※注 Pay attention please!
この記事は2008年10月にアップしたものですが、2012年1月15日に
上野の国立西洋美術館で開催されたゴヤ展をみにいったこともあり、
連動記事とすべく画像や動画を追加する等の手直しを行いました。
そのため本日の日付で再度UPしております。


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ゴヤはやっぱり偉大だ!
ゴヤ展光と影 上野国立西洋美術館にて2012/1/29(SUN)まで開催中

ゴヤ

ゴヤという画家を知っていますか?18世紀後半から
19世紀前半にかけて活躍したスペインの画家で、

エル・グレコ、ベラスケスと並んでスペイン3大画家の
一人と称される天才画家です。

映画でも度々取り上げられる人物で、数年前には

代表作の一つ「裸のマハ」をテーマにした映画
(ヒロイン役にペネロペ・クルス)も公開されています。
映画「裸のマハ」amazonでの紹介ページ

ついでに「宮廷画家ゴヤは見た」amazonでの紹介ページ

Vamosは学生時代に1度だけ海外旅行として1ヶ月ほど
スペイン中を回ったことがあるのですが、そこでみた
ゴヤの絵の数々には圧倒されました。

$徒然草現代版by Vamos~時事問題からサブカルまで、ワタシVamosが徒然なるままに語ります~
ゴヤの傑作「我が子を食らうサトゥルヌス」は、ローマ神話の
サトゥルヌス(=ギリシャ神話のクロノスに相当)が「我が子に地位を追われる」
と予言されたことから生まれてきた我が子を次々と飲み込んでしまったという
話をモチーフにしています。自己の破滅に対する恐怖から狂気に取り憑かれ、
神話のように丸呑みするのではなく自分の子を頭からかじり、食い殺す凶行に
及ぶ様子がリアリティを持って描かれています。これが77歳の時の作品とは...。
ゴヤってやはり凄すぎる!

この絵の詳細を知りたい方は我が子を食らうサトゥルヌスWikiをご覧ください。

特に「我が子を喰らうサトゥルヌス」は
人類史上最大の闇を表現した絵
ではないかと思います。




昨日観た映画「宮廷画家ゴヤは見た」では、主人公は
野心溢れる神父ロレンソ(ハビエル・バルデム)、
 ヒロインである富裕な商人の娘イネス(ナタリー・ポートマン)、
その二人を見つめる観察者的役割としてゴヤ
(ステラン・スカルス・ガルド)という三人を軸に話が展開します。




ストーリーを簡単に紹介すると、イネスが二人の兄と
一緒に訪れた居酒屋で豚の丸焼きを食べることを断り、

それが後日異端者との嫌疑(ユダヤ教徒は豚を食べない
ので、ユダヤ教徒の嫌疑をかけられた)をかけられて
異端審問所に連行され、拷問を受けてそれを認めてしまう。


彼女とは家族ぐるみの付き合いをしていたゴヤは、
当時教会の有力者であったロレンソ神父の肖像画を
手がけていたことからロレンソとの話をする機会をつくる

ことをイネスの父に依頼され、食事会にロレンソを連れてくる。
そこでイネスの父はロレンソに拷問をし、拷問で得た証言は
意味がないということを証明して、ばらされたくなければと
ロレンソにイネスの救出を依頼。ロレンソは牢屋で
イネスに会うが、彼女は既に拷問を受けた後でおびえるばかり。
そんな彼女を抱きしめるロレンソ。


イネスの父は教会に莫大な寄付もして硬軟両面で娘の解放を
訴え、ロレンソも努力したが「拷問で得た告白であっても有効」
との教会の姿勢を崩せず、イネスの開放はならなかった。
そのためイネスの父親はロレンソに拷問をして、ありえない告白を
得たことを公表。ロレンソは国外に逃亡する。


15年後、隣国フランス皇帝となったナポレオンは、
スペインを支配下におくべく遠征軍を派遣。
フランス軍はスペインの解放者としてスペインの各地を占領し、
ナポレオンの兄をスペイン国王に据える。
スペイン開放の一環として異端審問所も廃止され、

ようやくイネスは開放されるが、家族は既に皆殺しにされていた。
そしてロレンソはフランスの高官としてスペインに帰ってきた...


それ以後の展開はネタバレになりますので、
ここで止めておきます。この映画の見所を紹介すると

・ナタリーポートマンの美しさと幅広い演技
若く美しい娘時代、15年の牢屋での生活から開放された

後の変わり果てた姿、実はイネスの○○○である娼婦の
実質一人3役をこなしていて、それぞれが非常に魅力的。
レオンに出演していた時の美少女振りしか知らなかった
自分には大きな衝撃でした

・ハビエル・バルデム演ずるロレンソの特異なキャラクター
最初は神父として登場しながら、後にフランスの高官として
スペインに帰ってきたロレンソ。立場は180度変わったが、

権力志向であることに変わりなく、ある意味自分の信念を
貫き続けるロレンソには思わず拍手物です。

徒然草現代版by Vamos~時事問題からサブカルまで、ワタシVamosが徒然なるままに語ります~
ゴヤの自画像
・観察者としてのゴヤ
ゴヤは観察者として描かれています。イネスは元々

友人の娘ということでモデルとして度々描いており、
個人的な思いいれも強かった。

そこにロレンソが絡んでくることになるのですが、

ロレンソの肖像画を描いている時の
「手は難しいので別料金になります。片手で2000レアル、
両手なら3000レアル」と告げたときにロレンソが
さっと両手をマントの中に隠すくだりは思わず
驚嘆してしまいました。
手を描く際には料金が高くなるとは知識としては
ありましたが、ホントにかなり高額だったようです。


フランス軍は侵攻開始時は解放者を謳いながらも、
実際には侵略者以外の何者でなかったことを
克明に記録し続けます。
その頃のゴヤは聴力を失っていましたが、それに
怯むことなく多くの絵を実際残しており、映画での
そういったシーンには鬼気迫るものさえ感じました。

徒然草現代版by Vamos~時事問題からサブカルまで、ワタシVamosが徒然なるままに語ります~
カルロス4世の家族の肖像 ゴヤが描いた傑作の1つです

・国王一家の役者がゴヤの残した肖像画にそっくり
ゴヤは宮廷画家でしたから国王一家の絵を

多数残していますが、今回の映画で登場した
カルロス4世、王妃マリア・ルイサ、後に即位する
フェルディナンド7世などが本当にゴヤの描いた絵にそっくり!
他にも華麗なコスチュームや豪華な装飾品等々
みどころは沢山あります。もしあなたが美術、西洋史、
ナタリー・ポートマンの一つにでも関心があるなら、
観て損のない映画だと思いますよ。


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