わがままな2人
私たちはよく似ている。
性質とか。本質とか。
そういった類のもの。
普通、恋人同士なら、
磁石で言えばN極とS極とか、
そういう感じが良いのかもしれないけれど、
ある意味では私たちは、
同じ性質を持っている気がする。
要するに、わがままということなのだけど、2人とも。
それから2人とも、その性質で上手に生きてきていて。
わがままを許されることに慣れている節がある。
思い起こせば私はいつも、対極の人と付き合っていた。
きっと彼もそうだったのだと思う。
たとえば、
ベッドにずっしりと寝転んでしまって、
電気を消したいけれど体が重くて動かない時とか、
お風呂に入りたいけれど、お湯をはるのが面倒くさいとか、
どうしても咽喉が渇いて、近くの自販機までジュースを買いに行くとか。
そういう細かいことにおいて、私たちはなかなか譲らない。
頑なに、と言ってもいい。
そうして、「あれ?」と思う。
あれ?と。
いつもならつまづかないところなのに。
それから、笑えてくる。
本当にこの人は、思うようにいかない。
今までの男の人たちの、献身さを知る。
感謝、感謝。いまさら改めて。
それから、いずれどちらかが折れる。
仕方ないなー、とか。
本当にわがままだな、とか。
言いながら。
それから、折れたことは忘れない。
たぶんお互いに、
自分のほうが大人だ、と思っている。
相手のわがままを許した自分の大きさに満足し、
小学生みたいな頑なさで、
わがままを通したことは、あんまり覚えていない。
そんな、2人。
それでも、
そんな自分たちがおかしくて、
好もしいから良い。
これからも、
小さなわがままを許しあいながら、
一緒に居よう。
ずっと。
ずっと。