私のしっぽ。
「どうして私のことが好きなの?」と、訊く。
答えてくれることもあるし、
笑って聞き流されることもある。
「tokyo tower」を観て、
とても恋愛的な気分になったので、
私はまた、訊いてみた。
「…なつくところ。」
少し、驚いて、聞き返した。
「なつく?」
彼は、半分笑いながら、
「なんか、なついてるじゃん。」と言うので、
私が言葉を続けた。
「…"俺"に?」
「…そう。俺に。」
どうしてだか、私は、
飛び上がりたいほど嬉しい気持ちになった。
「犬みたい?」と訊いた私に、
「いや、人だけど…。」などと生真面目に答えるので、
私は、同じベッドで寝ているこの恋人が、
愛しくて仕方がない。
「自分で、犬みたいって思うことあるよ。」と言うと、
彼は笑っていた。
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幸福なことに、怯えそうになった。
満たされた感情に、私は慣れていない。
「幸せになる、覚悟はある。」と、
何だったかのCMの台詞を、
口に出して言ったみた。
「なにそれ。」
「…CMのまね。」
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私に尻尾があったら、ちぎれてしまうかもしれない。
この人となら、どこまででも行ける。