※使用した画像はNHKの公式HPや、録画したドラマの
データから抽出して利用しております。
全て批評目的の引用であり、他意はありません。
あらすじ
源氏の棟梁・為義(小日向文世)は摂政・藤原忠通(堀部圭亮)邸を
襲撃し、藤原氏の長者の証である家宝・朱器台盤(しゅきだいばん)を奪う。
為義に命じたのは、忠通の父・藤原忠実(國村隼)。
次男の左大臣・頼長(山本耕史)を氏の長者にするためだったが、
そんな藤原摂関家の言いなりになっている父・為義を
嫡男の義朝(玉木宏)は、盗賊と同じ行為だと非難する。
忠実の命令で、関白忠通の屋敷へ押し入った源為義。
為義配下の武士達は関白忠通邸で狼藉を働き、
忠通の父である忠実の依頼通り、藤原摂関家の
氏長者(うじのちょうじゃ。一族の当主を意味する)の証である
朱器台盤(しゅきだいばん)の剥奪に成功します。
為義配下の武士達の狼藉に怯える忠通
忠実は忠通から剥奪した朱器台盤を上機嫌で眺め、
溺愛する次男頼長に与えます。これは、藤原摂関家の
氏長者が忠通から頼長へ移ったということを意味します。
ナレーション(頼朝)
久安6年9月29日、我が祖父為義率いる源氏の軍勢が、
摂政忠通様のお館を襲った。
忠通様の父、忠実様の命により、藤原摂関家の家宝
朱器台盤を奪ったのである
「これじゃ、これをそなたに授けたかった」
摂関家親子のお役に立てたと喜ぶ為義。この辺りで小物ぶりをアピールしています。
演じている役者(小日向文世)がいい味だしてます。
ナレーション(頼朝)
これにより左大臣頼長さまが藤原氏長者となった。
藤原摂関家は相変わらず父忠実&次男頼長連合VS兄貴忠通の
対決路線が続いていますが、とうとう忠実が息子忠通の屋敷を
源氏の棟梁為義に襲わせる事態にまで発展しました。
このドラマの展開で、私は初めて朱器台盤なる藤原摂関家の
家宝の存在を知りました。
こういったところは、非常に高評価できるドラマであります。
得意げな顔で自邸に戻った為義を出迎えたのは、
何かとそりが合わなくなってきた長男義朝です。
「父上は武士の誇りというものがないのですか?
父上のしたことは、ただの盗賊と同じにございます!」
「ああ、そのとおりじゃ。盗賊と同じ、生きるため、
一族郎党を食わせるために働いておる。それの何が悪い!」
為義との意見対立が目立ってきた義朝。
二人とも源氏の勢力を盛りたてるという目的は同じなのですが、
父為義は藤原摂関家へ忠義を尽くすこと、対して義朝は
鳥羽法皇へ忠義を尽くすこと(第12話で鳥羽法皇に季節外れの
水仙を献上し、伝手は出来た)でそれを成し遂げようとしています。
「もっと正妻なっちゃん由良御前の伝手も使えよ、義朝
」
と思うくらい由良御前を利用するシーンがありません。
そういう政略の為に「嫡男を産んでくれ
」と言って
迎えた妻のハズなのに...。
為義・義朝父子は、忠誠を尽くす相手が敵対している者同士である
ことから、対立の溝を深めていったわけです。相変わらず
源氏のターンは殺伐としていて緊張感があり、見応えもあります。
あらすじ
1151年、高野山再建を成し遂げた清盛(松山ケンイチ)には
安芸守(あきのかみ)の任が授けられ、父・忠盛(中井貴一)も
念願の公卿(くぎょう)まであと一歩となった。
内々に決めたぞ。美福門院たっての願いでな
」
台詞無しでニッコリほほ笑む得子様。何だかんだで存在感抜群です
「有難き幸せに存じまする」
「また、子の清盛を安芸守に任ずる」
「高野山の宝塔、美福門院様の命によるとおり。
いずれも、あと一息ですな
」
存在感も増してきて、抜群の安定感で癒し系キャラ担当の家成卿です。
ここで家成が「あと一息」と言っているのは、忠盛が公卿の仲間入りを
することを指しています。忠盛はこの当時正四位上という官吏の序列
にあり、30段階ある中で上から7番目。一つ上の位である従三位からは
公卿と呼ばれ、これは国の最高幹部とも言える高官です。
現在で言えば公卿は内閣の閣僚みたいなものでしょう。現代感覚に
変換して、「忠盛は閣僚入り目前の有望政治家」といった感じで捉えると、
当時の忠盛の置かれた位置が理解しやすくなると思います。
「さいごまでしかと務めさせていただきまする
」
忠盛は財を投げ打って高野山の宝塔の再建を成し遂げた
ご褒美として刑部卿に任じられました。そもそも刑部卿とはなんぞや![]()
刑部省wiki によると
>律令制下の八省の一つ。主な職掌は、司法全般を管轄し
重大事件の裁判・監獄の管理・刑罰を執行することである。
しかし、軽罪については各官司が独自に裁判権を持ち、
平安時代に検非違使が設置されて以降、ほとんどの職掌を
検非違使に奪われることとなり、有名無実化した>
と書いてあるので、刑部省とは現在の法務省に相当します。
刑部卿は刑部省のトップですから、現在で言えば
法務大臣に相当します。ですが、平安時代に検非違使が
設置されたことで有名無実化したという記載もあります。
私が所有する「角川新日本史辞典(1997年発行)」にも
>9C初め検非違使の設置で機能のほとんどを失う>
との記載がありますので、平安時代にはどうも実権が伴わない
名ばかりのお役所であった模様。忠盛がその刑部省のトップである
刑部卿に任じられたというのは、ほとんど名誉職としての
