私は自他ともに認める「アマい母」です。
基本的に何かを禁止したり制限したりしません。
意見する事はありますが、叱ることは稀です。
それでも
息子に関して言えば、結果的にうまく育ったと思います。
問題は夫です。
この人生の半分を共に過ごしてきましたが、
前半の生育環境があまりにも違うので
共有できない常識がいまだに、恐らくは死ぬまで、
存在すると思うのです。
「お金を入れた袋がなくなった…」
電車の時間が迫る中、出発前に彼が呟きます。
私は嘆きのような苛立ちのような高い声で
「またぁ…どこに置いたか覚えてないの?」
玄関で靴を脱ぎ捨ててリビングルームに戻ります。
最後にそれらしきものを見た記憶をたぐり寄せ、
それを見つけてみせるのです。
彼を車で駅まで送る時、彼の不機嫌に気づきます。
「そこまで大事じゃなかったのに
高い声で文句を言われるとストレスになる」
何度言っても財布を持たず、ジップロックに現金を入れ、
それをポケットに突っ込んで出かける彼。
毎回と言っていいほど出発前に何かを探す彼が、
見つける側の私を責める資格があるのでしょうか。
使ったものは元の場所に戻す
これが私の常識です。
貴重品は細心の注意を払って持ち歩く
これも私の常識です。
彼にしてみたら、
小さいことは気にしない
こちらの方が重要なのでしょう。
腑に落ちないことがあっても
人はそんなに簡単には変われない…
私は繰り返す落胆に慣れていくのです。
私は自他ともに認める「アマい妻」です。
夫のマイペースにいつも振り回されながらも
彼の世界に合わせる努力をしてしまうのです。