もう 何年が経つだろう ふらっと1人で お店にあらわれて たしか、カシスロックを注文したね
最初の頃は ショータイムが 始まると 子供が初めての おもちゃを見つけたかのように
真剣に目をギラギラさせながら 観てくれてた 力いっぱい手拍子をうちながら
彼の名前は ベル。
少し背が低くて 色黒の 愛くるしい目をしてる ベル。
すぐに みんなと 仲良くなって お客さんなのに スタッフみんなが友だちのように付き合うようになったね
帰りには毎日 みんなと写真をとって 嬉しそうにあつめてくれていた
ベルは 一人旅が好きで 休みには いろんな場所へ旅をする
電車やバスで出かけたり 船に乗って旅を楽しんでいた
旅から帰って来たら 家にまっすぐ帰らず お店に寄ってくれて 珍道中話しきかせてくれてた
よく忘れものしたり 物をなくしたりしてたよね
米子によく行ってたとき 飲み屋に入ると そこのママがたまたまニューハーフで
偶然にも私の後輩ママだった
それから 米子に行くと 後輩ママにも会いに行ってくれて 伝書鳩のように私たちの近況を
伝えてくれてたね
ベルとは 飲みに行く約束をずーっとしてたけど 時間があわず 行けなかった
そんな時にまた偶然にも 私の妹が ベルの家の近くで店をする事になった
ベルにその事を話すと オープンの日から行ってくれて 1番の常連さんになるくらい妹の店を気に入ってくれた
「あそこのママ すぐに仲良くしてくれて マスターとはマブダチなってん!」
目をぴっかぴっかに 光らして 嬉しそうに話してくれた
そして また 伝書鳩のように 妹の近況を伝えてくれるように
「あそこのママ やせて来たで~ 頑張りすぎちゃうかな?ご飯たべてるかな~ママから言ってあげてよ」
「よっしゃ 米食べろって 言うとくわな」 やさしくて 思いやりがあった
ある日、しばらく 顔見ないな~って 思ってたら 妹から電話が入り
「ベル! マンションのベランダから落ちて 入院してるねんで!」
「えっ ほんでっ?」
「全身打撲 !! 足すべらして 下の階のベランダに落ちてんて 重傷じゃないからよかった!」
妹は早速 お見舞いにいってくれてた
妹が入院してる ベルの写メを送ってくれた 包帯巻いてたけど元気そうでホッとしたよ
なんとか退院して 私と妹の店に 元気な姿見せに来てくれた
「これから気つけや~どんくさいねんから~」と 少しばかりからかい 久々に飲んで
その日 ベルは楽しそうに帰って行った…
それから また しばらく ベルが顔を見せなかった…
2週間がたっていた
どうしてんねやろとか思ってたら
朝 妹から電話が入った
「あんたには 言うとかなあかん思って」
なんだか いつもより 妹の声が震えて聞こえた
「長い事ベルと連絡つかへんから マスターがベルの友だちに連絡とってん」
「ほんで」
「ベル あんた所に行った帰り そのまま奄美大島行ったみたいで 船の乗船記録に名前があったんやけど 奄美に着いたら 一人 船から降りてない事がわかったらしい で、船をしらべてもらったら ベルの荷物だけあったらしいんよっ」
「どういうこと?」
「そういうことよ……」妹の声がさらに小さく震えて聞こえた。わたしは 胸が苦しくなり 頭の中が真っ白になった
「もう 日にちたちすぎやろ 海からなにもあがってないらしい…」
何かの間違いよ…
来週あたり 「荷物また なくしてもた~~」
そう言って カシスロック飲みながら 愛くるしい目で話しかけてくるわよ
…… そう思いたい
…
もし 天国についてたら たまにいつもの席でカシスロック飲みにおいでよ
ベルの席 空けて待っとくからね 思いきり手拍子してね
私も妹もマスターもスタッフも、ベルの事 忘れないでいるからね。
そして ずっと 愛しているからね。

