1 盗人にも五分の理を認める

  批判も非難もしない。苦情も言わない

 

30年前に私は人を叱りつけるのはぐの骨頂だと悟った。

自分のことさえ、自分で思うようにはならない。

神様が万人に平等な知能を与えたままなかったことまで腹を立てたりする余裕はとてもない。

 

他人の欠点を治してやろうという気持ちは確かに立派であり、称賛に値する。

だが、どうしてまず自分の欠点を改めにかからないのだろうか?

他人を強制するよりも自分を治す方がよほど得であり、危険も少ない。

利己主義的な立場で考えれば確かにそうなるはずだ。

自分の家の玄関が汚れているのに、隣家の屋根の雪に難癖をつけるなと教えたのは東洋の賢人、孔子である。

 

人を非難する。代わりに相手を理解するように努めようではないか。

どういうわけで相手がそんなことをしでかしずに至ったかよく考えてみようではないか。

その方がよほど得策でもあり、また面白くもある。そうすれば、同情、寛容、好意もおのずと生まれてくる。

 


2 重要感を持たせる

  率直で誠実な評価を与える

 

人を動かす秘訣はこの世にただ一つしかない。

この事実に気づいている人は甚だ少ないように思われる。

しかし、人を動かす秘訣は間違いなく一つしかないのである。

すなわち自ら動きたくなる気持ちを起こさせること。

これが秘訣だ。

 

優れた心理学者ウィリアムジェームズは人間の持つ性情のうちで、

最も強いものは、他人に認められることを渇望する気持ちである。

 

他人の長所を伸ばすには、褒めること。励ますことが何よりの方法だ。

上役から叱られることほど向上心を害するものはない。

私は決して人を非難しない。

人を働かせるには称賛が必要だと信じている。

だから人を褒めることは大好きだが、けなすことは大嫌いだ。

気に入ったことがあれば心から賛成し、惜しみなく賛辞を与える。

 

人間は例外なく、他人から評価を受けたいと強く望んでいるのだ。

この事実を決して忘れてはならない

 

深い思いやりから出る感謝の言葉を振りまきながら日々を過ごす。

これが友を作り、人を動かす妙底である

 

どんな人間でもなんらかの点で私よりも優れている。

私の学ぶべきものを持っているという点で

 

 

3 人の立場に身を置く

  強い欲求を起こさせる

 

私はイチゴミルクが大好物だが、魚はどういうわけかミミズが大好物だ。

だから魚釣りをやる場合、自分の好物のことは考えず、魚の好物のことを考える。

イチゴミルクを餌に使わず、ミミズを針につけて魚の前に差し出して、一ついかが、とやる。

 

自分の息子にタバコを吸わせたくないと思えば説教はいけない。

自分の希望を述べることもいけない。

タバコを吸うものは野球選手になりたくてもなれず、100m 競争に勝ちたくても勝てないということ説明してやるのだ。

 

人間の行動は心の中の欲求から生まれる。

だから人を動かす最善の方は、まず相手の心の中に強い欲求を起こさせることである。

商売においても、家庭学校においても、あるいは政治においても、

人を動かそうとするものは、このことをよく覚えておく必要がある。

これをやれる人は万人の支持を得ることに成功し、やれない人は一人の支持者を得ることにも失敗する。

 

自動車王ヘンリーフォードが人間関係の機微に触れた至言を吐いている。

成功に秘訣というものがあるとすれば、それは他人の立場を理解し、

自分の立場と同時に他人の立場からも物事を見ることのできる能力である。

 

問題解決に、自分の欲求を一言も口にしなかった点にご注意願いたい。

終始相手方の欲求について語りどうすればその欲求を見と満たされるかということを話しただけである

 

自分の都合ばかりに気を取られず、自動車王ヘンリーフォードのいうように、

他人の立場を理解し、自分の立場と同時に他人の立場からも物事を見ようではないか

 

まず、相手の心の中に強い欲求を起こさせること。

これをやれる人は万人の指示を得ることに成功し、

やれない人は一人の支持者を得ることにも失敗する