2020.05.14. 一歩踏み出すと | 店長の「それから。これから。」

店長の「それから。これから。」

あれからの、続きの続きをぼちぼちお届けしてゆきます

いまだから叶うことってのがけっこうあったりする というのが、ひょっとするとこの時期のような気がします。なぜか。それは 想像を絶するほどに大半の面々が「ひまだから」

 

ま、ともあれ その恩恵を得るにはなんせまず一歩を踏み出さなければ始まらないんですけど、例えば先日テレビでサンドウィッチマンの伊達さんが「このコロナ禍をどうやって過ごしていますか?」という問いに、「毎日ファンレターの返事を書いてます。もう150通くらいお返事しました」と答えてたわけですが、これは、平時だとなかなか、やらないことだと思うんですね。やりたいんだけどなかなかその時間が確保できない。そんくらい基本的には忙しい!という理由で。

 

だけど、今なら。

 

そんなことが、今たぶん、ファンレターの返事に限らずきっといろんなところで起きていると思うんですよ。だから、そこを考えてみる。普段だったら「うーん、ちょっと難しいかもですね」とか「時間がかかりますね」といったことも、ひょっとして、今なら。と。

 

めんどいことも、めんどうで一掃されない可能性が、もしかすると、あるんじゃないかと。

集団ではなく、個に集中してもらえることも、あるんじゃないかと。

「後回し」が、「先頭」に来る可能性も、ゼロじゃないかもしれないと。

 

そんなことが、私にも昨日、ありました。ただ今回私は「踏み出した側」ではなく「引き受けた側」です。逆だったんだけど、そこで、なるほど、と。

 

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昨日の私。どんくらいぶりだろう。ものすごく久しぶりに御徒町の工場へ出向きました。事前に職人に電話をして、「いる?」と尋ねたら、「毎日いますよ^^」。わかるわ。わかるよ。私もきっと、毎日そうするだろう。たとえいま現在の依頼がゼロだったとしても、それでもいつも通り、工具に囲まれて、なんらかをしている日々。せめてそれだけでも 守りたいじゃないですか。ちなみに全っ然、密じゃないんですよわたしの工場。むしろ閑散としてます。願わくば限定的だといいんですけど。

 

 

だいぶ髪が伸びました。切りたいな、そろそろ。

 

 

one-piece: Plantation

inner: 45R

sandals: BEAUTY & YOUTH

bag: エルメスのビニールケリー(懐)

jewelry: QueensMarkTokyo

 

 

何年か前、服と一緒に買取に出したら価格がつけられないと送り返されてきたエルメスのビニールケリー。これが今、2万円以上で買い取るんで再度出してくれませんか?ってそんなメールが来て、まぢですか?!いやいや、そう言われちゃぁ、もう出しませんよっと(;´∀`)笑 

 

2000年になるかならないかの頃までけっこう街中で持ってる人いたと思うんですけどねこれ。当時とても苦労して手に入れたのだけれど、結局なーんかチャチィなと、しばらく持ってからやがて持たなくなって、以後長年にわたりタンスの肥やしに。

 

それが20年もたつと、世の価値観は一変。いまや革製よりも 時と場合によっては布やビニール素材のバッグのが(・∀・)イイ!! でもエルメスならなおさら(・∀・)イイ!! ってことなんでしょうか(;´∀`) でもこれ、思い出せばタンスから出した瞬間の状態、サイアクだったんですよ汗。透明のビニール部分はうっすら黄ばんでしまってて、ビニールも固くなっちゃってて、さてどーやって原状回復しようかと。ま、いろいろやって持てるようになったわけですが。てなわけで使いましょう。せっかくだし。夏だし。^^

 

Plantationは、45Rと立ち位置が似ていて、基本的には国産、肌になじむイイ素材、シルエットの服を作ってる感じです。サイズ幅も広くて、ちなみにこれはLサイズ。シルバー色の服って、なかなかいい色のものに出会えないんですけど、これは店頭で一目で恋に落ちました。刺繍も作りも凝っててね、価格が張るだけあるなと。もちろん定価なんて(ヾノ・∀・`)ムリムリ、アウトレットで60%くらい下がってるとこを拾ったわけですが(笑)、こういうのは、1シーズンに数える程度着ながら、おばあちゃんになるまで持たせたい。この先なかなかそうそう、出会えないだろうから。発色だけじゃなく、軽くて着心地良くてとにかくストレスフリーなんですよ、ほんとに。

