無事 | シンプルな暮らしと茶の湯の心

無事

12月に入るとお茶の世界では「無事」という言葉をよく使います。
掛け軸、茶杓の名前など。。。

この「無事」という言葉、禅語で深い意味があります。
「事なきを得る」といいますが、
「何事もなく平穏に1年を暮らせて今年もよかった」という意味です。

そのまま捉えると消極的に聞こえるかもしれませんが、
はたして世の中に本当に「無事」に1年を過ごす人がどれくらいいるでしょうか。

去年とは違ったことをしたい、
今まで体験したことをしたい、
今までになかったものを手に入れたい、
今まで以上に有名になりたい。

人は変化を求めます。
それも今までになかったものを劇的に変化させることを。
これはつまり「有事」です。

大切なのは1年1年を大切にし、
毎年毎年、自分の身の丈にあった成長をすることではないでしょうか。

「日本一大切にしたい会社」を書かれた坂本教授の言葉を借りれば、
「木が年輪を刻むような」地道にも確実な成長。

それがわたしにとっての「無事」な1年な気がします。
そう思うと私にとっては今年は間善意は「無事」とはいえませんでした。。。

来年は「無事」に1年を過ごしたいものです。