「さあ、ひろかわのカキ飯を食べてつかわさいよ」
 広島県安芸郡坂町平成ケ浜の生牡蠣とお好み焼きの店ひろかわで、勇次と美紀とあかりはカキ飯を食べていた。
美紀の目からは涙が溢れている。
「辛いことを思い出すのか」
 勇次が心配する。
「いいや、あまりに美味しもんで」
 それならよかった。
「辛い事は忘れんさい」
 ひろかわの主人が言う。
広島弁の優しさが美紀にひしひしと伝わっている。