※使用した画像はNHKの公式HPや、録画したドラマのデータから
抽出して利用しております。全て批評目的の引用であり、他意はありません。
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の続編です
あらすじ
宮中でも藤原摂関家の内紛はうわさになっていた。
源義朝の妻・由良(田中麗奈)は、仕えている鳥羽院の
皇女・統子との会話で、摂関家の争いで夫・義朝と
義父・為義がもめていることを話す。
統子は家をまとめるのが妻のつとめと諭す。
鳥羽法皇の皇女である統子内親王と、内親王に仕える
義朝の正妻由良との間で、藤原摂関家兄弟の争いが話題になります。
白猫を抱いてモフモフする統子内親王。動物愛護運動でも番組を通して
やってるのか、動物が目立つドラマです。個人的にはそういう点は好きですけどね。
なっちゃん由良御前は
「夫義朝と舅為義親子も、いつもそれで揉めている」
と内親王に打ち明け、内親王は
「家が丸く収まるよう、皆を取り持つのが妻の務めだ」
と諭します。地味なシーンですが、後々の由良の行動に
響くんですよねぇ...。
しかしこの統子内親王というお方についてはこのドラマで初めて
知ったのですが、随分と影響力のあるお方であった模様です。、
統子内親王Wiki の記載によると生涯独身であったようですが、
>母・待賢門院璋子時代からの家臣・女房らが仕えた
上西門院統子の御所は、源氏・平氏双方の縁者が多く見られる一方、
優れた歌人たちを輩出した文雅豊かなサロンでもあった。>
とあります。また、後に長期政権を担う後白河法皇とは同母兄弟
であることから親しい間柄であったようですので、一見地味ですが
当時の政界に与える影響はかなりのものであったようです。
そんなお方に仕えている由良であったからこそ、義朝が妻に望んだ
わけです。納得。
あらすじ
朝廷では、藤原摂関家の兄弟争いがさらに過激さを増していた。
左大臣・頼長が内覧(ないらん:帝に報告する文書を事前に読んで
政務を代行する)となり、大きな権力を持つようになった。
頼長の兄である摂政・忠通は美福門院得子(松雪泰子)に
弟・頼長への対抗策を相談すると、得子は逆に
頼長をもっとあおればいいと告げ、一計を案じる。
この時の頼長は取り締まりの厳しい風紀委員みたいな存在で、
務めが散漫な者や法を破る者をビシビシ取り締まっています。
まさに悪左府頼長の面目躍序。
頼長の政治姿勢は理屈的には正しいのですが、やり方が
性急すぎて皆の反発を食うわけです。
何だか唐風への刷新を急激に行おうとして失敗した、
奈良時代の恵美押勝=藤原仲麻呂を彷彿させる頼長。
両者とも博識で学問に秀でていましたが、強権を振るうあまり
次第に孤立し、最後は乱を起こして敗北して死すという
生涯そのものが被りますねぇ。
頼長の兄である忠通は次第に力を増す頼長に脅威を感じ、
頼長の力を抑えようと美福門院に相談にくるのですが、
美福門院は逆に
「止めることはございません。もっと煽って差し上げましょう」
と回答します。美福門院のお考えとはいかに
という緊張感が高まったところで、平氏のターンに移ります。
あらすじ
安芸の視察を終えて六波羅にもどった清盛は、出迎えた
妻・時子(深田恭子)から、忠盛の病気を聞き、
ただちに忠盛の館へかけつけた。忠盛はふだんと同じ様子で
清盛を迎え、安心した清盛は安芸で感じた将来の展望を
夢中になって語り、忠盛はそんな清盛をまぶしそうに見つめた。
時子に「ミキプルーンパパ盛の具合が良くない」と聞かされ、
急ぎ忠盛のもとを訪れた清盛。ですが忠盛は意外と元気そうで、
清盛に「安芸はどうであった」と尋ねます。
「かの地では、古来より船造りが盛んとのこと。
なにか面白きことができそうな感じが、
そこここに満ち溢れておりました。」
「やりますぞ~父上。野良犬の声が
この面白うもない世を変える!