意味合いであるように思われます。
現在で言えば閣僚にあたる公卿への昇進を目の前に、
とりあえず刑部卿に就かせたというのがことの真相のように思われます。
清盛の安芸守任官については、続編記事にて扱う予定です。
あらすじ
御所で忠盛と会った為義は、かつての約束どおり
源氏と平氏のどちらが強いかを決めるまで
地をはってでも生き残ると宣言する。
「これは忠盛殿。院にお目通りか
」
「さようじゃ。為義殿は
」
「わしは左大臣様の警護じゃ。」
「さようか。」
このやり取りで、鳥羽法皇に尽くす忠盛と、左大臣=藤原頼長に尽くす為義
という構図が改めて示されています。
「倅に言われた。わしのしていることは
盗賊と同じだと。悔しいが、
我ら源氏には平氏の如き財力はない。」
ここで為義が言ってるのは、源平両氏の思想や方針の違いと言えましょう。
主に西国を基盤とし、特に宋との貿易で莫大な利益を上げていた
重商主義の平氏に対し、東国が基盤で重農主義の源氏。
両者は領国経営や財の確保に対するアプローチが水と油ほどに違うのです。
「盗賊の如く生きるより他はない。
わしはこの道を行く。
そしてそなたとの約束を果たす
」
「財力がないから、盗賊のようと言われながらも摂関家に
忠義を尽くす道しかない」と為義は語ります。
為義の祖父は、源氏歴代の棟梁でも特に名高い八幡太郎義家です。
義家の時代は前九年の役や後三年の役で陸奥の国の争いに介入して
東国にかなりの勢力を築きましたが、為義の父である義親が
鎮西八郎為朝といい勝負な乱暴者で、朝廷から追討令を受けた
忠盛の父正盛に討たれたという過去があります。
そんな背景を持つ為義ですが、祖父義家から受け継いだ財産が
それなりにあり、経済的にはそれなりに裕福だったとも言われています。
義家はそれまででは最も昇進した武士であり、東国で勢力を
築いていましたから、それなりの蓄財はしていたと思われます。
だからこのドラマで為義が貧乏という描かれ方をしているのは、
金持ち平氏に対して貧乏源氏という単純な図式にしたいという
制作側の意図があるように思えます。
またこのドラマでは為義を源氏の棟梁としていますが、
実際の河内源氏は為義の他にも有力者が数人いました。
しかし後に為義の孫である頼朝が鎌倉幕府を開いて武家の頂点に
君臨しましたので、頼朝を輩出した家系である為義が棟梁と
いう風に吾妻鏡や他の書物でも書かれるようになっていったとも
いわれています。
というわけで為義=源氏の棟梁という図式は史実に照らし合わせると
ビミョーなところもあるのですが、そこまでこだわってると
ドラマとしてまとまりも無くなりますので、この程度の単純化は
致し方のないところであると私は考えます。実際、現状でも
「このドラマは登場人物が多すぎて複雑」という理由から敬遠する
人も多いと言われてますので、これ以上無暗に人物を増やせませんしね。
しかし、この時の忠盛の台詞と表情は...。
為義が忘れずにいた約束を、肝心の忠盛はきっぱり忘れてる
みたいです。ボケがきたんですか![]()
ミキプルーンパパ盛さん![]()
「源氏と平氏、いずれが強いか。」
「源氏と平氏のどちらが強いか![]()
それはまた先にとっておくことはできぬか
」
「その勝負は武士が朝廷に対し
十分な力を得てからでもよいのではないか
」
第四回「殿上の闇討ち」で為義の襲撃を受けた忠盛は、逆に為義を返り討ちにし、
「源氏と平氏の勝負はお互いもっと力を付けてからでよいのではないか?」
と為義に言い含めました。それにしても、この時の為義は...。
忠盛と為義の人間として、組織のトップとしての器の違いを見せつけた回でもありました。
「それを定める日まで、
わしは地をほうてでも生きる。」
その屈辱を為義は忘れていなかったので、
「何としてでも決着をつける時まで生き残る
」と忠盛に対して宣言した為義。
「楽しみじゃな
」
対する忠盛もようやくそんなことがあったのを思い出したのか、
楽しそうな表情で応じています。
両者のやり取りはこれで終わり、分かれます。
この回で忠盛は死去してこのドラマから退場しますので、
これがドラマ上での両者の最後の会話となりました。
ダメ義為義のダメ加減さが、ミキプルーン忠盛のカッコよさを
引き出してきたところがあった両者でしたが、このシーンでの
為義の言葉はそれなりにカッコよく思えました。
結局この両者は直接対決で決着をつけることはありませんでした
(もっとも直接対決するような状況もありませんでしたし...)が、
一門をより繁栄させたこと及び出世という点では
忠盛が圧倒的に勝利、子孫が歴史の勝者になったという点では
為義の勝利といって良いでしょう。
しっかし、主人公である松ケン清盛が出てこないシーンは
本当にとても良いシーンが多くて、基本的に素直に楽しめます。
というわけで、清盛が出てきて良い雰囲気をぶち壊すシーンは続編
平清盛第16話「さらば父上」Vamos流解釈2 やっぱり変過ぎる宋剣の「伝説の剣」設定!編 にて扱うことにします。
「このドラマは、主人公のハズの清盛が出てないシーンの方が面白い![]()
清盛は必要最低限しか出てこなくて良いよ
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