片思い。
久しぶりに、ひたむきな恋心を目の当たりにした。
私の少ない友人の多くは、いつも恋をしているけれど。
だけど、彼女たちはどう考えても恋愛玄人で、
知らないところで、勝手に恋をつかまえてきては、
その時々に色を変える幸せの空気に、
すました顔で浸っている。
だから、ちょっとどきどきしてしまう。
そのひたむきさだとか、センチメンタルだとか、
何というか、恥じらいにも似た、
趣深さのようなもの。
私の言う、「ひたむきな恋心」というのは、
つまりは好きな人のために一生懸命になること、という意味。
彼女は本当にまっすぐに恋をしている。
それはとても可愛くて、強くて、気高い。
聡明な女性が、両手ばなしで、
一生懸命、恋をしている。
ある種の迫力さえ感じられるもの。
本当に、
恋をしてしまった人間は手に負えない。
片思いはなおさら。
きれいなきれいな無償の愛。
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思い知らされる。
報われれば報われるほど、
欲張りになってきた自分。
少しずつ、少しずつ、
優しさを落としてきたのかもしれない。
携帯の、着信音を変えた日。
私には別の恋人がいたのに、
違う男の着信音を、専用に変えた。
心変わりを、認めた日。
はじめてその音が鳴ったとき、
あんなにどきどきしたのに。
忘れてしまった、片思いの日々。
戻れないね、もう。
戻らなくて、いいけど。