見聞色の覇気 | ペシミストな溜息

見聞色の覇気

 

絵を描きたくないわけではない。

有名な動画ですが、何度見ても連打がクスリと笑いを誘います。

 

 

さて、8月の蒸し暑かったときの話でございます。

仕事も終わり、帰りの電車に乗ろうと駅へ向かっているところ、

のぼり電車が駅に到着しようと徐行を始めながらゆったりとホームへ

入っていく姿が見えました。

その場面を見ているところからルイージばりのダッシュすれば、

階段の上り下りを若者のように駆け抜ければ、その電車に乗り込むことが

出来るのですが、まあそこはホラ大人ですし、夏ですし蒸し暑いですし、

貧乏性ではありますが「2分もしないうちに次の列車がくるだろ?」ってなもので

横綱襲名をいただいたときの曙太郎くらいの貫禄を前面に打ち出し、優雅に歩いて

駅のホームへ向かうことを選択。

「こんなの走ったら汗だくだよ!洗練されたシティボーイはスマートに後発電車待ちさ」と

自分の選択がやや大人めいていることに興奮。

 

駅のホームに立ち1分後くらいに後発の電車がきますよとアナウンスが流れる。

それみたことか!僅か1分で汗もかかず、スマートに乗車だぜ!ポケモンゲットだぜ!と

どこか誇らしくもある電車がホームに入ってくる。予想通りのわたくしも鼻高々だ。

 

が、そのときアナウンスが流れる。

「えー只今参りました電車は電気系統のトラブルにより全車両エアコンが止まっております。

ご乗車されるお客様には大変申し訳ありませんが、予め深くお詫び致します。」

 

「・・・エアコン?全車両?・・・」

 

貧乏性を全面に打ち出し、その電車待ってくだしゃーーーい!!と猛ダッシュで1分前の

電車に乗り込めば、その汗も打ち消すようなキンキンのエアコン装備の電車に乗れていた。

あわよくば、吉岡里穂と柴咲コウの間にひとつだけ席が空いてて「あ、じゃあここに座ろっかな?」

なんて涼しい+Train loveが発生していたかもしれない。吉岡里穂と。にごりほのかくらい。

身分不相応の行動をするもんだから、神が「馬鹿かお前」とばかりに試練を与えてくださったのでしょう。

求めよ、さらば与えられん。

 

自分の呪われているかのような運の太さに気絶しそうになりながらも入ってきた電車の内部を

観察する。たしかにおじさんが車内でハンカチを使い額を拭ってる。

「これダメなやつだ!」と恐る恐る乗車いたします。

 

あれれれれ??涼しいじゃん??もしくは扇風機だけみたいな生ぬるいことになっていると

思ったけど、完全に人工的なひんやり。ええええ平気じゃん!なにあのアナウンス?

んで、さっきハンカチで額を拭ってたやつなんなの?なにをあの野郎は熱がってたんだ?

曙太郎くらい恰幅がよかったわけでもないのに熱がりやがって!

 

「もう!ビックリしたんだからね!!」とサプライズ演出でプロポーズされた女性のように

ボロボロと涙を流しながら未来の旦那を喜び半分、驚き半分で叩くような女性の気持ちで

丸の内線に揺られながら。 fin(ネコ動画をお楽しみくださいませ)