寸止めの極意 | 御行奉為

寸止めの極意

不要になった滑り止めシートを処分しようと、細かく裁断していた。あまりにも長いため、裁断しないとゴミ袋に入らないからだ。

材料はゴムとビニルの中間の質感の物で、厚さが3ミリ程あり、普通のハサミではとても切れない。カッタでは刃がいくらあっても足りず、金切り鋏では切れるものの、疲れる事甚だしい。

前に金切り鋏で切った時には、手の皮が剥けてしまったし。

何か良い道具が無いかと考えを巡らせてみると、良いモノがあるのに思い到った。

昔、教師が手製のテスト等の藁半紙を切ったりしていたアレ、ギロチンの親戚みたいな奴がしまってあったはずだ。アレで切れば楽チンだろう。

でもアレはコツがあるみたいで、なかなか上手く切れないんだよなぁ。でも綺麗に切る必要もないので、ジャカジャカ切ってしまえば良いか。

切り始めると、案の定上手く切る事は出来なかったが、作業が進むにつれ上達していった。

どんどんペースが上がり、左手で送り、右手で切る動作が流れる様に行われだした。

送った左手を切断する部位のギリギリに添え、思い切りよく刃を降ろすのがコツ。しかし思い切り過ぎると、床に手をぶつけるのが玉に疵。床にぶつける直前で手を止めるのが肝要だ。いわゆる寸止めってヤツだ。

順調に作業を進め、ラスト近くなった時、右手を降ろす最中に左手の人差し指が出過ぎているのに気付いた。

ヤヴァイ!指切れちゃう!

咄嗟に、そして必死に右手の動きを止めたが、少し人差し指に刃が接触した。だが指は欠損していない。

ふぅ、危なかった。指を見ると、指先の皮が2ミリくらい剥けているが、全然問題無いし。

その後通り掛かった後輩に、今の件を話し、寸止め成功だゼ!って云ったら、刃が接触した時点で寸止め出来てないじゃないっすか。と言われた。



確かに。