の続編記事となります

Part1では日本側の交渉代表者であった久保田貫一郎氏の
日本の立場をキチンと言及した発言に対し、韓国側が猛反発
して会談が物別れに終わった。その最大の原因は、日韓併合を
合法とみる日本と、不法とする韓国の見解の相違であることを
主に述べました。
久保田発言は、“韓国側が竹島の不法占拠や日本人の不当拘束
などの実力行使を背景に、韓国が自らの請求権のみが正統であり、
日本の請求権は認めないという姿勢を崩さなかったので、
日本側としても「私有財産の尊重という原則に基いた対韓請求権は
放棄しておらないのだ」という議論に入らざるを得なかった”
という背景からなされたものであるのに、そういった日本の立場の
説明がほとんどなおざりにされている」
という点が、主に言いたかったことであります。


Part2では、

①日本側が提示した3億ドルという当時の韓国国家予算に

ほぼ匹敵する経済援助金額を韓国側が突っぱねたこと

②結果として有償無償援助を合わせると11億ドルに加え、

日本が朝鮮半島に残した資産約53億ドル相当も請求権を放棄したこと、

③日本は韓国政府の要求に従い、個人補償金額も含めた金額を

一括で支払ったのに、韓国政府がその金額をインフラ整備などに

使ってしまって個人補償にはほとんど回さなかった。

それが事実なので、従軍慰安婦等の個人保証問題は既に

解決済みであること

④番組の語り手である井上寿一学習院大学教授の解説は、

竹島の不法占拠やそれに伴う日本漁船の不当拿捕及び
日本国民の不当監禁といった韓国側の不法行為に一切触れずに、
「日本が韓国に対して上から目線で接した」
ということばかり強調するのは、アンフェアな態度である


といった点について述べてきました。

番組の語り手である井上教授の発言には基本的に賛成なのですが、

それでも日本の立場に対する説明部分が抜け落ちている

部分があちこちにあるように思えます。

まぁ番組放送時間が25分という限られた時間でありますから、

井上教授の発言もほんの一部分しか使われていない可能性

は否定できません。と簡単に過去記事を振り返ってみました。


さて、Part3の本題に入ります。

請求権か経済協力かで、資金の支払い名目で揉めた日韓両国。

結局歴史認識を棚上げして経済協力ということで一応の合意を

した日韓基本条約ですが、経済協力という日本の姿勢が

韓国以外のアジア諸国との外交でも基本方針となっていった。

それ故に現在に至るまで様々な問題が噴出し続けているので、

この歴史認識問題を解決しなくてはならない時期にきているという

のが、番組におけるこの回の一番強調したいところであったと

私は捉えています。そういった部分の番組での取り上げ方を、

拾った音声にて以下に記します。


>請求権か経済協力か。支払われる資金の名目は、最終段階に
入っても折り合いが付きませんでした。

日本
韓国に対する提供は、賠償のように義務的に与えるのではなく、
それよりは経済強力という基本的な考えを持っている

韓国
韓国の国民感情は、一貫して請求権だ。
万が一この表現が変わると、重大な問題となるだろう

日本
日本側としては、あくまで経済協力という考えだ

議論は平行線のままでした。
最終的に日本と韓国は、お互いの主張を併記することで合意します。
名目は請求権及び経済協力。
解釈はそれぞれで行うという玉虫色の決着でした。
1965年6月22日、旧首相官邸で日韓基本条約の
調印式が執り行われました。
条約文には「請求権に関する問題は完全かつ最終的に解決された」
という一文が記されました。
調印を受け、日韓両国で条約反対を訴えるデモが激化しました。
その後も歴史認識の隔たりは解消されないまま、
現在の日韓関係に重い課題を残しています。>