「スプレー菊」 花言葉… みんな あなたを愛してる。
最初の頃は ショータイムが 始まると 子供が初めての おもちゃを見つけたかのように
真剣に目をギラギラさせながら 観てくれてた 力いっぱい手拍子をうちながら
彼の名前は ベル。
少し背が低くて 色黒の 愛くるしい目をしてる ベル。
すぐに みんなと 仲良くなって お客さんなのに スタッフみんなが友だちのように付き合うようになったね
帰りには毎日 みんなと写真をとって 嬉しそうにあつめてくれていた
ベルは 一人旅が好きで 休みには いろんな場所へ旅をする
電車やバスで出かけたり 船に乗って旅を楽しんでいた
旅から帰って来たら 家にまっすぐ帰らず お店に寄ってくれて 珍道中話しきかせてくれてた
よく忘れものしたり 物をなくしたりしてたよね
米子によく行ってたとき 飲み屋に入ると そこのママがたまたまニューハーフで
偶然にも私の後輩ママだった
それから 米子に行くと 後輩ママにも会いに行ってくれて 伝書鳩のように私たちの近況を
伝えてくれてたね
ベルとは 飲みに行く約束をずーっとしてたけど 時間があわず 行けなかった
そんな時にまた偶然にも 私の妹が ベルの家の近くで店をする事になった
ベルにその事を話すと オープンの日から行ってくれて 1番の常連さんになるくらい妹の店を気に入ってくれた
「あそこのママ すぐに仲良くしてくれて マスターとはマブダチなってん!」
目をぴっかぴっかに 光らして 嬉しそうに話してくれた
そして また 伝書鳩のように 妹の近況を伝えてくれるように
「あそこのママ やせて来たで~ 頑張りすぎちゃうかな?ご飯たべてるかな~ママから言ってあげてよ」
「よっしゃ 米食べろって 言うとくわな」 やさしくて 思いやりがあった
ある日、しばらく 顔見ないな~って 思ってたら 妹から電話が入り
「ベル! マンションのベランダから落ちて 入院してるねんで!」
「えっ ほんでっ?」
「全身打撲 !! 足すべらして 下の階のベランダに落ちてんて 重傷じゃないからよかった!」
妹は早速 お見舞いにいってくれてた
妹が入院してる ベルの写メを送ってくれた 包帯巻いてたけど元気そうでホッとしたよ
なんとか退院して 私と妹の店に 元気な姿見せに来てくれた
「これから気つけや~どんくさいねんから~」と 少しばかりからかい 久々に飲んで
その日 ベルは楽しそうに帰って行った…
それから また しばらく ベルが顔を見せなかった…
2週間がたっていた
どうしてんねやろとか思ってたら
朝 妹から電話が入った
「あんたには 言うとかなあかん思って」
なんだか いつもより 妹の声が震えて聞こえた
「長い事ベルと連絡つかへんから マスターがベルの友だちに連絡とってん」
「ほんで」
「ベル あんた所に行った帰り そのまま奄美大島行ったみたいで 船の乗船記録に名前があったんやけど 奄美に着いたら 一人 船から降りてない事がわかったらしい で、船をしらべてもらったら ベルの荷物だけあったらしいんよっ」
「どういうこと?」
「そういうことよ……」妹の声がさらに小さく震えて聞こえた。わたしは 胸が苦しくなり 頭の中が真っ白になった
「もう 日にちたちすぎやろ 海からなにもあがってないらしい…」
何かの間違いよ…
来週あたり 「荷物また なくしてもた~~」
そう言って カシスロック飲みながら 愛くるしい目で話しかけてくるわよ
…… そう思いたい
…
もし 天国についてたら たまにいつもの席でカシスロック飲みにおいでよ
ベルの席 空けて待っとくからね 思いきり手拍子してね
私も妹もマスターもスタッフも、ベルの事 忘れないでいるからね。
そして ずっと 愛しているからね。

「スプレー菊」 花言葉… みんな あなたを愛してる。