昨日は夜勤明けで、上野の国立博物館で開催中の皇室の名宝展 第2期
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=6890
に行ってきました。しかし日曜であるうえに開催期間が短いこともあってか
会場は滅茶苦茶混雑していました。
今回の出展物は書や古墳などからの出土品が多かったのですが、そういった
ものはガラスケースの中に入っていて人が並ぶとまるで見えない→渋滞
という負のループになってしまい、そういったエリアはもう見る気力もなくして
しまいほとんどすっ飛ばしてしまいました。
絵画、それも大きなサイズのものなら人が並んでいても全く見えない
ということは無いのですが、こういう小さい物の展示だと人が多い時は
あえて諦めるのも手です。
そういうわけで比較的鑑賞しやすいものを中心に見て回りました。
正倉院宝物 漆胡瓶
ペルシア製といわれる美しい瓶。水の差し口が鳥の頭の形なのは、
当時のイスラム圏では良く作られた形だそうです。
しかし、正倉院がシルクロードの終点とはよく言ったもんです
正倉院宝物 螺細紫檀阮咸
気に入らない人物を冷遇することを、白眼視と言いますが、その語源となった人物が
竹林の七賢の代表的人物である阮籍です。その阮籍に限らず古代中国の教養ある
人は楽器の演奏もしたようで、この楽器には阮咸という名が付いているといった
ような解説がされてたような...。
実際展示されていたこの楽器は非常に美しい装飾で彩られた美しい物で、
聖武天皇の愛用の品とも言われています。
本当に聖武天皇が奏でたかどうかは疑問ですが、その装飾の美しさは
まさに鳥肌ものでした。
正倉院宝物 紺夾纈絁几褥
作品名なんて読むのか...分からないっす。西洋ではよく見られるタペストリーですが、
日本ではほとんど発達しなかった分野。正倉院の宝物ですから8世紀には作られていた
ものですが、その製造法は後に伝わることなく絶えてしまったようです。
もし製造法が後の世に伝わっていたら、日本美術史も大きく変わっていた
かもしれません。
しかしこの作品、作られてから1300年くらいは経過しているはずですが、色褪せること
なく鮮やかで、描かれている鳥達も生き生きとしています。
東大寺も私が知る限りでも平重衡や松永久秀によって火が放たれた過去がありますが、
よくもまあ今まで美しさを保ったまま保存されてきたものです。
過去の文化遺産の継承について改めて考えるところがありました。
蒙古襲来絵詞
教科書に必ず載っている有名な蒙古襲来絵詞。御家人竹崎季長がなかなか
恩賞をだしてくれない鎌倉幕府に対し自分の功績をアピールするために
作成されたといわれるものですが、流石に有名な絵ですから凄い人だかりが...。
ゆっくり見るなんて無理でしたので、売店で売っていた“日本の美をめぐる”
というシリーズの合戦絵巻が特集されているものを購入しました。
源氏物語図屏風
狩野探幽筆の源氏物語図屏風。今回も源氏絵は数点紹介されていて、日本の美と
源氏絵が切っても切れない関係にあることを再認識。
でも源氏絵って名場面がズラッと描かれているものがほとんどで、よほど内容に
精通していないとどの絵がどの場面なんだか分かんねぇ~!
私は平家物語の方が好きですが、平家物語絵巻ってほとんど見た記憶が無い...。
基本的に軍着物で話も暗いからなぁ。
なんて感じでした。しかし人が多すぎて、書や古墳からの出土品などの多くはスルー
してしまった今回の見聞記。これから行かれる方は混雑しているというのを
覚悟の上で出かけてくださいませ。