ご結婚おめでとうございます。
いつからか、紀宮様が好きだった。
昔は、垢抜けない大人しい女の人のように見えた。
幼い私は、「皇室の人って可愛くないね。」と、
暴言を吐いては、おばあちゃんを困らせた。
私が皇室になんの関心もなく、歳を重ねる間に、紀宮様は変わった。
変わった、というよりも。彼女もまた、歳を重ねたということ。
気品。その存在だけで、人は美しくなるのだと知った。
紀宮様は、ほんとうに綺麗で、涙が出そうになる。
微笑みも仕草も。
その穏やかさは、とても本当とは思えない。
彼女が民間人になるのは、少し悲しい。
どうか。
あの凪いだ空気を、
汚す世ではありませんように。
ただ、願おう。
かつては私たちの象徴とされた、
長閑でたおやかな笑顔の、
彼女の幸せを。