HAKIDAME

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旅は気まぐれ、世はお酒。

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だいぶ遅くなりましたが…。

遠路はるばる大阪は天王寺まで行ってまいりました。
八十八ヶ所巡礼の魅力に気づいたのは去年の秋ごろで、まだまだ新参もいいところなのですが、はまるとなったらとことんはまる性分でして…(笑)。
気づいたら一ヶ月で全国流通盤はすべて買い揃えていました。
この日の前日の名古屋での公演はZAZEN BOYSとかぶっていたために行けず、欲張った結果大阪まで足を運ぶという結論に至りました。
物販では新しいTシャツとファースト・ミニ・アルバム、ファーストE.Pを購入。
若者の観客が大半でしたが、中年くらいの女性の方もちらほらと見かけました。

オープニングアクトとして登場したのはパチジュウパチカショジュンレイ。
ドラムとしてマーガレットさん、ベースとしてKatzuyaさんが先に登場したあと、満を持して賢三さんがご降臨。
“仏滅トリシュナー”と“PALAMA・JIPANG”のイントロ部分を、それぞれパートを入れ替えて演奏していましたが、ギターが上手く音を出してくれず、あたふたする賢三さんを見てはほくそ笑んでいました(笑)。
結局ほとんど鳴らすことなくギターをおき、代わりにギターとしてよPさんが招集、ボーカル賢三さんのまま“親孝行”へ。
途中、歌詞が飛んで含み笑い顔になった賢三さんには笑わせていただきました。
とにかくゴリッゴリなゴリ押しで楽しかったですが、いま思い返して本編と比較してみると、三人のギャップがすごいなあという感じですね(笑)。

というわけで本編。
まず賢三さんが登場してドラムソロプレイ、次にKatzuyaさんのギターソロプレイが乗っかり、最後にマーガレットさんが黒いドレスを身に纏って登場し、“SYG88”からスタート。
特殊なエフェクターが絶妙にかけられたマーガレットさんの声色は非常に妖艶で、すぐさまオーディエンスを巡礼ワールドに引き込んでいきました。
“女性問題ト賭ケゴルフ”を経て、仏に狂うと書いて“仏狂
”へ。
うねるようなベースラインを寸分も狂うことなく弾きながら楽しそうにステップを踏むマーガレットさんが印象的でした。
聞き覚えのあるタッピングのフレーズがワンフレーズ弾かれ、この曲は…!となる聴衆。
焦らされながら始まったのは“仏滅トリシュナー”。
酔いそうになるベースのフレーズもあいまって、吐き気が足りないなんてことはありませんでした。

「寺田町とかいう小汚い魔界にようこそ」
マーガレットさんの含み笑いとともに放たれたこの言葉から“都会の魔界”がスタート。
“都会の魔界”は私が八十八ヶ所巡礼の沼に落ちるきっかけになった曲で、初めて聞いたときはなんじゃこりゃあああと度肝を抜かれたものです。
八八の楽曲はほぼすべて構成から理解が不能ですが、この曲は特にKatzuyaさんのギターが難解で、もっと間近でどういうプレイをしているのか眺めてみたかったですね。
続く“漆・黒・の・と・き・め・き”も非常に危なげかつ身の毛のよだつような曲で、崩壊寸前ぎりぎりのところで奏でられたメロディには息を呑みました。

「攻撃的な我々による、攻撃的な貴様らのための、攻撃的国民的音楽!!!」
重めのメロディとともに新しい国の形についての希求が綴られている一曲、“攻撃的国民的音楽”。
耳奥をえぐるようなギターフレーズの数々が、いまだに蝸牛にこびりついているような気がします。
目視することはかないませんでしたが、おそらくマーガレットさんは白目をむいていたことでしょう。
続く“惡闇霧島”、曲中のギターソロの場面では、同じフレーズを三分間ほどノンストップで弾き続けるというサービスパフォーマンスが。
指元で青白く妖しい光を放つエフェクターや足元のファンによってなびく髪、サングラスもあいまって、Katzuyaさんが魔王か何かにでも見えました。
曲間で「チューニング!」と言いながら自らの声を微調整するマーガレットさんの曲中とのギャップにやられたりもしました。
特にアナウンスはありませんでしたが新曲もやってくれました。
BPM値がだんだんと上がっていくといういままでにないような要素を盛り込んだ曲でしたよ。

