私のしっぽ。 | Q05 quest

私のしっぽ。

「どうして私のことが好きなの?」と、訊く。

答えてくれることもあるし、

笑って聞き流されることもある。



「tokyo tower」を観て、

とても恋愛的な気分になったので、

私はまた、訊いてみた。




「…なつくところ。」




少し、驚いて、聞き返した。

「なつく?」


彼は、半分笑いながら、

「なんか、なついてるじゃん。」と言うので、

私が言葉を続けた。

「…"俺"に?」

「…そう。俺に。」




どうしてだか、私は、

飛び上がりたいほど嬉しい気持ちになった。

「犬みたい?」と訊いた私に、

「いや、人だけど…。」などと生真面目に答えるので、

私は、同じベッドで寝ているこの恋人が、

愛しくて仕方がない。




「自分で、犬みたいって思うことあるよ。」と言うと、

彼は笑っていた。






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幸福なことに、怯えそうになった。

満たされた感情に、私は慣れていない。




「幸せになる、覚悟はある。」と、

何だったかのCMの台詞を、

口に出して言ったみた。





「なにそれ。」

「…CMのまね。」






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私に尻尾があったら、ちぎれてしまうかもしれない。

この人となら、どこまででも行ける。