経過報告:31 | Quiet Record

Quiet Record

~うたとことばのものがたり~ 

わたし (たち) の良心の声は大きく
わたし (たち) の耳はよい

     

 予定が多いと一日はあっという間だ。

 

 学校の宿題を済ませ、出しそびれていた塾の体験のアンケートも

いまさら書いて、課題も勢いで終わらせる。

 よし、俺。

 

 それからおもむろにルーズリーフを一枚、ファイルから外して

机の上に置いた。

 白い紙。

絵も文字も楽譜もみんな元は白い紙から始まるんだな。 問題が

あらかじめプリントされている合作用もあるけどね、と思ってしばし

見つめる。

 

 雨はまだやまない。考え、考える。

今日までの間の中で、どんなことがあったのかを。

 

 これは自分自身の振り返りなどではなく、まして宿題課題でもない。

それはさっき済ませたもんね。いま俺が考えているのは同じクラスの

『工藤真琴』 のことだ。

 朝、学校で会ってから帰るまでの、どこかの工藤の様子、でいい

んだよな……。

 幸いに真ん中の列の前の方の席だから、ベランダ側の後ろの席の俺

からは、黒板を見ている体で、自然に工藤を見ることが出来ている。

 生活のリズムの変化、いや再会、それともアクシデント?

 塾がきっかけで、まさかこんな風にして 〈経過報告〉 を書くようになる

なんて思ってもみなかったことだ。

 たくさんは書けないけどこれは、次に理玖に会う時に渡すための

報告書、ということになる。

 理玖からは返事をもらうわけじゃないから、渡しておしまいなわけで

まさか交換日記であるはずもないけど、一応会えなかった場合も

想定して、コメントも書いておく。

 

 塾の体験に行ったあの日。