「君の辛い気持ちは分かる」
 夜中に広島県安芸郡坂町平成ケ浜をあてもなくさまよっているあかりのそばには街の音楽家モンティーミヨシがいた。
「モンティーさん」
 あかりはモンティーミヨシの歌声が大好きである。
「このわずかの半年に、父親を失い母親の裏切りに遭い、大好きなお兄ちゃんを見も知らぬ女性にとられてしまったあかりちゃんの苦しみはよく分かる」
 このモンティーの優しい言葉を聞いてあかりは声をあげて泣き出した。
「分かってくれてるんですね」
「もちろん」
 あかりはモンティーミヨシの胸に取りすがって泣いた。