村人に連れられてやって来た
何処かわからないド田舎。
四方を見渡す限り畑しが見えない。
ココは、タイの東北地方のどこかだ。
自分の所在地を知らないまま二日目に突入した。
Wi-Fiがかろうじて通じる場所は
この村の公民館的なところが
10回に一回くらい送信が可能となる。
そして携帯中毒のに日本人に
とって連絡手段を閉ざされる。
情報を得られなくなるというのは
恐怖にも似た落ち着きのなさに陥るだろう。
この公民館までやってくるのに
クルマで30分かかるんだ。
だから、なんかのついでに
家畜の匂いしかしないクルマに乗込み
何度かチャレンジを繰り返すんだ。
この村には一人の腰痛を
治したことから始まっている。
お礼がしたいと昨日連れられてきたけど
その夜、僕をさらったヒトが頼んできたんだ。
「うちの爺さん、最近膝が痛いと言って腫れてて
しゃがめないしあぐらかけないし難儀しているんだ」
と想像だけどタイ語だからわから
ないんだけど確かにそう言っていた。
左右の膝を比べると確かに痛い左膝は腫れており
これじゃあ膝の屈曲は痛そうだなとわかったよ。
イロイロチェックしたところ
骨盤から直さなければ治らないことがわかったよ。
詳しくは今度のセミナーで喋らせて欲しいんだけど
僕って少しマニアックじゃん、
人体解剖実習をしていらいそのマニアックぶりは
さらに進化して研ぎ澄まされてきた感があるんだ。
て自分でいうとかっこ悪いけどね^^;
まぁ聴いてよ。
ハムストリングに注目しました。
内側ハム
つまり半腱様筋と半膜様筋があるっしょ
半膜様筋に注目してください。
半膜様筋は坐骨から膝の内側側副靭帯の高さで
一本枝分かれして深鵞足をつくるよね。
つぎの枝はなんと膝窩筋と筋連結が見られ、
最後の枝は膝の後ろ側に向かい関節包に向かうんだ。
半膜様筋を弛めると1番膝の動きが楽になったよ。
言葉がわからなくてもカラダは正直なもんで
て官能小説っぽいけど
痛くなくなるとホントに感謝されるんだ。
次の日の朝
爺さんはよく分からないけど
ぼくの腕にミサンガみたいなのを
巻き付けて何やら呪文を唱え始めたよ。
やっぱりミサンカと同じように自然に
切れるまではカットするなと言うんだ。
多分タイ語でそう言ったと思う。
とにかくコップンカーッしてきた。
爺さんの膝の腫れは引いた様子で
あぐらをかいて飯食ってたし、
しゃがんで立つこともできていたよ。
そして2日に渡ってこの村の家族とも
お別れすることになった。
僕はホテルに帰って沢山やらなきゃ
いけない作業があるんだ。
今月末からケンヤマモトセミナーを
四週連続で行わなきゃいけないからその準備なの。
人体解剖実習をやってから更に人の身体を
理解できるようになって来たと自負してMAX。
これを武器にもっとわかりやすい説明を
加えていけそうだな。
早くセミナーで皆に会いたいなと思っとります。
まだタイだけどね。
爺さんの膝を朝確認して
軽く調整したら外にご飯が並んでいた。
相変わらずゲテモノが並んでいた。
こ、こ、これは蟻じゃねーか。
迷い込んだのかな？
と思ってアリンコの死骸を
お椀から出そうとしていると
「これ食べるのよ！ほらっ」
とまた俺の口に無理やり放り込んで来やがった。
おえっ。ゲロしたい。
しかもタイの東北地方特有の
辛い味付けになっているアリンコ(-｡-;
なんかで流し込みたい。
なんかスープみたいなのを呑んだ。
すると中からサザエみたいなコリコリする
貝みたいなのがあって結構美味かった。
山の中のはずなのにサザエっておかしいな？
コレナニ？ときくと持ってきた
食材みてまた吐きたくなった。
巨大なデンデンムシだったのだ（;￣O￣）
たべちゃったよ。アリンコもデンデンムシも。
お返しにカバンの中にいつも旅の時は
忘れずに入れてあるインスタントの味噌汁を
飲ませてやろうと思いお椀に具材と
味噌を入れていたら子供がやって来て
「ケンはウンコを食べようとしている」
違う違う！ミソ！と否定すればするほど
子供たちは騒ぎ立てて
はいはいもうわかったわかった。
うんこでーす。と開き直った。
お湯を注いで
うんこ汁を呑んでる目で僕を見つめる子供達は
口々にオエーとやってみせた。
爺さんはうんこ汁を美味しそうに
飲んだけど大人は一口だけ口付けて
無言でお椀を置いた。
すっかりうんこをのむ外国人と思われたが
たった二日だけどなんだか
お家を去るときは寂しくなったりもした。
こんな感覚自体懐かしい想いがした。
子供達も寂しそうにしてくれた。
見たことない位のデッカい夕日がキレイだった。
また訪れてみたい。
クルマに揺られながらそう思ったんだ。
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