運転講習の基礎段階にて「曲がる」指導は必要不可欠です。


そこでよく行われがちなのが

1.「どこそこに来たら何回転ハンドルを回す」と伝える

2.ハンドルの回し方を強く言いすぎる

ことです。


何が問題なのか。


まず1について。

公道上では様々な道幅、曲がり角の形が存在します。そこで一緒くたに「ここに来たらこう回す」とお伝えすると、応用力のある生徒さんならいいですが、そうでない方の場合、いつでも同じようなハンドル量、タイミングになってしまいます。


教習所内の決まった曲がり角を曲がる場合はこの指導方法でもまだ許されるのかもしれませんが、公道においては、曲がり角が緩い場合・きつい場合だとか、道幅が狭い場合・広い場合など色々とあるので、ハンドルの回し始めや回す量は都度変わってしまうのです。


内輪差を体得させた上で、視点を先に向けていただき「曲がった先のどこに車を誘導させたいのか?」→「そこに車を持っていく」流れをを意識させることが大切です。


道の曲がり具合や道幅で自然に運転操作を変化させるのが理想です。


(ただし、受講者があまりにもブランクが長く、そもそもそのレベルでない場合はまず慣れさせるために限定的に「どこそこに来たらこう回す」と伝える場合もあります。)




次に2について。

ハンドルの持ち方、回し方は非常に大切です。

これは言うまでもありません。


しかし、曲がることがおぼつかない状態でこれを強く言いすぎると、今度は「上手く回せてるかな?」とハンドルを凝視しだす受講者の方もいらっしゃって、大変危険です。


最初にハンドルの持ち方、回し方を伝える→曲がらせてみる→多少ハンドルの回し方がおぼつかなくても、車体そのものを正確に誘導させることを優先させる→それが安定してきたら「こう持つ/回すともっとよくなりますよ」とするアプローチが現実的かと思います。

(もちろん、曲がれない根本原因がハンドルの持ち方や回し方であるケースではある程度そのことについて言及します)



「曲がる」に限らず、何を教えるにしても「融通の効かない指導」「優先順位を履き違えた結果悪癖がついてしまうような指導」は避けたいものです。