日韓両国の基本認識の違いから、どうやっても議論が
平行線にしかならないという当然の結果になりました。
これでは埒があかないため、条約文章に双方の主張を併記する
という曖昧な解決方法をしてしまいました。
これで韓国は味をしめたのでしょう。現在問題となっている
「日本海と東海を併記せよ」という韓国のアホらしすぎる
不当な要求及び世界的なロビー活動は、こうした日韓基本条約
における韓国のゴネ勝ちの記憶が発端であるのかもしれません。
韓国側がゴネ続ければ、日本は最終的に譲歩する。
そういう悪い先例を生み出してしまったのが、
日韓基本条約であるとも言うことが出来るかもしれません。



最後に、日韓基本条約締結についての

以下は、例によって番組で放送された内容の音声を
ほぼそのまま拾って文字起こししたものです。

番組キャスター
井上さんは、どんな風にこの合意点をご覧になりますか?

井上教授
まずは日本と韓国が国交を正常化した。
それは東アジア地域の安全の第一歩であった。
そういう意味では重要な条約であったと思います。
ただ一方で日韓両国政府は経済優先ということでしたので、
それによって置き去りにされたこともあるんですね。
それは国家と個人との関係はどういう風に再スタートするのか、
その部分が軽視されました。ですから経済協力はするんだけれども、
個人補償はどうなのだという問題も残りました。
つまり韓国の国民感情の問題に、キチンと向き合わなかった。
そういう大きな問題が残されたということなんです。

キャスター
こうして日韓基本条約で一歩踏み出したわけですけど、
このことは他のアジアの国々にはどう影響していったのでしょう?

井上教授
経済を中心にして関係を切り結ぶということには、
経済的にはお互いに豊かになっていくという側面もありましたけれども、
今度は別の形での国家の上下関係を造ったということにもなるんですね。
そういう経済的な不平等な関係でスタートするのが
日韓基本条約だったとすれば、同じような関係が
他の東南アジアやその他のアジアの国々とも生まれた。
この意味で日韓基本条約が戦後のアジア外交の
原型にもなったということなんです。

キャスター
つまり経済だけで向き合うのにも限度があるということですね

井上教授
そうですね。経済は重要だと思います。
しかし経済関係が密接になってアジアの国々が豊かになっていきますと、
それに伴ってアジアの国々の民主化も進んでいきます。
民主化が進むと、それを背景にしてアジアの国民の声というものも
強くなってくる。そうしますと、アジアとの間で残されている歴史問題、
こういったものが争点となって噴出してくるということなんですね。
これが前回(2回目の放送)見ましたように、
インドネシアにおける反日デモのようなものもありましたし、
中国と韓国との間では、これは大きな争点になっているということなんですね。

キャスター
今もよく東アジア共同体という言葉が聞かれますけれども、
そういったものが中々進んでいかないのも、こうしたところが
ネックになっていると考えて良いのでしょうか?

井上教授
そうですね。東アジア共同体が経済的な共同体というのであれば、
これまでも事実上作られてきたと思います。
経済的に発展していくという点では、かなりな段階まで目標を達成できた
と思うので、次はアジアの国々と政治的にも強い結びつきを
付けていこうということになりますと、
残された課題である歴史問題もキチッと解決していく。
そうしなければいけない段階にまで来ていると思います。>
番組終了




井上教授は日韓基本条約の締結に関して

「東アジア地域の安全の第一歩であった」と評価しながらも、

>日韓両国政府は経済優先ということでしたので、
それによって置き去りにされたこともあるんですね。
(中略)
つまり韓国の国民感情の問題に、キチンと向き合わなかった。
そういう大きな問題が残されたということなんです。>

と解説しています。

ですが、個人補償の問題に関しては、Part2でも述べたとおり

韓国側の要求に従って個人補償額も含めた一括払いを

日本側はしているのですから、既に解決した問題であるハズ。

井上教授の解説ではその点がバッサリ抜け落ちています。


徒然草現代版by Vamos~時事問題からサブカルまで、ワタシVamosが徒然なるままに語ります~

井上教授が「韓国の国民感情の問題にキチンと向き合わなかった」
と解説している場面での映像。2011年の12月にソウルの
日本大使館前に設置された従軍慰安婦の少女の像とやらが
映っていますが、そもそも従軍慰安婦なんて言葉は日韓基本条約
を締結した1965年当時には存在しなかったし、交渉過程でも
問題にならなかったハズなんですが...。
こういったテロップにも注意が必要ですねぇ...という例です。

