片思い。 | Q05 quest

片思い。

久しぶりに、ひたむきな恋心を目の当たりにした。



私の少ない友人の多くは、いつも恋をしているけれど。

だけど、彼女たちはどう考えても恋愛玄人で、

知らないところで、勝手に恋をつかまえてきては、

その時々に色を変える幸せの空気に、

すました顔で浸っている。




だから、ちょっとどきどきしてしまう。

そのひたむきさだとか、センチメンタルだとか、

何というか、恥じらいにも似た、

趣深さのようなもの。



私の言う、「ひたむきな恋心」というのは、

つまりは好きな人のために一生懸命になること、という意味。

彼女は本当にまっすぐに恋をしている。

それはとても可愛くて、強くて、気高い。


聡明な女性が、両手ばなしで、

一生懸命、恋をしている。

ある種の迫力さえ感じられるもの。





本当に、

恋をしてしまった人間は手に負えない。

片思いはなおさら。

きれいなきれいな無償の愛。





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思い知らされる。

報われれば報われるほど、

欲張りになってきた自分。




少しずつ、少しずつ、

優しさを落としてきたのかもしれない。





携帯の、着信音を変えた日。

私には別の恋人がいたのに、

違う男の着信音を、専用に変えた。


心変わりを、認めた日。


はじめてその音が鳴ったとき、

あんなにどきどきしたのに。



忘れてしまった、片思いの日々。

戻れないね、もう。










戻らなくて、いいけど。