子供の頃
友達の家の近くに 当時も珍しく大きな檻で飼われているクマのような
犬がいました
檻は道路に面していたので 犬は人が通る度に立ち上がったり
険しい顔で時には吠えもしたのですが 彼女にはとても馴れていました
毎日顔を見るし名前で優しく呼ばれ いつしか友達認定していたのでしょう
日常っていうのは圧倒的です
彼女と一緒だと吠えないし
たぶん彼女の好意で 頭も触らせてくれたと思いますが (はっきり覚えて
いないのは少なからず怖かったのでしょう)
あれ (失礼) を 「〇〇ちゃん」 と呼べるのはスゴイな と思ったものです
このような思い出もある 自他共に認める犬が好きな人で 見れば
素通りしないでタッチしたりしていました
それが一変したのは大人になってからのことです
単純な話で 本気で噛まれたのです (旅行中の出来事でした)
白いテリアが 赤い首輪を着けていました
飼い主の姿はなく 迷子になったんだと思ってそそと近寄ってまさに手を
差し伸べたその先の指を!
一瞬だったのと あまりにもびっくりしすぎて立ち尽くしました
飼い犬にも噛まれたことないのに→ 犬って噛めるんだ→ 助けてあげようと
思ったのに→ 余計なお世話だったんだ 悲しい思考でくらっとしました
今にして思えば よそ者の匂いがしたのでしょう
ひとりで帰れるから家路を急いでいたのに 見ず知らずの人が急に
邪魔立てしてきて……
白い赤ずきんにしたら 自分は狼でした
この一件は 時間が回復させてくれていますが
飼い主と一緒の時には大抵は触ってもいいかと許可をもらうのに ひとり
だからといって自分が傲慢でした
それからは余計なお世話はしません
目が合ってもあちらから寄って来ない限り 見るだけに留めています
飼い犬の 親の顔して 舐めたるは
添いてさし出す 左腕かな