きれいな部屋でセックスをしよう。 | Q05 quest

きれいな部屋でセックスをしよう。

「する?」

と訊かれると、私はだいたいこう答える。


「暗くなったらね。」



カーテンが半分しかない私たちの部屋は、

日中はひどく明るい。





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部屋の掃除をした。



だらだらと、喋りながら。

ただ何となく片付けていただけだったのに、

いつの間にか、ふたりとも無言になっていた。

彼は洗濯物を干し、掃除機をかけ、

シェルフにたまった埃を拭いた。

私は洗い物をして、冷蔵庫の中を拭いて、

それからお風呂の排水口を洗った。

私が二度目の洗濯物を干している時、

彼は洗面台を磨いていた。




私のダンボールが、部屋の片隅、

というにはわりと多くのスペースを占領してはいるけれど、

陽の射した私たちの1LDKの部屋は、ずいぶんと綺麗になった。



それから、

壊れたDVDプレイヤーを修理に出しに電気屋さんに行って、

その後、スーパーへ行った。



彼は少しずつ、スーパーで買い物をする時に、

不機嫌にならなくなった気がする。

前は、ビールの6缶セットをかごに入れるや否や、

「早く帰ろうよ。」と私を急かしていたけれど、

少し、私のペースに合わせてくれるようになった。

「もち買っていい?俺の非常食。」と、

切り餅を嬉しそうにかごに入れていた。

あとから見たら、ちゃっかり海苔まで買っていた。



それから、レンタルビデオ屋さんに行って、

Interpreterを借りて、

ミニストップでソフトクリームを買った。

これはいつものお決まり。

私はバニラ。

彼は日によって。今日はミックス。

ミニストップのソフトクリームは、

本当とは思えないくらい美味しい。





帰ったときに部屋が綺麗というのは素晴らしい。

満ち足りた気持ちになる。

大事で大事で仕方がない、と思ってしまう。

私の日常。

この人といる私の日常は、

奇跡という瞬間の、堆積だと。

馬鹿馬鹿しくも本気で思ってしまう。









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お風呂にお湯をはった。

入れると黄緑色になる入浴剤を入れて、二人で入る。

私は一人で入っている時と同じように、唄う。

彼の、せかせかと体を洗うさまを眺めながら。

いつも、彼が先に出る。

私が、入る時に恥ずかしくて消してしまう電気を、

先に出ると、彼が点けてくれる。




私は、丁寧に丁寧に体を洗う。