横浜セブンスアベニューというライブハウスに参りパンクロック歌手の町田康が歌っている「汝、我が民に非ズ」の実演を観に、または、聞きに行ったときの話をします。その時点まで私は町田康の小説・随筆、音楽を愛読、愛聴していたのだが、初めて実物の町田康を見る機会が巡ってきたという事で楽しみなこと夥しく15の餓鬼のやうになって、ふるふるしていたんだ。
その時の、あろろ、その時というのは過去のメモを見ると2016年6月24日となっているんだが、もしかしたら日付が違うかもしれないけれど、とにかく、ライブは複数のバンドとの共演、いわゆる対バン形式で行われており、まあ3グループ出演していたんだが最後に現れたのが「汝、我が民に非ズ」だった。ついに登場してキッキョーしたというのは、町田康の珍妙な衣装だったんだ。具体的には町田康は襟がヨレヨレになったような、または、意図的によれよれにしたようなデザインの袖なしシャーツを着用しているのだが、あろうことか正面には凶悪な犬の顔面がプリントされている。その上、ずぼんは裾の部分が紐で繋がっており、丁度、奴隷の足枷のようになっているのである。
「汝、我が民に非ズ」は有料番組のワウワウというので放送されていたのを一回見たきりだったので、私にとって初めて聞く曲ばかりだったが、町田康の歌&踊りが面白く脳にエネルギーが充填されるようで、一時的に錯乱した。みんなも錯乱していた。でも、やはり錯乱が最高潮に達したのはINU時代の曲
「305」
「つるつるの壷」
「フェイドアウト」
が炸裂した時であったように思う。2番めの集団錯乱はシーディー化されている曲
「俺はいい人」
「野菜食ってゴーゴー」
が炸裂した時だった。ちなみに、上の2曲はライブでの定番曲となり、特に「野菜食ってゴーゴー」はライブの最後に演奏され発狂者を続出させることになる。また、「つるつるの壷」はアンコールで演奏されるようになり狂気の坩堝の顕現が繰り返されるようになる。「汝、我が民に非ズ」の曲についても話しませうか。曲と曲の間に「この曲はある動物の事を歌っておるのですが何の動物か考えながら聴いてみてください。」という意味の事を喋ってから演奏した曲「人間のささげもの」というのが傑作であった。ジャズっぽい曲調で「会ってなーい」というシャウトが狂的で良かった。シーディー作るときはぜひこの曲も入れて欲しいなと思う。
最後になるが、町田康は詩の書かれた紙を見ながら歌うのだが、その理由について「音楽と詩の世界は両立しない。音楽の世界にいる時、詩の世界を知ることはできず、同様に詩の世界にいる時、音楽の世界を知ることはできない。これは音楽と詩の世界を両立させるためのスタイルです。」という意味の事を言っていたような気がする。しかし、随分と昔のことで私の記憶も不確かなので間違っているかもしれないし、私は阿呆の頭脳を持つ男なので町田康の言いたい事とは違う意味に受けとっている可能性があるので、諸君は上の記述をそのまま信じないようにしてください。
