「女の子を飲みに誘ってついてきたら、こっちのもんだよ」



そうなんすか!


そうなんだろうか。


そうかもしれないけど。


そうなのかな。









なことも、往々にしてあるものだと思う。

やさしさや思いやりは大事なことだけど、思ったようには自分には返ってこない。


もちろん、見返りを期待するのは美しいことではないけれど。




***




この前の火曜日、後輩の女の子と2人でお酒を飲みに行った。


後輩というのは実は、この春に新入社員で入ってきた子なんだけど。

院卒で自分と同い年というのもなんとなくシンパシーで、突然連絡してみた。


4月末の歓迎会以来、話もしていなかったのに誘うのは反則のような気もするけど。


もちろん、楽しく話をして別れただけで、なにがどうというわけじゃない。


大人しくて、それでいて話が合って、なかなかに好みの見た目だったりする。




***




こうやって次第に仲良くなっていくことは人並みにはできる。

案外会話が途絶えることもないし、酒を飲みすぎて醜態をさらすなんてこともない。


そして連絡を密に取るようになって、だんだんと会う回数が重なって、そろそろだろ、と思う。


ただ、今までの経験則だと、そこからこじれる。


これは毎回そうなんだけど

女の子は決まって「ごめんなさい」と言う。


それはただ「付き合ってくれますか」に対するNOという答えとは別に

「そんな風に想ってくれて、言ってくれて、とてもうれしいんだけど、お気持ちには応えかねます」というそれ。


いっそ「死ね」とでも言われた方がいい。




強引に仕掛けることもできないから

ゆっくりと確実に"手塩にかけて"気持ちをすり合わせようとするんだけど。


そこにきて強引さが足らないとか、及び腰だなんて思われると、もうこれは絶望的だ。

そもそもそんな風に強気で攻められるのは、自信、経験に基づく自信があるからだと思うんだよね。


僕は丸腰なんだよね、それはわかってる。




***




その前の土曜日に、仕事で付き合いのあるお兄さんと飲みに行って、そういう話になった。

大そう僕のことを褒めて、ずいぶんと激励してくれてさ。


これはもちろん冗談として聞いてくれればいいんだけど

この人が女の子だったら、と思えるくらいに半端ないモテっぷりだったりする、この人生を通して。


なぜだかどうして、男の人は僕のことを本当に褒めてくれる。


女の子でもそうやって仲良くしてくれる子はいるけど

その両者に共通するのは、彼ら自身はあくまで「無関係」だからだと思うんだな、僕の恋愛に関しては。


僕はどうやら、男の人を恋愛対象にできるようにはなっていないらしいし

女の子も「友達」というカテゴリーにいればひとまず僕からいやらしい目で見られることもない。


だから、そんな彼らにとって僕はなかなか好人物ということだ(自分でも引っかかる言い方だけど)




でも、いざとなると、その慕ってくれる女の子たちも違うのだろうなと、それはもう既に知っている。




***




燃費の悪い片思いをいつもしているんだな。


と、「ごめんなさい」と言った子を思い出しながら考えていた。


文・堺雅人/堺雅人
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やっと読めました。

ゴールデンスランバー観てからすぐに買ったんだけど、時間なくて。


書いてることも言葉づかいもナチュラルで、人柄の出た頭のいい文章です。