その時が近づいておりまする!」
こんなアバウトすぎる「高杉晋作病※症状面白き○○を連呼する」
を発病しているだけの清盛を、頼もしく思うパパ盛って...。
これで清盛が成長したという証としているらしいこのドラマ。
ヌルイホームドラマばかりやってるから、こうしたやり方によっては
硬派になるシーンもヌルくなり、適当なことしか言わない主人公。
この辺はもっと何とかならないものですかねぇ...。この後の
清盛邸での清三郎を幼児虐待鍛えているシーンもねぇ...。
「もう嫌にございまする」
「情けないのう。俺は10の頃までには片手で
持ち上げられたぞ。ホラ」
「清三郎はまだ5つにございます」
といった具合に、子供に無茶をやらせて子供が「無理」とギブアップ
しても認めない。このシーンで清盛がやってるのは、教育ではなく
立派に幼児への虐待行為です。巨人の星の星一徹が、息子飛雄馬に
施した「大リーグボール養成ギプス装着」みたいなものです。
この後のシーンになりますが、清盛自身が「この剣を授かった
8歳の時には持ち上げることすら出来なかった」って言ってるだろ
それでいて5歳児に「この剣を持ちあげよ」とか、「屁理屈を言うな」
とはこれいかに。こんな教育では子供の体を壊してしまい、
子供は将来を棒に振る可能性があります。だからこそ、この清三郎が
後の宗盛になり、ヘタレ棟梁として醜態を晒すことになったという
ことであれば、清盛の教育の失敗として合理的な説明ともなりますが...。
場面が変わって、源氏のターンです。
あらすじ
義朝の館には、由良に招かれた為義が訪れ、孫である
鬼武者(のちの源頼朝)に弓を教えた。久しぶりに義朝とも
親子らしい会話がかわされ、みなで夕餉(ゆうげ)を囲む。
そこへ左大臣・頼長から貴族・藤原家成(佐藤二朗)を襲え
という命が届く。家成の家人が頼長邸の前で無礼を働いたというのだ。
やめさせようとする義朝をはり飛ばして、為義は家成の襲撃に向かう。
落胆した義朝は常盤(武井咲)に会いに行く。
義朝が実は父・為義を恋しがっていることを常盤は見抜いていた。
慰める常盤を義朝は思わず抱きしめる。
爺馬鹿ぶりを発揮しまくるダメ義為義。このドラマでの為義さんは、
源氏の棟梁としてはダメぶりを発揮していますが、家庭人としては
いい爺さんなんですよね。いい親父とは言い難いですが...。
この時為義を呼んだのは、義朝と為義に仲直りしてもらいたいと
案ずるなっちゃん由良御前。歩み寄りかけた両者に見えたのも束の間...
為義に「左大臣頼長から、藤原家成の屋敷を襲え」との命令が下ります。
為義がその報を知らせた家来に理由を尋ねると...
家成の下人が、左大臣頼長の屋敷前を通る際に下馬しなかった
無礼を咎めてとのこと。秩序にやたら煩い悪左府頼長様ですので、
家成卿の家人が頼長邸の前で下馬しなかったと聞いて
「おのれ、家成。成りあがりの分際で
この頼長を見下した真似を」
と激怒し、都合の良い番犬程度にしか考えてないと思われる
源氏の為義に家成邸の襲撃を命じたわけです。
やたらと秩序にこだわるあまり、道理に煩く沸点も低い頼長。
ツイッター上で「案外頼長って操りやすい人かも」という
意見が見られたのですが、言いえて妙です。沸点が低いので
煽ってやればすぐ激怒するし、秩序を重んじるあまり道理に叶う
か否かにこだわるので、その性質を利用すれば簡単に
操られている頼長。頭脳は明晰な人なのですが、意外と
敵としては傾向と対策が立てやすい人物でもありますなぁ。
そんな頼長に頼り切っている為義が家成邸へ向かおうとするのを、
義朝が制止します。
「父上、行ってはなりません。どれだけ尽くしても重用されるは平氏。
さように誇りなき行いをする者が、目をかけられるハズが無い」
義朝が言うのはもっともな正論なのですが...
その義朝の正論を聞いたダメパパ為義が、息子義朝を張り倒します。
そして義朝に対して
「いくら鍛えて待っておっても、
武勇を示す折など向こうからやっては来ぬ
地をほうてでも生き残る。それがわしの誇りぞ」
と吠えます。何だか一瞬為義がカッコ良く思えてしまいましたが、
この為義の台詞が、源氏が停滞している原因を表しています。
源氏には財がない(実際には財が無いわけではないのですが、
それを活かす術を知らないといった方が良いと思われ...)ので、
「武勇を示すことでしか、存在感をアピール出来ない」と
為義は言っています。それに対して平氏は、莫大な財力をもって
宋のいい品を買いあさって有力者に寄贈したり、寺社の造営や
修復にあたることで平時でもアピールしまくっており、
更に海賊退治や強訴撃退などで武勇も示しているわけです。
両者に差がつくのは必然的なことですねぇ。
そんな父為義とのやり取りがあって、行き場のない怒りを抱えた
義朝は由良を放置してどこぞへ行ってしまします。一人残された由良は、
と嘆きます。彼女なりに両者の間を取り持とうとしたのですが、
結果に繋がらない。なんだかデフレスパイラルみたいな負の連鎖に
囚われてしまった由良さんです。
一方の義朝は、心の隙間を埋めるためか日も高い時間だと
いうのに常盤のところへ出向きます。
「お父上と喧嘩なさったのですね」
「恋しがっておいででしたもの、義朝様は。
お父上のことを。まことお父上の
お役に立ちたいと、望んでおいででしたもの」
常盤に胸中を看破された義朝は、常盤に抱きつきます。
完全に常盤にオチた義朝。今回だけは、政略も何にもない
ガチ惚れフォール・イン・ラブの義朝です。
これでは正妻なっちゃん由良さんの立場ないよなぁ。
というわけで、平氏のターンでは清盛とパパ盛が仲良くしていて、
清盛と清三郎のシーンも微笑ましく描かれていた(実際は幼児虐待
シーンであるが...)のに対し、源氏のターンでは左大臣頼長の
横暴の手先となる父為義と、それに反対する息子義朝の対立が
決定的になり、ムシャクシャした義朝は由良を放置プレイして
新しいオナゴ(常盤)へと走ったという展開でありました。
やっぱり平氏の話は誇張して微笑ましいホームドラマであり、
一方の源氏は殺伐としていて緊張感がある。
どちらが見物かと言えば、歴史を題材にした大河ドラマである以上、
圧倒的に源氏側に軍牌が上がるという展開でありました。
続編に続きます
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