余命一年を宣告されたのは去年の春だった。
つまりガンのレベルはステージ4を迎えていた。
それでも酷い腰痛のために苦しんでいたLeeと
家族は脊髄の脇まで広がった腫瘍を取ることを選び
限界までドクターが頑張ってくれたおかげで
腫瘍はかなり取れたが脚が動かなくなってしまった。
その頃俺は6月KYT世界一周治療ツアーの際中で
UFCマイアミ大会に出場するはずだった金原選手と
合流すべくフロリダ州に滞在していた。
結局ビザの問題で金原選手がフロリダで戦うことは
流れてしまい(アメリカでテロの噂があってビザの
発給が一時的にストップしたんだ確か)、
俺はアメリカントップチームに所属している
キングモーのケアに切り替えた。
その頃西海岸の友人達から連絡があった。
アメリカにいるのか?ロサンゼルスに来てくれないか?
とエアチケットを送り付けてきたんだ。
キングモーのケアを早めに切り上げロサンゼルスに飛んだ。
Leeは中国系アメリカンで検事の仕事をしていた。
だから治療費は良い健康保険に入っていて、
のはずだった。
アメリカで病気や怪我をすると多くの場合は半端なく
金が掛かり多くのヒトが破産に追いやられるんだ。
しかしLeeは仕事を変えたばかりで病気が発見されて
しまい、健康保険があまりいい条件ではなかった為に
高校時代の友人達が手厚くサポートしている様子だった。
実際フロリダからロサンゼルスのエアチケット
そしてそこからハワイ解剖学セミナーの為の
チケットを送ってくれたのも高校時代の同級生だった。
腫瘍摘出で下半身が動かなくなってしまった
のをどうしろというのか?
俺は全力で手を振って無理無理無理と伝えたけど
彼らはそれは知っている。ただKenの出来ることを
してくれたらそれで良いんだ。と言った。
毎日のようにLeeは理学療法士さんが自宅に
やって来てベッドから起き上がる訓練や
ベッドから車椅子に乗る練習をさせていた。
去年の6月28日の話だ。
家族も同級生たちもこの理学療法士さんに
少々不信感があって俺に何が足りないと思う?
と聞いてきた。
それは無茶ぶりも良いところだ。
だって理学療法士さんは専門家だ。
ベッドから起き上がる動作やカラダの動きは
彼らが誰よりもマスターしている。
Leeの具合が良くならないのは理学療法士さんの
せいではないはずだ。病気を理解しない家族は
色んなところにあたりたくなるんだ。
気持ちはよくわかった。
それでもこの理学療法士さんの
足りないところは幾らでも挙げられた。
立位での維持を上半身の力だけで掴まり立たせている。
という事は下半身に力が入っていないという事なのか?
俺は理学療法士さんが帰った後カラダをチェックした。
下半身は何も感じないと言って痛んだけど
膝の裏をゴリっとしたらLeeが
「イテェ!」
と言ったんだ。痛覚はある。
じゃぁ運動神経は生きているのか?
