不器用であることは職人にとって重要な資質です。
器用な人は要領がよく上達するのにさほど時間がかかりません。
即戦力としては重宝しますが、楽をすることを覚えてしまうことが多いのです。
結果、仕事の奥深さを知ることが困難で達人の域にはなかなか達することが出来ません。
一方で不器用な人は要領が悪いから技術を身につけるため長い時間がかかります。
器用な人が簡単に覚えたことも失敗を繰り返し、技術を身に付けるためにひたすら努力し続けなくてはなりません。
結果、ひとつひとつの工程を細部まで考え、丁寧に理解し熟練していきます。
すると先々、何となく出来るようになったまま反復しない器用な人とは確実に差が出てくるのです。
端的に表現するなら「兎と亀」の状態になるわけですね。
そして器用な人が一人前になった後も、不器用な人は継続して技を磨いていきます。
こうして伸びしろにも差がつき、一流にたどり着くのは器用より不器用が格段に多いのです。