日本でよく使用される装具
今回は、少々長くなりますが、どうぞお付き合いください。
脊柱側彎症とは?
背骨が側方へ曲がり、そのうえ、ねじれも加わる病気です。
脊柱側彎症の80~90%は、原因不明の特発性で、その約8割が女性です。
10歳前後の女性に限れば、約4%に見られると言われ、とても多くの方が悩まれています。
今日は、思春期特発性側彎症の症例で、『麹町白石接骨院』に患者さんと一緒に参りました。
日本では現在、側弯症について、悪くなるものは悪くなる、姿勢に気を付けても変わらない、運動療法は無効、治療法は、経過観察、装具(主に現状維持を目的とする)、手術(脊柱をスクリューで留める)、だけだといわれています。
「曲がるものは曲がるし、曲がらないものは曲がらない」とか、
「側弯症で死ぬわけじゃないから」などと、
悩まれている思春期のお子さんとお母さんに平気で言う先生がまだいらっしゃるという現状です。
海外では、ゲンシンゲン装具などのように矯正力が高く、軽量で見た目の美しい装具が採用されています。1日・18時間以上という長い間、装着をしなくてはならない装具、このような苦痛を少しでも軽減し、ご本人が装具をつけようという気持ちになってくれることはとても大切です。
また、Schroth法を筆頭に世界ではいくつもの運動療法が成果をあげ、その有効性を示す医学論文が出されています。もちろんすべての側弯症が運動療法だけで良くなるとは言えません、装具が必要なこともありますし、それでも進んでしまうこともあります。
しかし、早期発見されて経過観察と言われたお子さんを翌年の検査までただ黙って見ているだけでなく、改善を目的として運動療法をやってみても良いのではないでしょうか?
手術に至る前に、まず運動療法を試してみるべきではないでしょうか?
そのような考えで、麹町白石接骨院の白石洋介先生(白石先生は医学博士でもあります)、アジア人では初のSEASのテラピスト石原知以子先生をはじめ、スタッフ全員で脊柱側弯症にあたっています。
今回は、腰部のカーブの強いS字状の側弯症ですが、
FB(フォワードベンディング・前屈姿勢)で、胸椎・腰椎のラウンドがしっかりと出ているので(ふつう側弯症の方は背骨がロックされフラットバックになってしまうことが多い)、大変動きが良いとのこと、骨盤上に頭部が乗っているので安定性があることなどから、すぐに手術などと考えるのではなく、運動療法を試していきましょうとのお話でした。
ただ、やはり現在の装具はほぼ用を満たしていないとのことで、新しい装具のことも念頭に置いて次回以降、治療をしていくことになります。
今回の側弯症の運動療法は、キャット&ドッグ・腰部の矯正・座位姿勢の3つでした。
どこにポイントを置くか、どういうイメージで動かすか、普段気をつける姿勢など、熱心に丁寧に指導されていました。
白石先生は、この運動をして一時的に背骨をまっすぐにしているというよりは、
脳に記憶されている現在の姿勢を書き換えていくイメージで続けていきましょうとおっしゃっていました。
最後に、側弯を完全にまっすぐにすることは難しいかもしれませんが、
柔軟な背骨の動きが損なわれなければ症状を出すことも少ないと言われます。
側弯症については、まだまだ課題が山積みです、私もとても勉強になりました、これからもがんばりたいです。