 

 

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で、話は戻るんですが

 

 

左はお客様へ納品したトップ(チェーンはお客様私物)、右は私が自分に作ったものです

 

 

私は昨日御徒町へ何をしに行ったかというと、左のペンダントのトップに、別途他店で購入したチェーンを通したいがバチカンが狭くて通せない!というユーザーさんの願いを叶えに行きました。

 

画像はすでに通ってる状態なんですけど、当初は通らなかったんです。チェーンが太すぎる あるいは トップのバチカン部分の間口が狭すぎる という理由で。

 

これを通せるようにするには、バチカン部分をいじらなきゃいけない。ただし、いじるにはそれなりな時間とコストが当然ながら発生します。よって、できることなら、いじらずになんとかならないだろうか?

 

これが、平時だとたぶん「ちょっと、難しいですね」なんですよ。状態を見る限り、いじらなければ通らない。思いつく基本的な工程としては、裏側の地金をカットして、そこに少し地金を足して、間口を広げて溶接し、仕上げにロジウムメッキ加工を施す。(余談ですがWG地金はサイズ直しなどの加工すると本来の地色がでてしまうので必ず仕上げの際に全体のロジウムメッキ加工が必要になります。)

 

ま、そんなわけでですね、加工代を極力かけずに通せるようにできないか?というのは、平時だとその回答は「ちょっと難しい」となります。できるかもしれないが、方法をじっくり考えたり、トライしてみようかといった発想と時間を確保するのがなかなか難しいからです。

 

でも、いま、私の職人は私からも、私以外の誰かからも依頼がゼロで、時間がたっぷりある。そう、個に集中できる状態にあるんですね。それで、二人でこれはこーすりゃいけるんじゃないかとか会話をして、じゃぁやってみようかとなって、その過程を私は工場で見守って、で、おぉ、通りました!と。

 

大掛かりな加工こそ施さないのだけれど、技量がないとできない。力加減によってはバチカンがダメになってしまう。私は、世の報酬・価格というのは、そこも評価してほしいといつも思います。原価原価というけれど、原材料だけでモノは決して完成しないんです。シェフが作る料理だってそうでしょ?技量とこだわりが加わっての、それなんでしょ?jewelryも同じなんですよ。モノづくりにかける情熱と愛と想い。意義のある何かには、必ずやそれがらがあります。そこをわかってくれる人が好きだし、わたしも、そうありたい。服にしても、何にしても。

 

ただ今回は例外。本来ならちょっと難しいですね、が、やれました^^という。嬉しかったんですよ。私も職人も。その時間をくれたこと。それが今回の我々への報酬。久しぶりに職人と、あーだのこーだのいいながら何かをやり遂げられたというのは、とても貴重なことで、ひょっとするとお金以上かもしれない。

 

 

 

 

ちなみに、わたしはトップのみ3点を先々月、このユーザーさんのために製作、お届けをしました。正倉院模様、水引模様に興味があるというユーザーさんが、二人の娘さんと自分に計3点、なにか記念になるようなものを作れないか?というご依頼でした。お話を頂いたのが1月の終わりころで、その時は模様についてうーんと頭を悩ませてはいたけれど、コロナがこんなことにまでなってくるとは想像してませんでした。

 

でも、おかげで時間がたくさんできて、平時なら「ちょっと、難しいですね」が、いろんな面で可能にできたりもしたという事実があったりします。どんなチェーンを合わせたらいいですかね?という相談には

 

 

いろんな画像を引っ張ってきては、地金メインのトップには目の粗いチェーンのほうが程よい抜け感が出て逆にいいかもしれないですね、とか、このユーザーさんとは有意義なメール交換をこの期間、たくさんしました。

 

 

海外も同じです。いま、ほぼ大半の世の人々がジュエリーを不要とする中で、それでも、そこに従事する人間は変わらずにいます。そんな中、いま、依頼をくれる人というのは、平時の「人」を超える。 

 

モノというのは、モノだけじゃないんですよ。そして、人を動かす原動力もまた、決してお金だけじゃない。そういう関わりを、わたしは新しい世界であっても、大切にし続けたいなと思います。寄り添う心というものに、決められた距離感など!

 

 

それではまた☆