【明日9日正午、第9回ハワイ大学解剖実習&KYTセミナーin Hawaii募集開始です】
仙腸関節が気になる治療家が多いよね。
思春期の高校生みたいに仙腸関節に恋い焦がれている。
今回集まった受講生も殆ど皆が仙腸関節に恋い焦がれていた。
俺だって仙腸関節が好きだ。好きでたまらない。
でも、どうせだから好きで恋い焦がれている
モノの実態を知るべきだって思うんだ。
だから生献体でカラダを散々観察した後、
一緒に仙腸関節が動くのかどうなのか検証する事にしたんだ。
以前ホルマリン処理された御献体で仙腸関節を
左右から捻って動かないと結論した人達の中に
「だってコレは亡くなった人のカ
ラダだからね 本物とは言えないよね」
と言ったんだ。
まさに思春期の高校生。
「俺の好きなあの子はそんなオンナじゃない！」
という気持ち・・・うんうん分かる、分かるぞ〜
その気持ちも懐かしい。そして好きだ。
で、生きているのに最も近い御献体の
カラダで試してみることにしたんだ。
仙腸関節の話の前に腰仙関節の深さなんだけど
受講生の皆さんと見たのは70代のご高齢
だというのに4.5センチの深さがあった。
ここを狙う手技が世の中に沢山あるよね。
押したところで腰仙関節に届いたところで
相当ボヤける圧になるな。
ストレッチして背骨を前に倒したとする。
すると後面は伸びるけど、前面つまり後ろから見て
奥の筋肉をよく伸ばすのには相当屈曲しないと難しそうだ。
校庭のトラックを走る時のインコース
はいつも伸びにくいって感じだ。
じゃあ捻る？→腰椎はツイストできて
5つの腰椎で5度だと言われている。
うーーん。
矯正する人も指圧する人もアプローチ出来てんのか？
ってこれを見て佇んでいた。
しかもこの上に脂肪と表皮や真皮が乗っている。
聴いた話、つまり教科書でも分厚さは知っていたはずだ。
でも実際に目の当たりにすると脳の混乱が起こる。
それはあたかも格闘家が対戦相手を攻略する為に
作戦を練り、戦い方を準備するのだが、
実際に対峙するとテクニック以上に
対戦相手の圧力がすごくて圧倒され、
準備が何の意味も無くなってしまうのに似ている。
佇んでいた治療家はこの事実を
知って良い経験をした事になる。
続いて仙腸関節は大臀筋や脊柱起立筋など
強烈な筋肉に保護されている。
多くの参考書は仙腸関節を跨いだところに
大臀筋が付着している。と書いてある。
しかし俺が見たところ既に数十体見てきたけどさ、
俺の感じだとそうでは無い。
勿論、仙腸関節を跨いだところについている線維も
あるのだけど多くは正中仙骨陵にまで到達していた。
その下に脊柱起立筋の起始部が始まっている。
そこを丁寧に剥いでいくと強烈な靭帯が顔を出す。
筋肉でも充分にガチッと仙腸関節はロックされているが
この下の靭帯はとんでもなく強く頑丈だった。
コレが動くのか？
全員は息を呑んだ。
そっちとこっちで上下に骨盤をねじってみようよ。
その時１人が仙腸関節に指を置いて観察しよう。
てことで左右に大男を配置。
真ん中に指を１人が触れて観察。
行きますよ！せーのっ！
「どうなの？少しは動いてる？」
「いえ、全然」
「もっと捻って！」
それでも変わらなかった。
「じゃあ恥骨結合が離れるかやってみようか」
てことで
「そっちの腸骨を引っ張ってください」
と仙骨を両脇から圧迫して左右の上前腸骨棘を遠くに開いていく。
ビクともしなかった。
ダメそうだな
「あ、じゃあ恥骨結合を取って仙腸関節にアプローチしてみようか」
と誰かが言った。
確かに頑丈な前の連結部を取れれば
仙腸関節は動くかもしれない。
新潟の先生が恥骨結合をメスで裂いていった。
そして再び仙腸関節を左右から持ち
上前腸骨棘を上下にねじってみた。
ビクともしなかったが人数を４人がかりに増やして捻ると
メキメキバキンと大きな音をたてて仙腸関節は割れた。
いや、仙腸関節を狙ったのに割れたのは
仙骨の右上方が欠けるように割れた。
つまりはこういうことが分かった。
仙腸関節を繋いでいる靭帯は沢山あるよね。
その靭帯が強烈過ぎるため、仙腸関節が
離れるのではなく仙骨が骨折したことになる。
割れた仙骨は赤々とした骨髄が露わになった。
各自が仙骨と腸骨の強さを改めて理解させられた。
また恥骨結合の重要性も理解できた。
ココが切れていなかったら4人がかりでも
とてもとても仙腸関節は骨折させて
しまったものの理解出来なかったのだ。
しかも真ん中で仙腸関節に指を置いていた先生の答えは
最後までやはりピクリともしなかったと言っていた。
恋い焦がれた仙腸関節は結局のところ思い描いていた
仙腸関節ではなかったという結果になってしまった。
だがしかし、この事実を知ってもなお仙腸関節が好きだ。
アントニオ猪木がビックバンベーダーに負けた時、
悔し涙を流したが、それでもなお猪木が好きだった
自分を思い出していたんだ。
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