手続きとかは覚えてないのですが、父は先に帰って母を迎える準備をしてくれました。

私は、母と一緒に寝台車に乗り家に帰りました。

 

 

家に帰ると、人を迎える準備をしなくてはならないのですが、実家が越してからほとんど家のことにノータッチだったのでどこになにがあるか分からない状況でした。

母の布団も新しい掛け布団カバーや敷布団カバーを使ってあげたかったのにどこにあるか分からないし・・・

 

今思うと買いに行けば良かったのでは?!とも思うのですが、その時はやらなくちゃいけないことがたくさんあって、そこまで手が回りませんでした。