30万円というのは通常価格で、夏のセールで少し安くなっていると見せてもらったダイヤモンドは、0.3カラットを超える大きさだった。何よりグレードがすごい。
カラーはD、クラリティはIF、カットはトリプルエクセレントな上に、蛍光についてもNONEで、ものすごく美しい。
目が離せない美しさ。
クラリティがIFのものは初めて見た。これまで伺った店では提示されなかった品質のダイヤモンドに、わたしたちは圧倒された。
そんな品質のダイヤモンドが20万円ぐらいの価格だった。
10万円台で、カラットはほぼ同じだけど、品質が些か劣るダイヤモンドもお持ちいただいて見比べてみる。
ダイヤモンドにはGIAの鑑定No.が入っているから、それぞれのダイヤモンドをコロッと受け皿に出して、さらにどちらがどちらなのか分からないように混ぜても大丈夫だという。
店員さんにお願いして、混ぜていただく。
オットとわたしが「せーの」で指差し、どちらのダイヤモンドが品質の高いダイヤモンドか当てるゲームをする。
わたしはこのとき、ふたりともおなじダイヤモンドを指差したら、そのダイヤモンドを買ってもらおうと心に決めた。品質の高い方でも、少し劣る方でも、ふたりとも気にいったものを選ぶのが良いと思ったからだ。別々のものを指差したら、はじめから検討しなおしてもいいと思った。
店員さんは「これはプロでも見誤るレベルなので…」と言う。
「せーの」で、指差したダイヤモンドはオットもわたしもおなじダイヤモンドだった。
そして、ダイヤモンドに入ったNo.を顕微鏡で確認する。「あ、正解でーす」と店員さんが言う。
オットとわたしは顔を見合わせた。わたしたちも顕微鏡を覗かせていただく。

ゲームの前後にダイヤモンドについての説明をたくさんしていただいていて、わたしはこのお花畑にいそうな店員さんの幅広い知識に感動すら覚えていた。何を聞いても的確に答えてくれる。
この店員さんから買いたいと思った。この店員さんから買ったら安心だと思ったのだ。

オットとふたりきりにしていただいて、相談を繰り返す。
果たして、このお店で買っていいのか。誰が聞いても名前が分かるようなハイブランドの婚約指輪じゃなくて良いのか。「御徒町」感がある店舗で買って良いのか。ほんのちょっと前まですごく気に入っていたラザールダイヤモンドにしなくて良いのか。
繰り返しても、このダイヤモンドが欲しい!という気持ちは変わらなかったから、買うと決めた。

プラチナ部分はごくシンプルなものを選んだ。900か950のどちらにするかと尋ねられ、迷わず950と答える。プラチナは傷付きやすいというのは知ってるけど、出来るだけ純度が高い方が良いと思った。
ダイヤモンドとプラチナを合わせて30万円もしなかった。


余韻に浸ろうにも、指輪が出来上がるのは2ヶ月以上後。手元に無いから、実感がない。

次は結婚指輪だ!