「Lee、足を動かしてくれ」
「Ken、知ってるだろ?無理なんだ。俺の足は動かないんだよ」
「そうだ。知っている、でも試しにこの膝を
伸ばすようにチカラを入れてくれ。こうやるんだ」
俺は自分の膝を曲げ伸ばしして見せた。
俺は注意深く膝近辺を触った。確かに動かない。
ん?まてよ 直接地肌を見たんだ。
「Lee もう一回だ。もう一回だ動かしてくれ」
嫌がるLee、家族も見守っているが
何してんだこの日本人はって顔してた。
Leeは力んだ関節は動かない。
しかし俺が見ていたのは皮膚なんだ。
僅かだけど皮膚が動いていたんだ。
つまり関節を動かせるほどのパワーは無いが
完全に運動神経は繋がっているコトを示している
と確信した。次に俺は大殿筋の収縮も確認した。
「Lee コレなら歩けるようになるかもしれないよ」
家族や友人達はハイハイ勇気づけ感謝します
的な顔していた。だから思い切って宣言したんだ。
「3ヶ月で立って少し歩けるようになる」
家族は呆れていたけどLeeだけは眼を輝かせた。
「Kenを信じるよ」
と言った。
それから3ヶ月Leeのガールフレンドは
彼の家に泊まり込みで世話をしたし、
家族も代わる代わるケアに当たったと聞いている。
9月にアメリカに訪れたのはKingMoの試合の時だ。
San Joseからロサンゼルスに寄りそしてLeeを訪問した。
驚いた。彼は実際に立ち上がって見せた。
車イスからスッと立っただけではなく
平行棒の間を歩いて見せてくれたんだ。
嘘だろ?俺は奴の前で泣いてしまったよ。
それはKenの言うコトを信じるよと言った
Leeが実際に立ち上がって見せてくれたんだ。
Leeの同級生たちは俺に
「Ken今度は彼が歩行器なしでも歩けるようにしてくれ
12月に彼は中国に一時帰国したいと言っているんだ。」
と言った。
俺はまた思い切って宣言したんだ。
「ああ、彼は歩ける。あと3ヶ月で歩けるようになる」
今度はLeeだけでなく同級生も家族も
そしてガールフレンドも俺を信じた。
Leeは
「Kenが言うなら信じるよ」
と言った。
そして11月の終わりに送ってきた動画では
フラつきながら歩いているLeeの動画が送られてきた。
もう何にも言えね~瞬間だったんだ。
俺はLeeに逢いに行きたかったけどホントに
世界中から呼ばれ続け再会を果たせなかった。
去年は異常なほど海外が多く1年間で
地球4周近くマイルを稼いだ。
Leeは中国に帰れたのだろうか?
それがLeeに脳への転移が見つかってしまい
行けなくなってしまったと聞いた。
歩けるようになってきたLeeはスタスタ歩き転倒した。
それ以来あまり歩かなくなったとも聞いた。
ショックだった。歩けなくてもいい。
俺は彼の友人だから。でも脳への転移が痛かった。
あれからどうしているんだろうか?
片時も忘れた事は無い。
ロサンゼルスに先日行ったときは脳の腫瘍を
レーザーで焼くという話で会えなかった。
彼が婚約するという話を聞いた。
何度も聞き直した。
彼のガールフレンドは彼が生きているうちに
彼と結婚してあげたいと希望した。
余命あっても数ヶ月だ。
俺がLeeなら気持だけ受け取るだろう。
だってそれは余りにも悲しすぎるじゃないか。
自分はもって数ヶ月の命。彼女に何もして
あげられないなら俺ならば婚約はしない。
でもLeeはそれを選び刹那な幸せを選んだ。
先日婚約をしたと写真が送られて来た。
2人は幸せそうだった。
俺は2月に執り行われる結婚式に招待された。
通常は婚約から半年期間を置くのだが
婚約から僅か2週間後に結婚式を行うってのは
恐らく自分の余命を感じているからだろう。
Leeに残された時間はあと僅かだ。
俺がその次にアメリカに渡航するのは
7月でありそこまでの予定はビッチリ固まりつつある。
そしてそれらを含めて考えると俺は今回が
恐らくLeeとは「今生の別れ」だと思っている。
最後にLeeと逢うのは彼の結婚式になる。
俺は彼の想い出を残し俺の人生で生き続ける
ものとする為に最高の一眼レフを買った。
理由付けは様々だ。Leeの家族や同級生達に
Leeの写真を最高な形で残したい。
それはNikonでもCanonでもなくPENTAX645Z
という世界で一番高性能なカメラを選んだんだ。
今年はスタッフの結婚式やフィリピンの親友の結婚式もある
結婚式に出席する度にLeeを思い出すに違いない。
Leeは俺の特別すぎる友人だからな。







原口准教授×Ken Yamamoto
第1話「身体アライメントと下肢の傷害」
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第2話「足関節の診かた - 機能と構造 -」
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第3話「原口テクニック RHT 理論&実技 RHT」
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第4話「最新足関節捻挫の正復(整復×矯正=正復)と固定」
Dr.ウエムラ×Ken Yamamoto
第1話「東京オリンピックに関わる治療家になるためには」
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第2話「肩こりの原因」
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第3話「骨盤のサブラクセーションが下肢に及ぼす影響」
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