<十カ条の教え>
- 汽車へ乗ったら窓から外を良く見よ、田や畑に何が植えられているか、育ちが良いうか悪いか、村の家が大きいか小さいか、瓦屋根か草葺きか、そういうこともよく見ることだ。駅へ着いたら乗り降りに注意せよ、そしてどういう服装をしているかに気をつけよ。また、駅のに置き場にどういう荷がおかれているかを良く見よ。そういうことでその土地が富んでいるか貧しいか、よく働くところとかそうでないところかよくわかる。
- 村でも町でも新しく訪ねて行ったところは必ず高いところへ上がってみよ、そして方向を知り、目立つものを見よ。峠の上で村を見下ろすようなことがあったら、お宮の森やお寺や目につくものをまず見、家のあり方や田畑のあり方を見、周囲の山々を見ておけ、そして山の上で目をひいたものがあったら、そこへは必ず行ってみることだ。高いところでよく見ておいたら道に迷うようなことはほとんどない。
- 金があったら、その土地の名物や料理は食べておくのが良い。その土地の暮らしの高さが分かるものだ。
- 時間のゆとりがあったら、できるだけ歩いてみることだ。いろいろのことを教えられる。
- 金というものは儲けるのはそんなに難しくない。しかし使うのが難しい。それだけは忘れぬように。
- 私はお前を思うように勉強させてやることはできない。だからお前には何も注文しない。好きなようにやってくれ。しかし身体は大切にせよ。三十歳まではお前を勘当したつもりでいる。しかし三十過ぎたら親のあることを思い出せ。
- ただし病気になったり、自分で解決のつかないようなことがあったら、郷里へ戻ってこい、親はいつでも待っている。
- これから先は子が親に孝行する時代ではない。親が子に孝行する時代だ。そうしないと世の中は良くならぬ。※生命力の弱い親に孝行する時代ではなく、知識や貯金を親から提供される時代ということ。
- 自分で良いと思ったことはやってみよ、それで失敗したからといって、親は責めはしない。
- 人の見残したものを見るようにせよ。その中にいつも大事なものがあるはずだ。あせることはない。自分の選んだ道をしっかり歩いていくことだ。