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バンコクより
先日ココに書いた動画の杖をついていたオバさんは
今日、室内で杖無しで歩いていた。上出来だよね。
今日そのオバさんに呼ばれたのは、
とある人を紹介すると言っていたんだ。
とある人はエベレストを登ったオジさんだった。
エベレスト登った人なんて貴重じゃん。
是非武勇伝を聴いてみたいものだと
ワクワクしながらオバさんのお宅に来たんだ。
どんなタイ人だろうかと思い込んでいたけど
やって来たのはなんと日本人だった。
気さくなオジさんだった。
名前は宮田さん75歳
エベレストの話で盛り上がる。
6000メートルを越えてダンダンと空気が薄くなり
やがて高山病の症状が出てきたと言った。
目眩や頭痛などらしい。
元々オジさんのカラダは自他共に認めるほど
丈夫で岩登りが得意だったんだそうなんだ。
日本の山では飽き足らず、20代後半で
海外の山を登り始めた。様々な山を登った。
65歳で夫婦でエベレストを目指したそうだ。
人の歴史を聴くのはとても面白い。
日本の山を何度もなんども登り続ける人もいれば、
世界を目指し、どうせなら世界一のエベレストを
目指そうなんて人もいるんだ。
宮田さんは正にそれだった。
岩山を登るなんてのは今で言うボルダリングだ。
結構体力に自信があり自分なら出来る
と過信してしまっていた。
6000メートルを超えると突然空気が薄く感じだし
その地点から雪の質が全く変わるそうなんだ。
更に高山病の症状が出てきた。それでも
フラフラしながら登り続けだそうなんだ。
届きそうで届きそうにない岩に手を伸ばし、
宮田さんは手を滑らせ、10メートル下の
崖に落ちてしまった。
「その時に足首を骨折しまして」
と言うと、靴下をめくって右内くるぶしの
手術した後をみせてくれた。折れたのが
足首だけだったのはまだ不幸中の幸いだった。
6300メートル辺りからシェルパといって
エベレスト専門のガイドが宮田さんを担ぎ
3800メートルの地点まで運んでくれたそうだ。
そこにはヘリポートがあり、そこから
カトマンズの病院で即入院したんだそうだ。
長い話だったが端折ると↑↑↑こんな感じだった。
足首は可動域が問題なさそうで
グルグル足を動かしてみせてくれた。
宮田さんが俺に逢いたがってくれて
いたのは別の問題があったんだ。
「膝が痛むんです」
宮田さんは歩く時もしゃがむ時も、
起き上がる時もいつも痛いと言って
ズボンをたぐり上げると膝を見せてくれた。
「あれ?手術の跡がありますね。
やはりエベレストの10メートルの
崖から落ちたので膝も怪我したので?」
「いえ、コレはその辺で転びまして」
エベレストじゃなかった(^^)
「雨降りが続いて排水溝から道路に水の通り道
ができて、そこだけコケが生えてましてね、
そこでコケて右膝のお皿が砕けたんです」
「エベレストに比べると大分地味ですネェ〜」
今回逢いたがってくれてのはこの痛みの相談だった。
一流どころのタイの病院で手術し
リハビリもしたがコレは一向に治らない。
歳のせいだとか言われると悔しい。
だって自分はエベレストに挑戦したオトコなんだ!
という自負がまだあるようだった。
膝以外はムキムキなんです
と見事な筋肉を見せてくれた。
もしかして、と俺はすぐに
膝蓋骨を触ってみて分かった。
動きはあるが可動域が狭い。
「コレは手術は成功したんですよね?」
「そうお偉いお医者さまが言ってましたね」
「なんでまだ痛いんですか?」
「分からないと言ってました」
そうだろうそうだろう
コレは手術による皮膚と筋膜の癒着だからだ。
コレは直接ココにフォーカスした施術が必要になる。
宮田さんに反対側の膝蓋骨を出してもらい、
健側の膝蓋骨の皮膚を引っ張り上げた。
健側の皮膚には遊びがあり膝蓋骨自体も
スムーズに動いていた。
それと比べ患側は動きが10分の1程度であり
皮膚を引っ張り上げても筋膜と皮膚の
スライディングが起きていないコトを
意味しているのを理解させることができた。
俺は5分ほどコレを剥がすように施術してみた。
宮田さんは
「かなり楽です全然良いですね」
と喜んでくれた。
やり方を教えると宮田さん自身でも
実際にやってくれるように指導した。
「大病院が悪いのかと思ってました」
と宮田さんが言うも俺は医療人としてフォロー
「先生も多分忙しくて伝え忘れたのかも。
もしくはコレは病院の範囲ではないとか?」
「いや手術は成功と言ったのだからその後
のリハビリのセラピストのせいだな」
「この癒着してしまう仕組みを知っている人は
あまりいないと思いますよ。俺は1秒で見抜けたけど」
とにかく原因が分かり、どうすれば良くなって
いくのか分かった宮田さんはニコニコしていた。
帰り道、俺もエベレスト付近を
トレッキングしたのを思い出していた。
ネパールのお婆さんが股関節が痛いから助けて
と言われてカトマンズまで助けに行ったんだった。
普段から見ているセラピストが俺の施術をみて、
コレは絶対に同僚に見せたいとランチをご馳走
しますからと病院に案内されたのを思い出した。
赤十字病院の施設でKYTセミナー開いたし
ヒマラヤをトレッキングしたし、帰国の日、
デモ隊にパスポート取り上げられて
ヒヤヒヤしたことも思い出していた。
もう10年以上前の話だ。
あの婆さん元気にしてっかな。
ネパールの昔のとあるクライアント
のコトを思い出していたんだ。
あの治療家達はその後KYTを使いこなせているだろうか?
10年前と比べてKYTはスッカリ進化を遂げてしまった
からいつかまた教えに行ってあげたいな。
そんな想いで次の患者さんが待つお宅に向かって行ったんだ。




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