夢の中の昔の恋。 | Q05 quest

夢の中の昔の恋。

「今何時。」と、彼に訊いたら、

「2時。」と嘘を言われた。

本当は朝の9時だった。

先週、午後まで寝倒してしまったこともあって、

わたしはびっくりしてとび起きた。

彼は満足げに笑っていた。



せっかくなのでシャワーを浴びて、

小一時間ほど、お風呂場で唄った。

SPEEDの歌。

my graduation。

本当に久しぶりに唄ったこの曲には、

懐かしい恋の記憶がくっついてくる。



中学を卒業する時に流行っていて。

私は、テニスをするために、

大好きだった男の子と離れて、

県外の寮に入ることに決まっていた。

大好きだった、やまちゃん。



結局、別れたのは大学に入ってからだったけれど。



夢を見た。

やまちゃんの夢。

夢の中の私は、まだやまちゃんに恋をしていて。

それから亦木くんが、

ユニバーサルスタジオジャパンのことを、

「UFJ」と言い間違えて、顔を真っ赤にしていた。

あゆみも、ゆきえもいた。

懐かしい顔がごちゃごちゃに混ざった夢。



恋人の隣で、

私は昔の男に恋をしていた。

ちょっとリアルだったから、

起きた時に少しだけ後ろめたかった。





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シャワーを浴びながら、

ひとしきり思い出を唄って。

髪も乾かさずに、

まだベッドにいた恋人の横に入って、

また眠ってしまった私。

これだから休日は好き。



懐かしい。

懐かしい。

もう、懐かしいとしか思わない。

思えない、昔の恋愛。



恋人の腕枕。

左手を曲げて、私の頭を撫でる手。

体をよじって、両手で抱きしめた。

彼の細い体は、私と抱き合うのに調度良い。

ぴったりと体をくっつけて、彼の首にキスをした。

「気持良いね。」と言うと、

彼はまた、満足げに笑っていた。






この幸せが、ずっとずっと続くといいな。