バンコックより
タイ国家警察にて仕事している
盟友金丸氏が一人の男性を連れて現れた。
日本で入院していて、冷房が寒いと思い
左手で毛布を身体に乗せ直そうと
布団を引っ張り上げた時に
肩がバキっとなってそれ以来左肩の外転が
不能になっていた男性が目の前にいた。
五十肩を治せるという治療家もいるらしいけど
原因が癒着ならば癒着を剥がす以外はない。
だってそこが固まってんだからさ。
それ以外の方法で挙がるようになっていた
のなら癒着はなかったと考えて間違えない。
例えば脊柱管狭窄症を治せると
豪語する治療家もいる。
こんな人は解剖をしたことが
ない人の言葉だと言って良い。
だって、実際に脊柱管と言って
脊髄が通るトンネルが骨棘やら何やらで
実際にその部分を確認したことがあるなら、
あぁ、こんなに小さい穴になって
しまうことが実際にあるのか
と目視した経験があれば
脊柱管狭窄症？あぁ治せますね。
と言えなくなる。
良くなった例はそのトンネルが
背骨の歪みによって上と下の背骨の
位置が著しい捻れやズレが起き、
それを正したら改善もしくは痛みが
出なくなったという例はあるだろう。
つまり、それはトンネルが脊髄を
絞扼する程の穴がなく、
単に背骨のズレを直していたので
症状が出なくなったというのが
本当のところだろう。
確かに医師が画像診断を行い
脊柱管狭窄症であると診断したとしても
何例も症状を無くしてきたことがあるものの、
それは医師が判断した穴の大きさと
脊髄の通りは関係なかったことになる。
てのはもちろんある。
しかし人体解剖学実習室で見た
あの脊柱管の穴が他のトンネルの大きさよりも
かなり小さくなっていたのを目視した俺は
脊柱管狭窄症の患者さんが来ても
良くなるかどうか？分かりません。
ただ試してみましょう。
といって施術を行う様に変わって行った。
医師はいつも整体師達を色眼鏡で
みているのはそんな差なんだと思う。
五十肩に関しても癒着があり、
それを生理食塩水の注射で剥がしたところ
痛みがなくなり途端に回復した
という例はいくらでもあるのだが、
前腕を揉みほぐせば良くなったとか頚椎がとか
骨盤がとかの問題ではないのが実情だ。
手を鉄棒に縛り付け飛び降り
挙げられない肩を無理やし
バキっと動く方へ持っていくことを
した人がアメリカでいたそうだ。
実際に彼はその後五十肩がなくなり
日常生活を送り出したそうだが、
ふとした動作で自然に肩が脱臼する様になり
関節包を縫ったと聞いている。
癒着を無理に剥がすのは非常に危険である。
生理食塩水注射は医師以外は出来ない。
五十肩が治ったというのは癒着がない場合は
あり得るが、通常無理だというのが
メディカルの考え方であり納得する。
私五十肩で困ってます。
病院で五十肩と診断されたし
リハビリ師も五十肩は治らない
と言ってました。
といって目の前に来たのだった。
五十肩は癒着している場合が多く
自然に良くなるのを待った方がいいですよ。
と言ったものの話を詳しく
聞いていくうちに違和感を覚えた。
今回の症例はこうだった。
毛布を身体にかけようとした時にバキッと
音がしてそれから肩が上がらなくなった。
五十肩の臨床上あまり聞かないストーリーだったんだ。
痛いのはどこ？
後ろです。
後ろ？実際にこうして外転してみて。
30度くらいでイタタと言い出す。
で、痛いのはどこ？
後ろです。
へーーーー後ろなの？
じゃぁできるところまで
こういう動きしてみて。
と外旋させる。
殆ど動かないが痛いという。
どこが痛いの？
後ろの部分です。
前は痛くないの？
前じゃなくて後ろです。
ふーーーむ、これ治るかもしれないな。
五十肩が痛いのは大抵前面を痛がる。
俺は30度しか外に開かない上肢を
前腕を掴みが移転させてみると
70度くらいまで挙がる様になった。
え？？とその場にいた
タイ国家警察の金丸氏も俺も驚いた。
本人は何が起きたのかわからんかった。
腕橈骨筋という筋肉を掴んだらあがったのだ。
そこから正常可動域まで挙がる様に
なるまで1分かからなかった。
また戻りますか？
戻らねーよもう平気。
そう言うと嬉しそうにされていた。
臨床経験が多くなると
お医者様の診断はそうだとしても
ちょっと自分の経験と違うな？
と違和感を覚えることが出てくる。
例えば変形性ひざ関節症と言われ
やって来た婆さんは
朝から寝るまでずっと膝が痛い。
歩けるけど痛い。
と言って摩りながら膝を見せる。
でいくつか質問するわけ。
婆さん、朝起きた時とか
歩き始めは特に痛いだろ？
だからアンタいつも痛いのよ。
そうだよね。で、歩き始めは痛いけど
だんだん痛みが引いてこない？
アンタいつも痛いんだってば。
ってコトがある。
婆さん痛いのは膝のどこなの？
と聞くと、
内側ではなく膝の皿の上だったりする。
これは変形性ひざ関節症ではないな？
もしかするとと気がつく。
変形性ひざ関節症の特徴的な症状は
歩き始めが痛く、歩いているうちに徐々に
痛みが引いていくというパターンが多い。
これは医学書にも書いてあるし臨床上もそうだ。
そして膝の内側が痛いことが多い。
そしてその治し方はDVDでも収録している、
確かKYT DVD Level3か何かで。
でも、婆さんの痛いという場所が
膝の皿の上だった場合ピンと閃く。
膝が伸びきらないから歩行時
いつも大腿四頭筋が頑張りすぎちゃって
お皿が関節を圧迫しっぱなしなんだな。
膝を完全に伸ばせる様にすると途端に痛みが消えた。
医師の診断ミスと言ってはいけない。
変形性ひざ関節症のままでいいじゃないか。
五十肩診断されて実際に良くなった例は
いくらでもあるが、医師の診断ミスか？
そうじゃない。いいじゃないか五十肩で。
運がいいパターンだった。
そう思うことにしている。
だって、医師がたまには判断誤まって
くれないと俺達の仕事が減るだろ？
ありがたく全てを受け入れようじゃないか。
こんな臨床の話は
原口准教授が得意としている分野だ。
セミナー後の懇親会でも
ぜひ話を振ってみてほしい。
こんな治せない患者さんがいるんですよ。
アドバイスくれませんか？と言えば
先生もう充分です。
やってみますんでもう腹一杯
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それが原口力也という男なんだ。
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帝京平成大学ヒューマンケア学部・
帝京平成大学大学院健康科学研究科 准教授
帝京池袋接骨院 院長
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