となりの街のデートの記録。
2人で二度寝して、家を出たのは午後の2時半だった。
「神戸の美味しいチーズケーキを食べに行こう。」と、
言い出したのは、多分彼だったと思うのだけど、
私がネットで調べてお店を決めた。
美味しかった。
私が食べたのはミルクチョコレートのケーキ。
すごくすごく美味しかった。
彼のチーズスフレも美味しかった。
お買い物をしようと思って移動して、
パーキングに車を入れたところで、
彼の仕事のクライアントから電話があった。
車の中で、彼と電話口からもれる相手の話を聞いていた。
元上司の私の恋人は、優秀なビジネスマンだ。
よどみなく、きちんとした言葉で、わかりやすく話す。
私はその話し振りに聞きほれていた。
馬鹿みたいだけど。
結局一緒に仕事をすることがなかったから、
仕事モードの彼を垣間見られるのは、
私にとっては嬉しい偶然なわけで。
丁寧な言葉で電話を切った後、
「ちょっと頭悪いんだわこいつ・・・。」と、
ため息混じりに、いたずらっぽい笑みを見せた。
彼は誠意のある、本当に優秀なビジネスマンだ。
その後は、三宮あたりをふらふらと歩いた。
ZUCCAで彼の秋冬用のアウターを買った。
あまりに寒かったので、着て帰ることにした。
それからインテリアショップをまわって、
ソファとテーブルと、オットマンも買った。
私は、自分用に2006年度の手帳も買った。
それから2人お気に入りのカフェに行って、
漬物パスタと、そばめしと、
エスニックサラダとチーズ春巻きを食べた。
2人で外食をしたのは久しぶり。
新しいマンションの家具の配置を、
ああだこうだと話し合った。
何を買って、何を捨てるか、とか。
ふたりでひとつの、これからの人生の話。
帰りの車から、大きな月が見えた。
少し欠けた、大きな大きな月。
神戸の街のイルミネーション。
「あれから、もう1年になるんだね。」と、
私はまた、出会った奇跡に感謝をした。