※この画像は、番組内容の検証を目的として録画した映像から
  抜き出して使用しております



次に番組キャスターの

「日韓基本条約は他のアジアの国々にはどう影響していったのか?」

という質問に対して井上教授は
>経済を中心にして関係を結ぶことで
お互いに豊かになっていく

という側面もあったが、今度は別の形で国家の上下関係が
出来上がってしまった。日韓基本条約が、そうした戦後の
アジア外交の原型にもなった>
という主旨の回答をしています。確かに高度経済成長を経て
戦後日本が先進国に復帰し、「経済大国である日本が
他のアジア地域に援助しなくてはならない」という上から目線外交
を展開することになったという点は、仰るとおりでしょう。

続いて番組キャスターの
経済だけで向き合うのにも限度がある」
という言葉に対して、井上教授は
>「開発独裁体制だったアジアの国々も、経済的に豊かになれば
民主化する。そうなると、アジアの国民の声というものも強くなるので、
未解決のままである歴史問題が争点となって噴出してくる。>
という主旨の回答をしています。ですが、韓国に限って言えば
民主化される前でも盛んに反日デモをやってましたが...。
中国に関してですが、いつになったら中共が倒れるのか...。
あの国が民主化出来たとしても、大いなるスッタモンダが
避けられないでしょうから、その過渡期に大量の難民が
発生したりする事態も十分考えられます。
日本にはそういった事態を想定して、対策を練る必要があると
思いますが、実際どうなってるんですかねぇ...。
インドネシアに関しては、知識不足のため言及は避けます。

最後に番組キャスターが

「東アジア共同体という言葉が聞かれますけれども、
そういったものが中々進んでいかないのも、こうしたところ
(歴史認識問題)がネックになっていると考えて良いのでしょうか?」
と質問し、それに対して井上教授は
>東アジア共同体が経済的な共同体というのであれば、
これまでも事実上作られてきたし、経済的な面だけを言えば
かなりな段階まで目標を達成できた。
次は政治的にも強い結びつきを付けていこうということになるので、
残された課題である歴史問題もキチッと解決しなければいけない
段階にまで来ていると思います。>
と回答して番組は終了しました。

韓国相手に限って言えば、歴史問題はお互いの基本認識の

決定的なズレを棚上げして日韓基本条約を結んでしまい、

現在も基本認識がまるで異なっています。

中華人民共和国に対しても、韓国とほぼ同じことが言えます。

井上教授が仰る「歴史問題のキチンとした解決」ですが、

中韓二国に関して言えば彼等の歴史観をそのまま受け入れない

ことには、まず彼等は納得しないでしょう。

それは日韓基本条約における久保田発言に対する韓国側の

反応が大いに物語っています。日韓基本条約の締結が

1965年ですから、1945年の日本の敗戦から20年が経過

した時点の話です。韓国国民の大多数に戦時中の記憶が

生々しく残っていた頃でも全く認識が異なりましたし、

それから50年近く経過した今でも、中韓両国は自国を正当化

するために、日本悪玉論を自国民に対して刷り込み続けています。


しかし、そんな彼等の歴史観を全面的に受け入れることは

日本の先人達の行いを完全否定することになるため、

私にはとても受け入れることが出来ない内容です。

今でも日本の歴史教育は自虐的すぎる内容なのに、

これを正すどころかこれ以上自虐的な内容にするような

中韓両国の歴史観の受け入れによる解決など絶対に

するべきではありません。

可能であれば、そういった視点で番組制作をしてもらいたいものですが...。

現状のNHKや他のテレビ局にそれを望んでも無理な話でしょうね。

というわけで、真実を見極めるためにこうした一個人による

ネットでの啓蒙活動を続けていくしか無いと決意する今日この頃であります。



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