「消された一家 北九州・連続監禁殺人事件」豊田正義/2013.11.10記 | 子連れ狼

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一部ショッキングな言葉やきつい表現が出てきますので、苦手な方は読まないで下さいねー(本のタイトルから察してくださぁぁぁい)。

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先般発生した尼崎連続変死事件より遡ることたった10年前、九州で実際に起こった監禁・惨殺事件についてのルポ、フィクション。
比較するものじゃないとは思うが、一読して、残虐性においては尼崎事件を遥かに上回るように思えた。
犯罪史上稀に見る凶悪犯罪だが、(あまりの残忍性ゆえ)発生当時報道規制がかけられたようで、なるほど、それで今回の尼崎事件の際にもあまり話題に出てこなかった(もしくはTVを見ない私が知らないだけ?)ことに合点がいった。
この内容じゃTVで報道するの無理だろう…。読んでて気分が悪くならない人いるのかな。。。

一見礼儀正しくたぐいまれな話術に長けた犯人・松永太は、金づるとして目をつけた人間を巧みに己のとりこにして、ほどなく弱みにつけこみ拷問と虐待によって相手の気力体力奪い完全コントロール。

巻き上げれるだけの金を巻き上げ、サラ金からも親類縁者からも一銭も借りれなくなり金づるとして機能を果たさなくなった頃、己の手は汚さず、被害者同士(=家族・親戚同士)で殺しあい、死体解体させるように仕向ける箇所は(壮絶すぎて)思わず読み続けれなくなった。
(結局7人の人間が殺されているが、一番若い被害者は5歳の子供であり、その5歳の子供に直接手をかけるよう仕向けられたのはその幼児の姉、当時10歳だ。そしてこの姉も弟に手を下した後に殺される。長年虐待された末に)

「私はなにもしていない。勝手に人の家で殺し合いして死体解体までされてこちらが迷惑している!」と松永は裁判中堂々と叫び、第一審で「鬼畜の所業」と非難されたらしいが。
鬼、まさに鬼。サイコパス?アフェクションキャラクター?どんな言葉でもこの男の残忍性は表現しきれない気がする。

とりあえず尼崎事件でも疑問だった、「何故、逃亡が可能な状況にも拘わらず被害者達は逃げなかったのか」 の疑問が私なりにかなり解けた。
関わっちゃいけない。関わったらもう終わりだ。
街中にいながら、逃げる気力を完全に奪われ、警察に職務質問されても助けを求める気力すらわかない状態にいかに陥らされるのかよくわかった。
人を操る技術に長けた死神が実在するんだ。

犯人松永は、小学校から全学年でオール5.中一時に弁論大会で3年を差し置いて優勝、部活ではキャプテン、生徒会役員も務めた。卒業後父親の会社を引き継げば売上は(詐欺商法によって)伸び続けた。
病的な嘘つきだが饒舌でとにかく人を惹きつける。
なんと裁判中にも事件について冗談めかして発言し、傍聴してる人々が思わず笑ってしまうことが幾度もあったというから…ある意味天才だろう。

なお、殺害された被害者の中には元警察官まで含まれている。(虐待された末の衰弱死)そんな屈強な人間が抗えなかった人間に、抗う自信ありますか?私は無いです。
だから、関わっちゃいけない。危険な匂いをちょっとでも感じる人には、関わっちゃだめだ。
こんな死神もたくさん紛れてるのがこの世だから。
ちなみに捜査に携わった刑事部長がこの事件の教訓としてあげた中に以下がある。
  • 犯罪者の企図に気づく目を養うこと
  • 性善説を信じないこと

・・・皆さん気を付けましょう。きっとこのように日の目をあびるに至った同様の事件など氷山の一角。実際なんぼでも転がってるのかもしれない。


一家まるごと消されちゃだめですよ。