経過報告:48 | Quiet Record

Quiet Record

~うたとことばのものがたり~ 

わたし (たち) の良心の声は大きく
わたし (たち) の耳はよい

     

 練習なんてあてにならないって言ったろ?

 

 そう、あの日は午後から強い風が吹き始め、雲行きもなんだか怪し

かった。

 

「終わったと思ったね」 

「あん時の工藤は職人だったね。チャチャってバトンを拾ってさ、一人

抜いてウサに渡した」 (職人って……)

 そうだった。ごめんって言いながらのバトンをもらった。

あれは、もう一人抜けなくてごめんの意味だとあとでわかった。

 まだうんと幼い工藤の弟が、トラックぎりぎりまで近づいて危ないと

先生に止められながらも叫んでいた。

「おねーちゃーんがんばれー」

 その声を聞いたら、じいさんばあさんのように何だか涙なんて出そう

になってあわてた。

 自分も叫んだことがある。姉の咲良に。

そしていまだってなお叫んでいる。時々心の中で。

 きょうだいのあり方なんてそれぞれでわからないけど、取りあえず

弟なんておねえさんの味方で、ナイトの気分でもあると思う。和風に

いうなら手下だ (和風だとなぜか下っ端扱いになるんだな)

 そうだけど (なのに) きっと姉の方からは、自分が弟を守って

あげている、と思われているのがオチなんだろう。