また瞼が腫れた。 | Q05 quest

また瞼が腫れた。

朝だと思って起きたら、午後の3:00だった。

休日出勤で、5:00からアポイントのある彼を慌てて起こす。

パンを焼いて、彼のぶんのコーヒーと、自分には紅茶を入れた。

切らしてしまっているバターの代わりに、はちみつを塗った。


忙しくシャワーを浴びて、スーツを着て、

あっという間に恋人は部屋から居なくなってしまった。

寝坊をしたせいで、今日は帰りが遅いらしい。

惰性で眠り続けた、午前中の時間が恨めしい。



私は、自分の紅茶を啜りながら、

彼が飲み残したコーヒーを台所に流した。



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昨日の夜、私はひどく情緒不安定だった。



なんだかよくわからないけれど、

涙が止まらなくなったので、

お風呂に逃げ込んだ。

少しだけ声を出して泣いた。

本当にわけもわからず悲しくなった。



私と入れ替わりにシャワーをした彼が、

お風呂場から出てきた時、

私は寝たフリをしていた。

本当に眠りにつけたら楽なのに、と思いながら、

彼が体に触れてくれるのを待った。

求められることで、

寂しさを埋めてしまいたかったから。



何度もキスをしてから、

それでも涙を流す私に彼は困っていたのだと思う。



「傷つけてるの?」と、訊いた。

私は細かく首を振った。

違うの、そうじゃないのと否定をしたいのに、

涙がのどにつまって声が出なかった。





それからしばらく、

私が落ち着くのを待ってから、セックスをした。

体を重ねることは本当に重要だと思う。

快楽とは別のところで、

もっと素朴で奥深い感動がある。




そうして、私は少し、安心する。




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怖くて仕方がない。

本当は知っている、涙の理由。



「必要だよ」と、言って欲しくて仕方がない。

私は何も出来ないから。

お金も稼げないし、

料理も下手だし、

セックスも上手じゃない。




わかってる。

こんな風に考えるのは馬鹿げてる。

一緒に居る理由は、

そういうことじゃない。わかってる。



先に眠ってしまった彼の腕枕を解きながら、

しつこく込み上げてくる涙を堪えた。



眠ろう。

それでも、2人ここにいるんだから。

明日の朝は私からおはようのキスをしよう。


彼の肩に、頬を当てた。

皮膚の温かさにほっとした。