「欲望愛好家の楽園へようこそ」
“PALAMA・JIPANG”の始まりを告げる枕詞とともに怒涛の後半戦がスタート。
螺旋状のアルペジオフレーズに意識をもっていかれそうになりました。
後半は圧巻のたたみかけで、“PALAMA・JIPANG”から“IMNY”“ohenro3
”“赤い衝動-R.I.P-”と、息をつく間もない轟音ラッシュ。
本当に三人で鳴らしているのかと疑ってしまうくらいの音数を平然とした顔で演奏してくれるので言葉にならないくらい圧倒されます。
賢三さんの鬼気迫るドラムソロから“-超感覚的宇宙-”へ。
マーガレットさんのずっしりとしたベースとKatzuyaさんの切れ味鋭いギターが融合して、非常にデンジャラスな雰囲気をともなっていました。
“オノボリサン”を経てKatzuyaさんのギターソロ。
まったく指板には目を向けずクールに観客を煽る姿や背面早弾き、歯ギターといったテクニックプレイの数々はさすがとしか言いようがありませんでした。
からの“霊界ヌ~ボ~”では、狂気じみた歌詞と理解できなさそうでなんとか理解できるメロディラインとの絶妙なバランスにうっとり。
マーガレットさんの曲終わりの「ありがと!」はいちいち愛くるしかったですね。

「親孝行バンド、八十八ヶ所巡礼。貴様らの親は、お元気でしょうか!?」
観客のリアクションを見て
「後ろのほうの親は死んでるな…」
とつぶやくマーガレットさんは人間ではないように見えたりして。
始まった“具現化中”、生と死の狭間から綴られたような歌詞にぞっとしました。
そして本編ラストチューン。
「愛国心はあるか?このベースみたいに叫べ!誰もが知っている歌だ!」
イントロベースが“君が代”の旋律になっている“日本”では、途中まで国家が斉唱されました。
ベースを粗雑に置き、オーディエンスの上に立とうとするマーガレットさん。
一度失敗していましたが、おそらく体重が軽いのでしょう、軽々と二回目のリフトを成功させ、この辺り記憶が定かではありませんが、「愛国心はあるか?」と何度も吠えていたように思います。
ステージ上に戻ってステップを踏みながら愛する自国への希望と絶望を歌い始めます。
波のようなベースラインと背筋の凍るようなギターメロディ、破壊力抜群のドラムプレイが一体となった音楽に脳が揺さぶられました。
“ご静聴有難う”からはもう訳がわからないくらい踊れるミュージックで、やはり展開の目まぐるしさには脱帽しました。
マーガレットさんがベースを壊さんばかりの勢いで扱っていたりして、彼らの滾る愛国心と狂気とを垣間見たプレイでした。

鳴り止まない拍手にこたえるように再び三人が登場してアンコール。
「早く帰って親孝行してほしいからあと一曲だけ」
と言いつつも“極樂いづこ”と“浮世デェト”の二曲をやってくれました。
本編がプログレッシブなたたみかけであったからこそ映える“極樂いづこ”は、本当に極楽に迷い込んでしまったのではないかと錯覚してしまうほど気持ちのよい、浮遊感のあるサウンドでした。
「ありがとうございました、八十八ヶ所巡礼。また浮世でお会いしましょう、さようなら」

ラストの“浮世デェト”は、やはり本編との対比で締めの一曲にふさわしい仕上がりになっていて、また絶対(浮世で)彼らに会いに行こうと固く決心させられました。


終演後、帰路につきながら目を閉じてみると、言葉では表現しきれないような、敗北感によく似たようなものが体内に残っていたことを強く覚えています。

開けてはいけないパンドラの箱だったのかもしれないと思いつつ。
嘘偽りなく素晴らしすぎるパフォーマンスでした。
気軽にほいほいとおすすめできる音楽ではありませんが、彼らのライブを見て、生きていると再度実感するために、本当の狂気というものを肌で感じてみるのもたまにはよいのではないかと思います。